エナジー・デボーテ
「なっ、だ……だめっ、やめてっ!」
「んむ?
やめてとは何事じゃ?」
あわてて止めるけど、賢者さまは不満そうな顔をする
「だっ、だめよ
るーくんにチューしちゃやだっ」
「やだと言われてものぅ…治癒魔術をかけるにはこやつの魔力と体力を回復させねばならんし……」
「で、でも…チューなんて…」
「とはいわれてものぅ…ちと説明してやろう………」
賢者さまが言うには、治癒魔術はかけられる側にも魔力、それと体力が必要で、るーくんは今その両方ともがほとんどない状態
普通なら薬を飲んで回復するか、《エナジー・デボーテ》の魔術で他の人から分けてもらうかするのだけど
意識のないるーくんは薬も飲めないし、《エナジー・デボーテ》はかける人とかけられる人の両方の合意が必要だから無理
だから…
「……じゃから今、こやつを回復させるには体内に直接吹き込む必要があるのじゃ」
ということらしい
「人命救助じゃ、おとなしく見ておれ」
「う~」
前にるーくんがリセちゃんにした口移しと同じだとはおもうけど、それでも…
「ってこりゃ、泣くでない
そもそも何でお主が止め……ってそうじゃったな
よし、それならお主が吹き込むがよい」
賢者さま何か呟くと、そんな事を提案してきた
「えっ、でも……今賢者さまが…」
「お主が邪魔したのじゃろうが
今のではただの口づけも同然じゃ」
「ぁぅ」
「それを差し引いてもこやつの怪我の具合はかなりひどいからのぅ…かなりの魔力と体力の供給が必要じゃ」
「で、でもわたしそんなのした事ない」
「なに、《エナジー・デボーテ》の応用じゃよ
お主は確か治癒魔術が使えるのじゃろ」
「う、うん」
《エナジー・デボーテ》は治癒魔術を使うための前段階
治癒魔術は他人にかける場合、自らの魔力を相手の体内に送り込むのだけど、他人の魔力は基本的に有害なので治癒魔術を使う場合、あらかじめ無害なものにする必要がある
《エナジー・デボーテ》魔力(応用で体力も)の変質と贈与の魔術で、この問題を解決できる
ちなみに治癒魔術は無害なものから更に一段階変質させて、癒しの魔力に変換という行程を践んでいる
だからわたしもお母さんから治癒魔術を教えてもらう時に一番最初に教えてもらっているから使えるけど…
かなりの量の供給が必要ということは……つまり
「長時間口づけをしなくてはならぬからのぅ…妾が治癒魔術をかける傍らで適宜お主が供給するのが効率がよかろう」
と言うことみたい




