DOGEZA だが、赦さん
年齢は20代半ばくらい
青い髪で、メガネをかけた青いつり目
背は高く、スラッとした体型で女性物のスーツ姿
出来る女を体現したような女性だ
「もう一度聞きます、何をしているのです?」
その女性はクリーチャーに向かって声をかける
「こ、これは違うのよ
ほら、この子が女児向けの服が欲しいって言うから着せてあげようかと思って…」
欲しいとは言ったが着たいとは言ってねぇよ
「ああ、言い忘れていました
わたくし、しばらく前から見ていましたよ
あなたは着せてあげようかと思っていたと言っていましたがお仕置きと言っていましたね
つまりこの子が着るものでは無いことがわかっていたのでしょう?」
「そもそも、あなたには店に出ない、男の子に女向けの服を着せないと言い付けてあった筈ですが?…
だいたいあなたは………」
突然現れたクールビューティーなお姉さんがクリーチャーに説教を始めたけど……この人何者?
「あれは誰だ?」
とりあえず店員に聞いてみる
「あの方は店長の奥方のキエス・アベル、当店のゼネラルマネージャーです」
あれが留守にしてたゼネラルマネージャーか…
……結婚する相手盛大に間違ってないか?
とりあえず夫婦間のパワーバランス圧倒的にクリーチャーが下みたいだな
「アンナ、なぜアレを解放したのです?
外には出すなと言い含めておいたはずですが?」
店員と話していると説教の矛先が店員に向いて来た
…この店員名前はアンナっていうんだ
クリーチャー、アレ呼ばわりかよ
本当に夫婦なのか激しく疑問だな…
「あの、お客様にですね王族の方がいらっしゃいまして
さすがに私では荷が重いですし、こういう時は最高責任者が応対するのが筋では、と思ったのですが…」
うん、言ってることは間違ってはないな
むしろ正解だ
「世間一般では正しい認識ですが、この店では不正解です
アレを王族の方の目に触れるなんて最上級の失礼に値します
不敬罪を適用されても弁護のしようがありません」
言ってることにメチャクチャ同意なんだが、本当に夫婦かお前ら?
「うちの者が大変失礼を致しました」
身内への説教が一段落したのかキエスが俺達に DOGEZA してきた
この世界にも DOGEZA ってあったんだな…
「頭をあげるがいい」
「………」
ふむ、こっちの世界の DOGEZA も相手がやめろと言っても崩していいものじゃないのか
俺のいた世界なら上級の謝罪であると同時に、相手の譲歩を引き出すための技だっただからそれと同じと考えるべきだな
それならコイツの引き出したい譲歩は何か…
たぶん、この店を罰しないことだろうな
まぁ元々罰するつもりはなかったけど……気に入らない
ぶっちゃけ俺の中では DOGEZA は謝罪じゃなくて脅迫と考えている
特に人前でするものは
相手が譲歩しない場合は『 DOGEZA してまで謝っているのに赦さない酷い奴』って不名誉を押し付けてるからな…
ってなわけで
「頭をあげろ
あげない場合は脅迫と見なし、この店に罰を与える」
「…っ、わかりました」
譲歩を引き出せなかったからか若干悔しそうにしながら頭をあげる
……けど気付いてないみたいだな
間接的に罰しないって言ったことに
こいつゼネラルマネージャーとしてはまだまだだな……
…あ、だから人気ブランドなのに店が分かりにくい場所にあったり、交通の便の悪い場所にあるんだな…
有名だもんな、やたらと行きづらい場所にあるって…
わざわざ貴族用と平民用の店舗を分けたりして努力はしてるみたいだがあまり効果ないみたいだし
陳列されてる服も縫製やデザインはいいものの素材がいまいちな物が多い
たまにある素材のいいものはクリーチャーが自ら狩りに行って手に入れた物かな
発想や技術はあるけど交渉が上手くないんだな
…このままだと老舗ブランドに潰されたり、腐れ貴族の食い物にされるな
……パパンに許可もらってうちの傘下にしようかな…
元々サティアのためにも提携を持ち掛けるつもりだったけど、経営に不安のある所とは提携したくない
それならいっそのこと傘下にして経営を鍛えた方がいいな
提携なら俺の独断でもできるけど、傘下に入れるとなるとパパンの許可が必要だから後日改めてくることにして
今日は服を買って帰るか
「さて、本題に移ろうか
今日買いに来たのは2・3歳向けの下着を含めた服を3セットとサティア様に似合う平民向けの服を一式だ」
「かしこまりました
予算のどのくらいでしょうか?」
「金10だ」
日本円にして10万ほど
まぁこれだけあれば買えるだろ
……これで俺の貯めて来た金のほとんどがなくなるけど
「あらん、気前がいいのねん
でも王女様に平民向けの服でいいのかしらん?」
「王侯向けならばここに来る必要はないからな」
「それもそうねん
そろじゃあ、王女様こちらへ…」
「あー、アンナとキエスだったな
お前達がサティア様の服を選んでくれ」
サティアにクリーチャーを近付けるのは不味いからな
「はぁ、わかりました」
「それでは王女様こちらへどうぞ」
「……えぇ、わかったわ」
サティア達は離れて行った
「うふふ、ありがとねん、若様」
「何がだ?」
「この店を罰しなかったことよん」
こいつは気付いてたか…
「何のことだかわからんな」
とりあえず惚けておく




