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3 ドワッフル族のカトレアが優秀すぎる

 地面からぶっこ抜かれたカトレアが、軍事機密レベルの情報を出してきた。


「そういえば、変態水着の押し売りに行ったときに、アデル王女の玉座の情報を入手してました!」


 カトレアが、アデライド王女専用玉座のスペックを書き出した。

 ヒロシの予想通り、地面に……。


 目を輝かせたヒロシが、地面に視線を落とす。


 カトレアの父親も関心があるようだ。

 腕組みをしながら、つらつらとスペックが記されるたびに、相槌を打っている。

 ベルティーナの玉座改造の参考にしたいようだ。


 ~アデライド王女専用玉座スローン・ギア スペック~


 名称:『ウォーター・ストライダー(あめんぼ)』


 型番:SG4000WS

 ボディカラー:スカイブルー

 エンジン:魔導核2基+呪符式ターボチャージャー1基

 トランスミッション:5速CVT

 サスペンション:ダブルウィッシュボーン式(※1)


 最高出力:500馬力/5500回転

 最高時速:280キロ

 ハンドリング:5

 スピード:4

 加速度:3


 使用燃料:無鉛プレミアム王女パワー(アデルの気合い)

 特徴:クイックターン、LSD装備(※2)


 ※1 ダブルウィッシュボーン式サスペンションとは、上下二本ダブルのV字型アーム(ウィッシュボーン=鳥の鎖骨に似た形状)でタイヤを支える独立懸架サスペンション。

 高い剛性と自由なジオメトリー制御により操縦性と乗り心地を両立。多くのレース用玉座に採用されている。部品が多く複雑な構造で、コストも高め。


 ※1 LSDとはリミテッド・スリップ・デファレンシャルの略。コーナリング時などに片方のタイヤが空転するのを抑える。もう片方のタイヤに駆動力を伝え、トラクション(駆動力)を確保する差動制限装置のこと。スポーツ走行で安定したコーナリングや加速を実現する必須アイテム。


「ドピン子の玉座と比べて、どうなんです?」

「コースにも寄るだろうな。レースまでにパワーアップしてくるかもしれねぇな……」


 サスペンション、LSDはベルティーナの玉座レイジング・ブルには未搭載。

 アデル専用機のスペックを見たカトレアのオヤジさんは、職人魂に火がついたようだ。


「気が変わった。改造してやっから、玉座をよこせ! ぶち殺すぞ!」

「玉座を?」

「おめぇだよ!」

「良かったな。ドピン子……って、王女いねぇし……」

「王女さまなら、筋肉もり森へいきましたよ? カトちゃんぺっ(娘)を討伐してくると言って」

「ウチの王女がスイマセン……」


 言いながら、ヒロシはメイド長に念話を送る。


『はい、子ども念話相談室ですっ!』


 すぐさま、メイド長が応答した。


『子ども番長に緊急指令! 部隊編成後、筋肉もり森にいるドピン子王女を討伐せよ!』

『ヒロシさま。お土産は……』

『通信、おわり!』


 ヒロシは、メイド長との会話をぶった切る。

 念話代(魔力的コスト)が、(かさむ)むからだ。

 お得なプラン(家族割り)に加入しているが、1秒で10円ほどかかる。


 土産か……。

 メイド長には世話になってるし、職人オヤジさんに何か作ってもらうか。

 “実用的なもの”が良さそうだが…‥。


「オヤジさん。アダマンタイトでハリセンって作れます?」

「つくれねぇことはねえけど、何に使うんだ?」

「ピンクの王女を張り倒します」

「そういうことなら任せとけ!」

「対王女用の地雷の製造もお願いできます? 百個くらい」

「ハリセンと地雷か…‥値段はたけぇぞ?」

「代金は『ハミデール国王』が払います」

「地雷は完成したら送ってやる」


 数時間後__。


 親父さんが、ノリノリで地雷をひとつ作ってくれたらしい。


「試してみるか?」

「オヤジさんで?」

「殺すぞてめぇ! ピンクのオバケ(王女)でだよ!」


 ヒロシと親父さんが、ベルティーナ討伐談議に花を咲かせていた時だ。


 メイド長+ベルティーナ討伐部隊(バスターズ)(4名のメイド)が、集落に帰還した。


 ベルティーナの姿もあった。

 メイド長専用パイプ椅子に括り付けられた状態で眠りこけている。


「ちょうどいいところにきた」

「ヒロシさま、なぜに笑顔?」

「対王女用の地雷を作ってもらんたんだよね」


 言いながら、ヒロシはベルティーナを見やる。

 え? ドピン子王女ってこんな感じだっけ?

 違和感を覚えるも、よほど疲れているのだろうと、ヒロシはスルーした。


「ベルティーナさまを派手に吹っ飛ばすのですか?」

「メイド長は、なんで笑顔?」

「面白そうなので……。ベルティーナさま起きませんね」

「って、人魚やないかい!」


 静観していたトレアが口を開くと同時、ベルティーナ? の顔面を二度見する。


「私が王女を仕留めたので間違いありません。このお方は、ベル……。って、人魚やないかい!」


 爆睡している『偽ベルティーナ』を、メイド長が三度見した。


「やっぱり、そうか……」

「ヒロシさま、なぜに笑顔?」

「いや、カツラがずれて人魚成分が見えてるよ?」

「そういえば、おでこに『プリングルスvsチップスター』って字がありませんね……」


 人魚の額をペンペンと叩きながら、メイド長が残念そうにつぶやいた。


「メイド長がだいぶ前に書いた文字だよね?」

「特注のペンなので、1年は消えないと思います!」

「今更だけど、なんでプリングルス?」

「プリンセスと間違えまして……。折角なので、ポテチ頂上決戦でも開催しようかと……」


 紛らわしいので、目印を付けますね!

 一言つぶやいたメイド長は、人魚の額に落書きをはじめた。

 『人魚のムニエル』と。


「やはり面白くないですね……」


 メイド長は書き直す。


 『白身魚のエマニエル夫人』と。

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