第七話『記憶と勝負』7
ダウト一戦目が終わり、二戦目が始まろうとしていた。
あの謎の追加ルールは消される事なく今も続いている。なので、先ほどよりも静かになっている。
俺は流石に女子に脱がせるわけにいかないので、何回もダウトを宣言し、茜たちを先に上がらせた。
優姫と高城は残念そうな顔をしていたが、無視をした。結果的に俺がビリとなった。
おかげで俺は今パンツとシャツ状態である。最悪である。
「それでは、二戦目始めようか」
高城がシャッフルをし、俺たちに配り終えた後にそう言った。
「なあ、俺はパンツ状態でスタートなのか?」
「もちろん」
「マジですか……」
てっきりリセットするもんだと思い込んでいた。これじゃあもう自分を犠牲に出来ない。
茜は先ほどから俺を一度も見ていない。案外乙女だな。
一方優姫は俺をよく見るようになった。おい、変態止めろ。
「順番はさっきと逆にしよう」
と言う事は、優姫、茜、高城、俺の順番か。
「一です」
再びダウトが始まった。いつも通り冷静な優姫はそっとトランプを置いた。
「二だ」
「三だよ」
次々にトランプが置かれていく。
さて、どうする。俺は一度もミス出来ない。的確に嘘を指摘し、的確に嘘を吐く。
くっ。難易度、高すぎる。
「四だ」
俺は最初は嘘を吐かず、四を置いた。
茜たちもそれを察してらしく宣言する者はいなかった。
「五です」
再び優姫の番だ。
先ほど同じくトランプを置いた。
くそっ。全く読めない。
一度も間違えられない事からのプレッシャーか。って何で俺はこんな本気になってるんだ。
「六だ」
「ダウトだね」
何だと……。この空気でダウト宣言だと。
この状況で茜が嘘を吐いているわけではない。
茜はトランプを裏返した。
その数字はやはり六だった。
「あれ? 本当だったか? 参ったね」
そう言い、高城は服を脱いだ。
俺と大体同じ服装になった。
「これで、君と同じだね」
「どういう事だ、高城?」
「そのうち、分かるよ」
何だ。その意味深な発言は。
先ほどよりも高城は楽しそうだ。
だが、空気はあまり良くない。
「七だ」
俺は気にせず、ダウトを再開した。
これは嘘だ。最初にダウトを宣言してくる者は今いないはずだ。
「八です」
この空気にも慣れてきてしまう自分が怖い。
こんな重ぐるしいのは初めてだ。
「九だ」
「ダウトです」
再びありえない展開が起きた。
ここで、宣言するか。普通ならこんな事ない。
茜はトランプをひっくり返した。先ほどよりも自信満々に。
「やはりそうですか……」
その数字は九だった……九か、あれ。
何かおかしいぞ。
「じゃあ、罰ですから……」
「おい、やめ」
そう言おうと瞬間。言葉が止まった。
「駄目だ!! 見ちゃだめ!!」
茜が俺の目を隠したのだ。
急の暗転で驚いてしまった。
「べっべっ別に見ないから。大丈夫だ」
そう言いながらも従妹とは言えど女の子である。
少しは気になってしまう。男子として当たり前の事である。
だが、それ以上に茜が非常に照れている事に驚いていた。
「それに!! 優姫殿、脱ぐ必要ない!!」
茜は恥ずかしながらも大きな声を出した。
確かにそうだ。
よく見れば、あれは……。
「何故なら、それは九ではない。よく見ろ、六だ」
そう、六である。あまりにも集中し過ぎて全くみんな気づいていなかったみたいだ。
「だから、我が脱ぐ」
この展開はいいのか。色々とやばい。
「そうですか……。でしたら、どうぞ!!」
少し残念そうな表情をした後、すぐに笑顔になった。
女子でもありなのか。
「ふっ。面白い」
その横で高城は謎の笑みを浮かべている。
まずいぞ。本当に。
俺も気になる。
ゴクリッ。つい、その様になってしまった。
『見るなよ!! いや、やっぱり見ろ!!』
どっちですか、変態。痛い痛い。
結局痛みは来るのかよ。
どうするんだ。
すると、バタンと扉が一気に開いた。
「こら!! 高城!! 何をしているんだ!!」
高城の母親である司書さんである。
えっ。司書さんの息子なの、高城。
全然似てない。もはや別人だ。
助かった。取り敢えず感謝です。
「君たちもここで中止しなさい!!」
その一言でダウトは終了した。
おい、俺の努力は何だったんだ。
俺がどれだけ命がけでやってたと思ってんだ。
これぞ、無駄骨である。




