47.魔人
階段を駆け上がると、左側から喧噪が聞こえてくる。
右側には、誰もいない、、、のか?
「ひゃっは~!!」
「おらぁ~!!」
アヤカさんとアレフさんの声が聞こえる
遠目だけど、、、アレフさんとアヤカさんなら大丈夫そうな雰囲気だった。
それでも右手に敵がいて襲ってこないとも限らないので、右手を探索することに、と言うか、、、右に行かなければいけないような気がしてならない、、、
二人の声を背に、僕は右手の方に駆けて行った。
まぁ、しかし広い屋敷なのだが、、、部屋と言う部屋はすべて無人、、、と言うか人の生活していた気配が全くない。
「私兵達はこの屋敷に住んでいるのではないのか?使用人は?」
ふつふつと疑問が沸き上がりながらも、一部屋一部屋丹念に見て回る。
もしかしたら、まだ囚われている人がいるかも知れないと思いながら、、、
ガチャ、、、
「ん?」
おかしい、先ほどまで全く鍵が掛かっていなかったのに、この部屋は鍵が掛かっている?
「誰か、、、いますか?」
、、、、、返事は、、、無いな、、、
「返事が無いようなので、、、こじ開けますよ!」
僕は、そう言って、、、ドアノブにウッドジャベリンの魔法をかけた、、、
発生した樹の槍によってドアノブは破壊され、、、ドアが開くとともに異臭が漂ってきた!!
「クッ、、、この臭いは!?」
「む~!!む~~~!!!」
声が聞こえてその方に向くと、さるぐつわをされた全裸の女性が台の上に横たわっているのが目に入った!!
「い、今助けます!!」
女性の方へ向かい大、台の手前まで来て臭いの正体が分かった、、、これ、血の臭いだ、、、
そう、台から零れ落ちる血液を保持するようにたらいの様なものの物の中に台が設置されているのだ、、、
しかも、その中にはおびただしい量の血液が、、、
これ、一人や二人の量じゃないんじゃないか?
「だ、大丈夫ですか!?」
気を取り直し、女性の傍へたどり着くと女性の拘束を解いていった。
「~~~~~!!」
女性は恐怖のあまり、声にならない声を発している、、、このままじゃ精神がやばいか、、、
「失礼します!」
僕は当身をして女性の意識を狩った、、、これで女性の精神も少しは保たれるだろう、、、だけど、全てが終わったら十分なケアをしてあげなければいけないな、、、
このままこの部屋にいるのは僕にとっても精神衛生上悪そうなので、女性を抱き上げて部屋を出ることにした。
「この部屋から出られるとでも、、、?」ニターッ
「!!」
扉の前までいった所で後ろから不意に声がかけられた、、、この部屋にはこの女性しかいなかったはずなのに!!
振り向くと、そこにはヨハン=ヴァンモートが立っていた、、、いや、人間にしては顔が妙に青白い、、、
「おまえは、、、?」
「クックック、、、私はヨハン=ヴァンモート、、、人智を超越した存在となったものだ!!」
名乗りを上げた後に、ヨハンは腕を振るった!
「クッ!!」
ヨハンの腕より、衝撃波が襲って来る!!
女性を影に隠して衝撃波を受けた、、、
体力が幾分削られたように感じたが、、、耐えれないほどではなさそうだ、、、
「ほぅ、、、貴様、、、中々やるようだな。どうだ?私の仲間とならんか?」
ヨハンはそう言うと、耳元まで裂けた口をいやらしそうに広げた、、、
正直、嫌悪で吐き気がする、、、
「悪魔との盟約により、魔人と化した私にはもう敵などおらぬ!」
「あく、、、ま?」
「そうだ!!悪魔だ!!私は悪魔によってこの世で最強の存在となったのだ!!」
気味の悪い笑い声とともに、ヨハンが口にした、、、
「そして私は魔人となったのだ!!私に敵うものなどこの世に存在しないのだ!!」
、、、、、、、、、そうか、、、悪魔を召喚するための生贄として攫われた女性や子供たちを、、、
地下室にあった亡骸は、大人や子供、様々な大きさがあった。
一部はこの部屋で悪魔召喚のための生贄にされ、、、残りは、悪魔のサディズムを満足させるために、、、惨たらしく殺されていったのか、、、
「ゆるさん、、、」
「ん?なんだ?」
「許さんと言ったのだ!アルコーン!!」
「な、、、何故私の真名を!?」
そう言えば、何故なんだろう、、、何となくそう思ったんだけど、、、
そうか、アルコーンがヨハンに乗り移った悪魔の名か、、、
「それは分かんないけど、、、お前の名は分かった!!そして、お前はここで僕に倒される、、、」
「何を世迷い事を、、、たかが人間に倒される私ではないわ!!」
「ユート様!!」
「リサ!?何故ここに?」
「もろとも死ぬが良い!!ヘルガイスト!!」
ヨハンの言葉の後に、床一面が漆黒に染まる、、、
「リサ!この人を頼む!!」
女性をリサの方へ放り投げ、ヨハンに対峙する、、、
「豊穣を司る大地母神マーファよ、我に力を、闇を光で照らせ!ホーリー・ライト!!」
知らない魔法が僕の口から紡ぎ出される、、、
手のひらが明るく輝き、足元の闇を霧散させていった、、、
「こ、、、これは、、、!?私の魔法が!?」
僕は、ヨハン、アルコーンを睨み付ける、、、
リサが女性を抱えて離れて行くのが見えた、、、
これで暴れても大丈夫だろうか、、、
「クッ、眷属よ!!我を守れ!!サモン・ザ・デーモン!!」
ヨハンの声により床面が黒く濁り、そこから悪魔が召喚されてくる、、、
アクアのダンジョンで倒した一つ目もいるな、、、
本当に、、、本当に気持ち悪い、、、
怒りが増し過ぎて吐き気がする、、、
悪魔共は、、、
「くっくっく、、、この数なら流石に無理だろう?さぁ、あやつを惨たらしく殺すのだ、眷属共!!」
僕は悪魔共を一瞥し、手にした剣を握りしめた、、、
屋敷の中での魔法はやはり危険だ、、、
悪魔達が、真っ赤な口を円弧に開き、徐々に距離を詰めてくる、、、
頭の中は相変わらず霞がかったように思考を鈍らせているが、妙に落ち着いてる。
「ギャウ!!」
醜い姿の悪魔が僕に飛びかかるが、動きがスローモーションのようにゆっくりしている、、、
飛びかかってきた悪魔を身体の向きを変えて躱し、剣を刺し貫く、、、
悪魔は何がを起ったか分からないうちに霧散した、、、
悪魔達が狼狽しているのが分かる
「ヨハン、、、お前は、いったいどれだけの女性や子供を殺してきたんだ、、、?」
「はんっ!!奴隷共の数など分からんよ!!貴様も死ね~!!」
ヨハンの手のひらに赤い光が灯る、、、ファイアーボールか?
「デビル・インフェルノ~!!」
違うっ!!
真横に飛びぬけると、僕が立っていた所の床面がグツグツと煮えたぎっていた、、、
悪魔の魔法は、人のそれよりも強大なのか、、、
同線上にいた悪魔達も数体蒸発してしまったようだな。
「これで、見の程がわかったんじゃないか?貴様がどこの馬の骨か知らんが、この私に勝てるものなどいないんだよ!!」
ヨハンは高笑いをする、、、見の程か、、、
先ほどの魔法を見ても恐怖心を感じない僕がいる。
勝てる、、、
僕は右手を前に突き出し、、、静かに確信した、、、




