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第五話『試練、そして少し変わる日常』4

 少し内容を修正しました。

 「さあ、皆さん!! お待たせしました!! 大食い大会をここに開催したいと思います!!」

 午後の部は大イベントはこの大会のみなので盛り上がるのは当然だ。

 「うぉぉぉ!!!」

 とは言えこんなに盛り上がってしまうとこっちとしてはやりにくいのだが。

 「おお!! 凄いな!! みんな見てるぞ」

 俺が少し嫌な気分になっているとは裏腹に霧島はテンションが高い。

 ちなみに姫野もこのような空気は苦手のようだ。

 「さて、ここからは大会主催者の上野遥が司会をします!! 先生ですよ、先生ですよ」

 大事な事だから二回言ったな。確かに上野先生は先生にしては若すぎる気がする。

 普通に付き合っても問題なそうにも思える。男子どもは顔を赤くしてるしな。

 「それでは大会出場者は定位置に着いてください!!」

 俺たちは自分たちが指示された場所に移動した。見た感じだと参加グループは俺たちを含め十グループぐらいようだ。

 「定位置に着きましたね!! それではAグループから紹介していきます」

 げっ。一グループごとに紹介していくのかよ。俺たちはGグループだ。

 一人一人紹介される度に歓声が上がる。それはとても嬉しい事である。だが俺にとっては地獄でしかない。俺に歓声など上がるはずがないからだ。

 「では次はGグループです!! まずは霧島哲さん!!」

 「きゃあああかっこいい!!」

 「ありがとうございます」

 爆発しろ、リア充男子。ってこれじゃあ呪いと同じじゃないか。にしてもモテ過ぎだろう。俺にも分けてくれ。

 「次は姫野叶さん!!」

 「うぉぉぉぉ!!!」

 まあ確かに静かにしていればモテるだろう。静かにしていればですが。

 「どうも」

 にしても姫野こういうのどんだけ苦手なんだよ。少し顔色悪くなっているぞ。

 「最後は世紀のミラクルボーイ杉山懸!!」

 何で俺だけ変な異名付きなんだよ。というか俺だけ呼び捨てかよ。

 「……」

 まあ当然俺には冷たい視線がくるだけである。

 「相変わらずのヒールぷりですね」

 「俺だけコメント付きはやめて下さい」

 俺は晒し物かよ。本当に悲しい。

 「……。では以上で紹介を終わります」

 ようやくか。始まる前に疲れてしまった。

 「では一回戦を始めたいと思います!! 一回戦の料理は……」

 上野先生がそう言うと白いシーツを他の運営者が引っ張り料理が姿を現した。

 「串カツです!!」

 いきなり胃に来そうな食べ物かよ。一回戦のテーマは揚げ物だからしょうがないか。

 「じゃあ頼むぞ、霧島」

 「おお!! 任せて!!」

 霧島は準備万端のようだ。

 「それでは一回戦の制限時間は十五分です!! ではよ~いスタート!!」

 上野先生がコングを鳴らすと一斉に串カツに先方の人たちがかぶりついた。

 この大食い大会は時間の許す限り交代が認められている。なおこの大食い大会は食べる量を競うのではなく時間を競う。なのでこの交代制度が認められている。

 「凄い食べっぷりだな」

 「そうね」

 霧島の予想以上の食べっぷり俺と姫野は引きつつある。

 「まだまだいけるよ」

 霧島は残り時間七分程度で半分以上食べきってしまった。他のグループは半分も食べられていない。これもしかして一位通過出来るんじゃないか。

 「交代だ!! 次頼む」

 「おっと!! Gグループの霧島さん半分以上を食べきって交代です!!」

 「きゃあああかっこいい!!」

 こいつ何やってもこう言われるんじゃないか。

 「ええ」

 「ここで姫野さんに交代です!! このまま一位で通過出来るのか!!」

 凄いテンション高いですね。だから男子どもデレデレし過ぎだろう。

 「串カツ……」

 そう言い姫野は一口食べた。この串カツは衣が厚いがそんなにカロリーはないらしい。情報上野先生。

 「うぁ~……」

 とても嫌そうな顔をしている。まあ頑張れ。

 「杉山、交代」

 「食細いな!!」

 もう少し食べろ。全然食べないぞ。

 「こういうの嫌いだから。」

 「だったらなぜ参加したんだ?」

 俺は軽くため息を漏らし交代を宣言した。 

 「おっと早くもGグループ交代か!! 最後はミラクルボーイだ!!」

 俺を名前で呼んでください。

 「おお!! 頑張れあと少しだから」

 「分かってるよ」

 俺は串カツにかぶりついた。霧島のおかげで残り十本だ。

 「おっと!! 早いぞ、ミラクルボーイ!!」

 うるさいです、先生。そんなことは気にせず最後の一本まで食べきった。

 「これで最後」

 「Gグループ完食だ!! 一位通過だ!!」

 「うぉぉぉ!!」

 「はぁ~……。終わった。」

 「お疲れ」

 爽やかな顔で霧島が声を掛けてきた。

 「どうも」

 「カンカン!!」

 そうしてる内に終了のコングが鳴った。

 「そこまで!!」

 「……!! 何という事でしょう二回戦進出グループは三グループのみだ!!」

 え。俺は周りを見渡した。ほとんどのグループがリタイヤを宣言していた。

 どうやらほとんどがノリで参加してしまったらしい。どんだけ悪乗りしてんだよ。

 「これは……」

 流石に異例過ぎて姫野の先生も焦っているようだ。

 「では一度休憩に入ります!! この大会については休憩後に話します」

 「……」

 少し静かになったな。

 「おい待合室に行こうぜ」

 「ああ」

 「ええ」

 この少し微妙な空間から俺たちは逃れた。おい、運営しっかりしてくれ。

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