第六話『痛い病と弱点』6
「ふぅ~……。終わった」
英語の勉強を終えた茜は背伸びをした。
「はぁ~……。何とかな」
あれから、四時間の時が経ち無事英語だけ中二病修正出来た。
ああ~。本当に疲れた。
もう問題のトムが可哀想だった。Tom went to bed early yesterday.をトムは昨日永眠しましたと答えた時は冷や汗をかいた。
ただ中二なのか天才なのかよく分からん、茜は。他にも色々と……以下略。
「もうお昼過ぎじゃないか!!」
茜はとても焦っている様子だ。何かあるのか。
「別に驚く事ないだろう。朝から勉強しているんだからそうなる」
今ちょうど二時になった頃だ。流石に今日はもうやりたくない。
「我らはまだお昼を食べていないではないか!!」
「今から食べればいいだろう」
茜は俺の言動に呆れたのか少しため息を吐いた。
「我は十二時食べないと能力が回復しないのだ!!」
じゃあおやつは三時かよ。どこぞの小学生だよ。
今時そんな時間にこだわっている人なんていないぞ。
「そうか。じゃあ、昼食必要ないな」
「いや、ちょっと……」
「俺、帰るわ」
そう言い俺が帰ろうとすると茜に裾を引っ張られた。
「別に我はいつでも構わんぞ」
その上目遣いは何だ。どっちだよ、本当に。
「分かったよ。じゃあどこにするんだ?」
「雑種の家」
「いや、絶対に無理」
まあ、作ってくれるなら別に良いが。と言うか雑種って言うな。
「じゃあ、カフェにする」
「カフェ……か」
嫌な予感しかしないが。だって茜は中二病だ。とても心配だ。
「そこなら、我も回復出来る」
「凄い心配なんだが。大丈夫か?」
そう聞くと自信を持って茜は答えた。
「心配は無用だ。初心者でも入れるカフェを案内するから」
そういう問題じゃない。後、行く事決定なんだな。
まあ、これが茜の願いなら聞くしかないか。
「じゃあ……案内を頼む」
「任せろ!! 我の力で導いて見せよう」
そう言うとスマホを出し調べ始めた。
「お前、機械無かったら何も出来ないだろう」
茜がビクッとした。よくぞ見破ったなみたいな顔をしている。
少しくらい否定しろ。
「これは我の三種の神器の一つ、ブラッドソードだ!!」
「どこがだよ……。お前、血好きだな」
ソードって何だよ。スマホにそんな物付いていないぞ。
茜はやっぱり中二のようだ。
「では、行くぞ!!」
「はいはい……」
俺は茜に言われるがままに取って置きの場所に連れていかれた。
「やっぱりか……」
まあ、期待はしていないかったが。本当にこんなカフェとは。
「何で嫌そうなのだ。ここは『にゃんにゃんカフェ』だぞ」
その名前。それが一番嫌だ。いかにもオタクっぽい所だ。
まあ、嫌というほど嫌ではないがちょっとしたトラウマがあるから入る気にはならない。
そのカフェはその名通り猫を中心として猫メイドをした女性が出迎えてくれるド定番のメイドカフェだ。
「にゃんにゃんカフェ……」
俺は軽めに引いていた。いやこれぐらいで引いていたら仕方がない。
「入るか……茜」
「ああ」
自分を奮い立たせてカフェの中に茜と一緒に入った。だって俺こういうのは初めてだし。
俺も少しオタクだがここまで入り込んではない。
「いらっしゃいませ、ご主人様にゃん❤」
これが猫メイドカフェなのだろう。案外入ってみると少し気が楽になった。
「ああ!! ただいま!!」
「お前、ここの常連客か?」
「いかにも。我は今回で十二回目だぞ」
すげぇ。今の茜は家にいた時より嬉しそうだった。
「ご主人様、お席はこちらですにゃん❤」
「ああ……ど~も」
猫耳を付けたメイドに席を進められ、俺は素っ気なく答え席に座った。
そう簡単には慣れそうにないな。
「ご注文はいかがなさいますかにゃん?」
ご注文かぁ。俺はメニューを開いた。
メニューはオムレツやハヤシライス、アイスクリームなど様々だ。
「ハヤシライスとミルクコーヒーを一つずつで」
「分かりましたにゃん」
そう言いメイドは素早くメモッた。
「特典でミルクコーヒーに猫を書きますが、いかがなさいますか?」
猫かぁ。どうしよう。いや考える事ないか。
「結構です」
まあ、当然返答だろう。初心者はあまり冒険しない方がいいからな。別に普通の意味でだ。
「分かりましたにゃん」
何か睨まれるかと思ったが平然と笑顔のままスルーした。それが仕事なのだろう。
サービスでお金がかかるのはちょっと厳しい。
「暁姫はいかがなさいますか?」
「そうだなぁ……」
おい、暁姫って何だ。いや常連だから別に気にすることないのか。店員に顔を覚えられているんだな。
「じゃあ、オムレツとオレンジジュースで。もちろんオムレツには猫付きで!!」
「以上ですね。かしこまりましたにゃん❤」
そう言いメモを全てした後メイドが一つこう付け加えた。
「実は先週から新しいバイトメイドが入りましたにゃん。そのメイドにも仲良くしてくださいだにゃん」
ここバイトも募集してるのか。結構有名なのか。
なかなかこのバイトに参加しようとは思わないはずだが。
「では、ごゆっくりですにゃん❤」
そう言い残し席をメイドは離れて行った。
「ふぅ~……」
「何を疲れているんだ。ここは楽しむ場だぞ」
「いやぁ、こういうの初めてだからな。結構緊張とかすんだよ」
「そういうものか?」
「そういうものだ」
茜がふ~んと呟きながら周りを見ている。
「何をしているんだ?」
「そりゃあ、可愛い子を探しているんだよ」
お前はどこのおっさんだよ。それともそういう趣味ですか。
「可愛い子ねぇ……」
全体的に見てこのメイドカフェは美人な女性が多い。胸も……ごほん。
まあ、健全な男子としては最高の場である。
しかしこれはお金は貰っているから可愛いしているだけで本性は分からない。
はっきり言って俺はあまり信じていない。
「ああ!! あの子!! 見て見て!!」
「何だよ?」
「今、我らたちの料理を運んでいる女性。恐らく彼女が新しいバイトさんだ!!」
「どれどれ……」
俺たちに料理を運んできているのはこのカフェの中でもなかなかの美人で可愛い……。え?
「お待たせしました、ご主人様……えっ」
どうやら相手も気づいたようだ。
俺たちはどうやら会ってはいけないところで会ってしまったようだ。しかもよりよってこんなメイドカフェで。
「杉山さん!?」
「花澤!?」




