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深夜の幽霊コンビニ

人間界のコンビニの跡地を、幽霊専門のコンビニに変えてしまおうと考えたのは名案だ。

今日も今日とて面白いものが見れるのではないかと足を運ぶ。


「元気くんはやくはやくー!」

「ちょっ二人ともはやすぎやー!!」

そういう元気くんの顔は笑顔で、見ている私も顔がほころぶ。

「芽衣、今日買うものはもう決まってるの?」

「新作の小説と、あと缶コーヒー久しぶりに飲みてぇな」

うっすらと笑みをこぼしながら答えてくれた。

「そういうつむぎは今日の狙いなんだよ」

「私は栗むいちゃいました欲しいんだ」

「時々食ってるよな」

「追いついたで、間に合ったか?」

夜の街に、幽霊だけに見えるお店!

「深夜のコンビニだー!!!」


「俺の目当てはこれや」

そういって手に取ったのは新作の糖分だけをなくした味の変わらないという不思議なコーラ。

「人間界にはないけど、幽霊が開発するモノもあるっていうのが面白いよね」

「お、来月にはファンタも糖分なしが出るってよ」

「ほなまた買いにこなあかんなぁ」

見るからにご機嫌な元気くんがずかずかと店内の奥深くへと進んでいく。

「私が一歩先に歩く!」

「誰でもええやん!」

「新作は私が見つけたい!」

だって心が躍るんだもの!

普段ネットでしか買わない私たちにとって、少し足を伸ばしてお店に出向くというのはそれだけでリッチな時間なのだ。

「みてみて!丸ごとマイクロソフトクリームだって!」

名前が面白くけたけたと笑って見せる。

「ただのソフトクリームじゃね?」

「それは言うたらあかん」

元気くんが芽衣の肩に手のひらを乗せやれやれといったように困って見せた。

おもわず元気くんの手のひらをぺちっと叩いた。


「買うもの決まったか?」

「決まったよ!誰でも相手になりなさい!」

両手に栗むいちゃいましたとカルピスウォーター、娯楽用にいいなと思った人間界の漫画を抱えながら、えいえいおーだ!

「誰って、相手決まっとるやん。ほら」

苦笑いしながら元気くんは視線を泳がせた。

その先にはこのコンビニの店主が我こそはと待ち構えている。

「相変わらずムキムキだね」

「元気、今日は勝てそうか?」

「かかかかかかかか勝てるにきまってるやん」

しかしコーラとポテチを持つ手はぶるぶるとわかりやすく震えている。

緊張を和らげようとして、私は元気くんに膝カックンをかました。

「つむぎこら!コーラとポテチ落ちてしまうや…ん……」

元気くんの前に立ちはだかる大きな大きな筋肉。

「君からかな、いこうか」

「え?逝こうか?どこへ?」


あっけなかった。秒だった。

普通に負けた。

「すごーい、変わらず毎日鍛えてるんですか?」

「俺のコーラとポテチ…あと腕めっちゃ痛い!もうちょい手加減してや!」

腕相撲に。

「しっかし、毎回新作ばっかどこから仕入れるんだよ、おっさん」

ひぇぇ。芽衣が怪しげに笑ってる。

「君は、さっきの人とは違って鍛えてありそうだね」

「無意識に俺のこと悪く言うたな!!」

おっちゃんに飛び込みそうになっている元気くんお首根っこをつかむ。

「全員負けたらやろう」

ぼそりと元気くんに呟いてみた。

「つむぎが言うと冗談に聞こえんねん。…え、もしかして冗談やないん?」

さてどちらでしょうか。

にこにこと笑って見せた。


「いきますよー、よーい、どん!」

両者の腕が軽く盛り上がる。

どちらも勝ちを譲らない試合に、だんだんとギャラリーが増えていく。

「いけー!芽衣―!!」

「やれやー!そのまま台ごと壊してしまえー!!」

ざわざわとしてきた。

「がんばれー!姉ちゃん」

ギャラリーからも声援がたちこめる。

負けてられない!

「芽衣―!が!ん!ば!れ!!!」

お腹から声を出して精一杯声援を送る。

それが引き金になったのか、ギャラリーから声が大きくなる。

「同居人が最近当番守ってくれなくていらいらする!」

「それは大変や!芽衣!俺の分のコーラとポテチの恨みを果たしてくれ!」

元気くんも周りの人も各々好きなように叫び始めた。

「芽衣!よくわからないヤジに負けるな!」

「んん!!…うん!!!」

大きな音が響いた後、静寂が包んだ。

勝ったのは…

「芽衣!すごいよ!おめでとう!」

勢いよく芽衣の背中に飛びつく。

「すごいやん!何買うたんやっけ?」

ギャラリーからは大きな拍手があれよあれよと降り注いだ。


よし!私の番だ。

「おっちゃん、今日手首ねん挫したばっかりだから緩めにお願いしていい?」

「え?したっけ?」

横から覗いてくる元気くんの脛を強めに蹴る。

「どうした?怪我か?」

「畑作業してるときにうっかりやっちゃって」

少し情けないような気持ちになる。

それが顔にも出ていたのかな?


「……ゆるっゆるやったやん、つむぎのとき」

「前来た時もつむぎが、おっちゃんに勝ったの覚えてねぇの?」

「え、そうやっけ」

片手には戦利品を手にし、鼻歌を歌いながら二人のほうに振り向く。

「ま、勝ち方はひとつじゃないってね!」

「……前回は」

「男性恐怖症って言って不戦勝」

「最低や!」


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ここまで読んでくださりありがとうございます。

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