コーヒー。
天が鳴り地が叫ぶ。
この世のものとは思えない光景。
言うなれば地獄。
そんな光景を前に文明人達は只々立ちすくむ事しかできない。
「ビビらすにはこんなもんでいいかな?よしゲス、手袋をはめてくれ。」
ゲスは失禁しながら手袋をはめる。
途端辺りは静かになっていく。
「さてお前達、これから10秒やる。精々逃げろよ?お前達最後の10秒だからな。」
そう言った途端ある者は腰が抜け、ある者は奇声を発しながら逃げていく。
「9、10。時間だ。」
まずは目視出来る連中を念力で拘束。
「残りはどこに行った?」
『こちらです、ハル様。』
サクラが場所を指定する。
シュンッ
「見ーつけた。」
シュンッ
念力で捕まえて元の場所に戻る。
それを繰り返す。
「これで全員か。じゃあそろそろ仕上げだな。」
拘束した文明人を1箇所に集め、その上空に巨大な雷を帯電させる。
「いいかお前達、俺は手を使わないと上手く落雷出来ないんだ。当たるまでやるからな?行くぞー。」
1発目、轟音と共に文明人の前方に落ちる。
「外したか、じゃあもう一回な。」
2発目、今度は後方に落ちる。
「よーし、感覚が分かった。次は当たるぞ。」
「ま、待ってくれ。悪かった、悪かったよ。だから許してくれ。」
リーダー格の男が半べそをかいて謝ってきた。
「なんで?」
「こ、こんな一方的なやり方あるかよ!」
「お前達がいつもやってる事だ。だから俺もやる。」
「それは……当たり前だろ俺達は───」
「人間だろ?同じ。何が違う?優れているのか?じゃあこのざまはなんだ。」
皆俯き口を開かない。
「言いたい事はそれだけか?じゃあ落とすぞ。おいゲス、集中したいからカウントして。」
「3…2…1…」
ゲスも震えている。
「……悪かっ──」
「じゃあな。」
そして巨大な落雷は彼らめがけて落ちた。
……
……
……
「……あれ?ここはどこだ?確か俺達は──」
「よう、お前達。ここは俺の家だ。コーヒー飲むか?」
落雷を落とす直前にこいつらの前に行き、そのままヒロの家にテレポートをした訳だ。
「ちょっといきなりこんなに連れてこないでよ!何事?」
そう言いながらヒロはコーヒーを作るのに必死だ。
「まぁとりあえずコーヒー飲もうぜ。」
……
「俺達をここに連れてきてどういうつもりだ?」
「一緒にコーヒー飲みたかっただけだけど?」
「……」
「……」
長い沈黙が続く。
聞こえるのはコーヒーを啜る音。
「……よし、学校に戻るか。」
「なっ……何にもないのかよ。」
「ん?ないよ。」
「……俺達に手を出しておいて、アンタただで済むと思ってるのか?」
「構わないさ。誰が何をしようが俺の周りの人達は俺が守る。」
「なんだってそんな他人の事を……」
「……力のある奴はな、力のない者を助けてあげなきゃいけないんだ。誰かの為に何かをする……それが強いって事なんだよ。腕っぷしじゃないの、分かる?」
「分かんねぇよ。分かんねぇ……」
「まぁお前達みたいに自分の為だけに動いてたら分かんないだろうな。」
「……なぜ俺達にとどめを刺さなかった?」
「バカだなお前は。」
「なっ……」
「もう忘れたのか?どんな立場だろうが人間だろうが俺よりも力がない奴は俺が助けてあげなきゃいけないんだよ。」
「俺達が……」
「今日俺に恐怖を感じただろ?それがお前達がいつもしている事だ。ちょっとは相手の事を考えろ、このバカ共。」
「口の悪い女だな……」
「じゃ、戻るぞ。悪かったなヒロ。」
「今日は寄り道するんじゃないよ?」
「……」
シュンッ
……
……
「はい、到着。」
「どうなってんだ一体……」
「じゃあなお前ら。」
「……おいっ。」
「ん?」
「……コーヒーありがとよ。」
「おう、また飲もうな。」
そう言って俺は振り返らずに手をふる。
『ハル様、私感動しました。』
「なにが?」
『あの者たちへの教育……素晴らしかったです。』
「子供だからな、発破かければすぐ乗ると思ってさ。」
「ハルちゃんっ!」
ルイが駆け寄ってきた。
と、同時に抱きついてきた。
「ど、どうした?」
「こっちのセリフだよ……大丈夫だった?どこか怪我してない?」
「……うん、大丈夫。」
「良かった……ホントに……」
「……ごめん、心配かけて。」
「ううん、何もなくて良かった……」
授業開始の鐘が鳴る。
午後の授業をすっかりと忘れていた。
……なんか疲れがどっと来たな。
というか──
「腹減った。」
アイツらのせいで昼飯を食べ損ねたからだ。
「……なんか食べに行こっか?」
「え?いいの?」
「うん、サボっちゃお。」
『ハル様、今日は祝勝会です!お肉にしましょう。』
「あーいいなー、肉かぁ。」
「ふふっ、楽しみだね。」
いざ焼肉屋へ。




