表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/413

帰り道

 

さて、服もそろえたしそろそろ帰るか

サティアもクリーチャーと同じ空間に居るのも限界だろうし


「ありがとうございました、またのご来店を心よりお待ちしております」

「ありがとうございました、また来てくださいね」

「ありがと~ん、また来てねん」


三様の挨拶を背にニンフェットをあとにする


思いの外時間がかかったな…

とりあえず急ぎで買わないといけない物はもうないからとっとと帰るか

サティアを城に送り届けないといけないし


足早に馬車まで帰ろうとしたがサティアの足が遅い…


「ちょっと…待って」


……あ、そういや履き馴れない靴だったな


立ち止まりサティアが追い付くのを待つ

ようやく追い付いたその時


「もう少しゆっくり…キャッ」


またバランスを崩して転けかけるが、今度は目と鼻の先なので余裕を持ってサティアを支える


「大丈夫ですか?」


「ええ、ありがとう

ごめんなさい、二度も助けてもらって」


「いえ、お気になさらず

履き馴れない靴ですし……それに今のはぼくが急ぎすぎましたから」


とりあえずサティアをフォローしておく

……だって耳が垂れ気味で明らかに申し訳なさそうだもんな…

 

「…そう……(ありがと)ボソッ


それより何をそんなに急いでるの?」


サティアがなぜ俺が急いでるか聞いてくる


なぜってそりゃ身の安全の為だよ


この国では亜人の人権が低く差別の対象になっている

それは主に貴族が行っているが富裕層にも浸透していて、この辺りはその富裕層の街だ


要するに面倒くさい奴らに絡まれるのは嫌だからとっとと帰りたい


それにエルフは外見が美しいので奴隷として人気が高く、うちを通してない違法奴隷が後を絶たない=サティアが拉致られる可能性が高い


来る時サティアはドレス姿だったので王女と一目でわかったが、今は平民服なので王女と認識されないだろうし

……やっぱりドレスに着替え直してもらうべきだったかな…

 

サティアは王宮での扱いが悪いとはいえ、王女

政治的な意図があるならともかく金目当てで拉致られる可能性は低い……けどそれは第一王女サティア・クァン・アストライアと認識できていればの話


一般人はサティア=ドレス姿のエルフの幼女と認識しているらしく、今は来た時のような王女を見る目ではなく他種族を見下す目が集まっている

幸いサティアはバランスをとるのに集中していてその目には気付いてないようだ


富裕層の街とはいえ……いや、むしろ富裕層の街だからこそ他種族に対する治安は良くない

長居をすると昼間で人の目があってもサティアは拉致られるだろうし誰も気にしないだろう


……なにせ違法奴隷を持つのは貴族や富裕層で、奴隷商人も取引のためにこの街によく来るのだから


「サティア様、先を急ぐので失礼します」


「え!?

ちょっ、るー……ぁぅ////」


サティアの手を握り再び足早に歩き始める……サティアが何か言って来ようとしているが無視


貴族の俺が連れているから大丈夫だとは思うが、所詮は子供

馬鹿な奴が俺ごと拉致る可能性もあるので速やかにここを離れたい

 

「(我らに宿れ疾風の力

ゲイル・ドライブ)」ボソッ


サティアに気付かれないようにこっそり風の身体強化を俺とサティアに施し先を急ぐ


ちなみに他人に身体強化を施すのは半端なく難しい

治癒の魔力以外の他人の魔力は基本的に身体に悪い……毒と表現しても過言じゃないレベルで

最低でも中級レベルの魔力制御が必要だし相手の魔力波長を読み取れないといけないから魔力対する知覚も優れてないといけない

その上相性が良くないといけないし


幸い、俺とサティアの相性は良い方だし、サティアは幼なじみだから魔力波長も完全に理解しているから楽勝でできるけど


ただ、俺とサティアの相性いいのがかなり不思議


魔力の相性は個人的な相性もあるが、属性的な相性もあるからだ


俺は魔属性だから自由に波長を変えられるし、相性もいじれる

だが、サティアとは素の状態で相性がいい

……魔属性と相性がいいのは複数の魔力がまざった派生属性…


…今日見た光の治癒魔術はハーフエルフであることを考慮しても高いレベルだったのでサティアは光系統の属性、それも源流の光属性かそれに近い属性のはず


そして光に限らず源流(地水火風光闇の6属性)や近い属性は魔属性との相性は悪くはないが良くもない


……サティアの誕生日は来月…魔力測定で面倒なことにならないといいんだがなぁ…

 

しばらく歩き続け、あと少しで馬車を置いてある駐車場に辿り着くところで


「おい、坊主いいもん持ってんじゃねぇか

お前みたいなガキにはもったいないからオレによこしな」


毛がワッサー生えたゴリラみたいな男が話し掛けてきた

言動から察すると奴隷商人の部下……子供とはいえ貴族の俺から取り上げようとする頭のなさから下っ端だろうな

……って言うか


あ゛?

いいもんってのはサティアのことか、コラ?

サティアを物扱いするとはいい根性してんな、この野郎

しかも『よこしな』とか調子に乗ってるとぶっ殺すぞゴルァ!


軽くぶちギレ、攻撃魔術を唱えようと思ったその時


「……ひっ、いやっ…」


サティアが目の前のゴリラ男に怯えだした

……けど、怯え方が激しい……涙を流しながら怯えるなんて…

クリーチャーを目にしたときよりも怯えてるぞ



なんで…ここまで怯えるなんてあの時だけ……あ、毛深いゴリラタイプの男ってサティアが男を苦手になった直接的な原因じゃん!


ちっ、サティアを泣かしたから本来なら埋めるところだが、今はここから離脱を優先するか

 

「我に宿り疾風よ

我にを風の如き自由を

風舞ーフェアリー・ダンスー」


風の上位身体強化の風舞 ーフェアリー・ダンスー

その効果は跳躍力上昇と空中歩行、大気を蹴ることができるようになる

この2つの効果を使いこなせれば飛行と跳躍の中間的な動きができる


「サティア様、失礼します」


サティアを素早く抱き上げその場から跳び発つ


幸いと言うべきか、怯えてるサティア抵抗せず、むしろ俺にしがみついて来たのでスムーズに跳び発てた


とりあえず、いったん馬車とは反対方向に逃げるか


「な!?

このクソガキ、待ちやがれ!

エルフおいてけ!」


誰がクソガキだコラ?

くそ、サティアを抱っこしてなかったら魔術ぶっ放してるところだぞクソゴリラ


つーか、お前ごときにサティアを指一本たりとも触らせるわけないだろ、ゴミ虫め


生まれ変わってから出直してこい、このゴリ虫


……ん、なんか変な感じに言葉が混ざらなかった?

………まぁ、いいか

 

いったん上、太陽に向かって跳びゴリ虫の目を眩ませ

太陽も傾いて来てるので念のため馬車とは反対方向へ跳ぶ



真上から見た街の景色は富裕層の区画や貴族街の近くなだけあって結構綺麗だ


だが視界の端、ここから離れた場所にはこことは明らかに雰囲気の違う区画、スラム街がある


どんだけ善政を敷いてもああいう場所は生まれるんだよな…



しばらく空中を跳び続けゴリ虫を撒いたので馬車まで帰る

うちの馬車の前に着地しサティアを降ろ……サティアがいつの間にか首に回した手を離してくれない


「あのサティア様…手を……」


「ごめん…なさい……

…お願い…るーくん…あと少しだけ、このままで…いさせて」


……はぁ、普段の男性恐怖症からわかってはいたが、やっぱりあの事は大分トラウマになってんなぁ…


とはいえ、このままで居るわけにはいかない……がサティアを無理矢理引き剥がせないので馬車に入るか…


再びサティアを抱き上げ、馬車の中に入る


………何か忘れてる気がするが…何だっけ?

 

「あ、お帰りなさい、ぼっちゃま

……あ~、私席を外し方がいいですか?」


馬車の中に入ると、そこにはまだ寝てる獣人の娘と一人のメイドがいた


……ああ、忘れてたのはこいつのことか…

馬車の運転をさせてたの忘れてたわ


……はぁ、この馬車にサティアを乗せるの決定してたから男の御者は使わずに運転できるメイドに任せてたけど、マズったなぁ…

どこの世界でもメイドや家政婦といった人種は噂話が好きらしく、サティアをお姫様抱っこしてる状態を見られるなんて……どんな噂を流されるんだろ?


「余計な気は使わなくていい

それより…」



「あ、この娘のことですか?

ずっと眠りっぱなしだったので特に異常はありませんでしたよ


少し見させてもらいましたけど、身体の傷は痕になりそうなものや後遺症がありそうなものはありませんでしたね

ただ、髪は傷んでいるので切らなくてはいけません」


俺たちが買い物をしている間に獣人の娘の身体の状態を確認してもらってたのでその報告を聞く


やっぱり、髪は切らないといけないか……まぁ、貞子状態だから仕方ないな


 

「そうか、それじゃあ城に帰ったら散髪を頼む」


このメイド家事はもちろん馬車の運転や医術に散髪と大概のことはこなせるんだよな…むしろ出来ないことってあったっけ?

生まれてこの方こいつが絶対出来ないことって見た覚えがないんだが…

ちなみに今回の俺の護衛もこいつだ……買い物の時には置いてったけど


一人何役もこなせるスーパーメイド……まぁ、うちの使用人はだいたいこんな感じにおかしなステータスしてるから驚くことでもなかったりするけど


「はい、わかりました

それではお屋敷に向かいすね」


そう言いながらメイド……サーシャは御者席へ向かう


「それではごゆっくりどうぞ~」


……絶対何か勘違いしてやがるな、敢えてサティアのことを尋ねなかったみたいだし

普通ならお姫様抱っこしてることにツッコまないはずない



……さて、どうしようかな

サティアは相変わらず離してくれそうにないし、獣人の娘は起きる気配がない


とりあえず立ってるのも疲れるので座っ……サティアが邪魔になるな…

う~ん、馬車も進み始めたからサーシャがこっちに来ることはないよな、よし


椅子に腰掛け、サティアを膝の上に横座りさせる

これなら大丈夫だな

 

さて、どうしようかな……ナデナデ


ここ王都にあるうちの別荘までは遠くないのであまり時間はかからないけど、微妙に暇……ナデナデ


獣人の娘はまだ寝てるし……ナデナデ

サティアは泣いてるからそれどころじゃないし……ナデナデ


仕方ない、しばらくこのサラサラな髪を撫で……ん?


俺はさっきから何を撫でてるんだ?


左手は抱えてるサティアの身体を支えてるから右手のある場所を見る

するとそこには……薄く青がかった銀の髪とそこからぴょこんと顔を覗かせる長く尖った耳………どう見てもサティアの頭ですね


……なんで俺の身体は俺の意思に関係なく……欲望に忠実に動くのかな

こんなことしてるとまたサティアにしばかれ「…スー……スー…」…この娘寝てない?


泣き疲れて寝ちまったのか…


…ふぅ、助かったな


でも、本当にどうしよ

二人が寝てるから本格的に暇だ



1.サティアの耳をムニムニする

2.サティアの耳をペロペロする

3.サティアの耳をハムハムする

4.サティアの髪をクンカクンカする

5.敢えて獣人の娘の猫耳と尻尾に手を出す

6.イヤッホォォオウ、国崎最高ォォォォォォッ!!と叫ぶ



……ろくな選択肢がないな…

と言うか最後のは何だよ?

叫んだら外のサーシャに聞こえるだろ


《ぼく的には5番かな》


………ん?この声は


《やっほ~、久しぶりだね》


俺を転生させたサトリか…


このサトリ、転生してからもちょくちょく話しかけてくるんだよな


まぁ、話し掛けてくる度に元の世界のサブカルチャーの情報をくれるからありがたいんだけど……何気に未練だったし


ちなみに、俺がサトリからもらった知識ってのは直接脳や魂に刻み込まれたのではなく、頭の中にデータベースを構築してそこに検索をかける感じ

サブカルチャーの情報は新しくそこに追加される仕組みだ


《ねぇ、なんで君はいつもぼくをサトリ扱いするかな?

毎回神だって言ってるよね?》


だって心を読む妖k《だから違うってば》


このやり取りも毎回恒例だよな…

月一ペースで五年間続けてるから飽きてきたな


《それじゃあ止めようよ》


でも今さら神扱いするのも微妙だしな…名前聞こうにもこいつ名前聞いたら俺死ぬし……あ、それなら俺が適当に名前をつければいいんじゃん


《……はぁ、もうサトリじゃなければ何でもいいよ》


よし、それじゃあ…

 

…ゴロリで


《なんでゴロリ!?

ワ○ワクさんの相方?》


ばっか、違ぇよ!

サトリ→悟り→小五ロリ→ショウゴロリ→ショウ・ゴロリ

でゴロリだ


《結局サトリじゃん!?》


まぁ、落ち着け

もう五年間サトリ呼ばわりなんだからいいじゃねぇかよ


《百歩譲ってサトリを受け入れても、せめてショウにしてよ!》


ショウだとなんとなくカッコいいから気に入らないので却下


《えー…》


で、ゴロリはどうしたんだ?

ただ駄弁りたいだけならサティアか獣人の娘を愛でるのに忙しいから、また今度にしてくれ


とりあえず煩悩の導きに従い獣人の娘の猫耳と尻尾に手を出すのとサティアの耳をハムハムするのに決定したし


《……もうゴロリ確定なんだ…

しかも、いまの思念にまったく嘘偽りがないし》


ええ、純度100%の本音ですが、何か?


《……はぁ…いつもの新作データのデリバリーと、ちょっとした報告があったんだけどね

まぁ報告の方はいいかな~

その様子だと問題なさそうだし


それじゃあ、いつも通りインストールして………あ、また地球の科学者が世界滅ぼしかけてる》


またかよ、あの世界ってよく滅びの危機に陥るな

3ヶ月に一回くらいのペースで滅びかけてないか?


《まぁ、そんな感じだね~

しかも今回は地球自体に大きな爪痕を残すようなヤツだからちゃんと止めないと

人類だけが滅ぶなら放置するのに…


それじゃあ行ってくるから、またね》


ああ、またな


《あ、そうそう、その娘達さn……二人とも大切にしなよ》


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ