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背中の古傷

 

「う~、でも…」


「ほれ、さっさとせぬか

それとも妾が供給するか?

効率は良くないが、別にそちらでも構わぬし」


「!

だめ、わたしがする!」


「なら早う使うのじゃ

魔力だけでなく体力も分け与えることをイメージして……吹き込みは初めてじゃから念のため詠唱するのじゃ」


治癒魔術には《エナジー・デボーテ》を無詠唱でできなくてはいけない

いつも通り、無詠唱で使おうとしたら賢者さまから詠唱で発動させるように言われた


「力失いし愛しき者よ

 慈悲と愛情の元

 我、汝に活力を分け与えん

《エナジー・デボーテ》」


久しぶりの詠唱だったけど間違わずにできた

けど、この詠唱って結構恥ずかしいよ…


「魔術を放出せずに口に溜め込むのじゃ……よし、そのまま口づけをするのじゃ」


……どうしよう、つい勢いのままここまでやったけど、チューなんて…


わたしがどうしようか悩んでいると


「早うせぬか!」


「ん!?ん~~~~~!」


賢者さまがわたしの頭を掴んでるーくんの顔に押し付けた

 

「そのまま放出じゃ

さて、こっちも……ほれ」


「…!」


「あ、今供給をやめたらこやつが死にかねんぞ?」


賢者さまの手が頭から離れたから顔をあげようとしたらそんなことを言われる


「~~~~~」


そんなこと言われたらやめられないじゃない!


あわわ、るーくんの唇…やわらかい……るーくんとのチュー……ちょっとあまい……だめ、顔が熱くて頭がくらくらしちゃう…



「やはり結構ひどいのぅ……ふむ、こんなところにもキズが…

おや、背中に古傷が……ん?こっち側のキズは毒爪に依るものか……ちとまずったのぅ……これじゃあ痕に残ってしまうが……傷は男の勲章とも言うしよいか

古傷と上手い具合に交わって十字傷になっとるから見栄えも悪くないしの」


賢者さまが何か言ってるけどあまり頭に入って来ない


るーくんにも背中に古傷?

……でもるーくんにはそんなのなかったし…

魔術か何かでかくしてた?

それじゃあ…るーくんが…


「ほれ、もうやめて構わぬぞ

続けたいならそれでも構わぬが」


……はっ!


「続けたいなんて…」


賢者さまの声で意識を取り戻し、あわてて顔をあげ立ち上が………ぁ


「あ、今は立ち上がらぬ方が…」


賢者さまが注意してくるけど時すでに遅く、るーくんの上に倒れ込む


「お主、こやつに体力も分け与えておったのを忘れておったじゃろ

お主から体力が失われておるのじゃからそうなるのは当然じゃ」


「う~」


…あれ、さっき何を考えていたんだろ?

今の拍子に忘れちゃった…


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