長生き。
「俺の家に来たい?」
「うん……ダメ?」
試験の翌日。
約束通りルイとデートになったのだが……
「全然良いよ!良いけど……」
「けど?」
「すげー汚いよ。俺もヒロもズボラだから。」
「ふふっ、気にしないよ?」
こんな事なら掃除をしておけば良かった……
とりあえず連絡しておくか。
「……あ、俺だけど……うん、お昼?家で食べるよ。いや友達が来たいっていうから……えっ?部屋?……助かるよ!ありがとう。2分で出来る?!凄いな……じゃあ後でな。」
なんだろう、この実家感は……
「大丈夫かな?急で迷惑だったよね……」
「いや、片付けない俺が悪いから……」
『仕方ありませんよ!ハル様は学業にモデル業、さらには女優業まで多岐に渡るご活躍。あの爺が適当過ぎるんです。』
「まぁまぁ……とりあえず行ってみるか。ルイ、手繋いで。」
「うん!」
シュンッ
……
……
「はい到着。」
「わー、なんだか秘密基地みたいだね……」
「色々あるからセキュリティが厳しいんだよ。場所も特定出来ないようになってるんだ。ただいまー。」
「……あなたね、もっと早く言ってくれないかしら。人様に見せられる部屋なの?」
「申し訳ない……」
奥でヒロが同じ反応をしている。
「いらっしゃい……ってなんだ、貴女なの?」
「会長さん?なんでここに?」
「色々とやる事があるのよ。だらしない二人も面倒みないとだし。」
「うっ……」
またもダブルリアクション。
「2分で片付けたわよ。部屋に行ってなさい、お茶いれるから。」
「ありがとう、ラウラも一緒に飲む?」
「遠慮しとくわ、邪魔しちゃ悪いから。」
「ほら、こっちだよルイ。」
「お邪魔しまーす……」
……
「うわっ、凄いなこれ……」
とっ散らかってた部屋がまるで別物になっている。
ラウラ様様である。
「……」
ルイが目を閉じて嬉しそうにしている。
「どうした?」
「ハルちゃんの匂いがいっぱいするから……ちょっと浸ってました♪」
可愛いなルイは……
「ハルちゃんここで寝てるの?」
「あぁ、ちょっと可愛すぎるけどな。」
この世界で初めて目覚めたベッド。
ヒロが用意してくれた奴だ。
ルイがベッドで横になる。
変な匂いがしなきゃいいけど……
コンコン
「入るわよ?……はい、お茶とお菓子。」
「ありがとう、部屋綺麗にしてくれて助かったよ。」
「これからは気をつけなさい……何か用?」
ルイがラウラを見つめている。
あまり見ない光景だ。
「……ううん、何でもない。会長さんも一緒にどうです?」
「私はお昼ご飯作らないとだから遠慮しておくわ。」
「会長さん料理もやってるの!?」
「この人達、得体の知れない物食べていたから。でも私だって料理得意じゃないのよ。この人はなんでも美味しいって言って食べてくれるから良いんだけど、ヒロ博士は味付けが合わないみたいで……」
「……私も作ってみても良いですか?前にそのヒロさんから作ってくれって言われたし……」
「そう?じゃあ一緒にいいかしら。あなたは宿題溜まってるでしょ?今消化しておきなさい。」
「はいはーい。」
『ではハル様、私───』
「……オーベイにやらせないでよ?いいわね!?」
「はーい……」
……
……
「へー、貴女手際が良いわね。そうやってやればいいのね。」
「お姉ちゃんと作ってたから……私それくらいしか取り柄が無いし……」
「じゃあそっちは任せたわよ。私はあの人の分作るから。」
「……会長さんってハルちゃんの事……好きですよね?」
「すっ……好きっていうか何ていうか……」
「さっきハルちゃんのベッドから会長さんの匂いがして……私と同じ事したのかなー、なんて思って。」
「えっ!?…………言わないでよ?」
「ふふっ、言いませんよ?」
「……好きじゃなきゃこんな所来ないわよ。」
「会長さん綺麗だし頭も良くてイクスも次席で……私なんか敵わないや……」
「……まぁ貴女普通ですものね。」
「うっ……」
「どこにでもいる普通の子。だからじゃない?あの人が貴女に惹かれる理由は。」
「えっ?」
「……残念だけど私もあの特殊クラスの子も普通じゃないわ。ちょっと違う世界に住んでる様なものよ、勿論あの人も。特にあの人は……次元が違う所にいるわ。」
「でもっ……ハルちゃんは──」
「普通だって言うんでしょ?あの人なりに藻掻いてるのよ。普通に暮らしてる人のように振る舞って。皮肉だけど……あの人の目指してる世界にあの人は必要無い。それはあの人が一番理解しているわ。だからもし二択を迫られたらあの人は躊躇なくこの世界の為に死ぬ。あの人は……貴女みたいに普通に暮らしている人に憧れてるのよね。だから貴女はそのままでいいんじゃないかしら?」
「そのままで……」
「ほら、手が止まってるわよ?」
「ごっ、ごめんなさい……」
……
……
「わー、今日は豪華だな。ラウラもルイもありがと。」
「ほぉルイ君が作ってくれたのか。どれどれ……」
「お口に合えばいいんですけど……」
「うん!美味しい!こりゃいい。」
ヒロがニコニコしながら食べている。
見たことの無い表情だ。
ふとラウラを見ると少し寂しげな顔をしていた。
「……いただきまーす!」
口の中に入れられるだけ入れる。
パンパンだ。
「ちょっと……そんなに急いで食べないでよ。」
「ふん、ふはいふはい。はっははうはほふふふほはんはふはいはー。」
「もう……なんて言ってるの?」
「……はー。やっぱラウラの作るご飯は美味いなー、って。」
「……ほら、口に付いてるわよ。」
「あぁごめんごめん。いつも美味しいよ、ありがとな。」
「そう?じゃあ……私はいつまであなたの為に作り続ければいいのかしら?」
いたずらっぽくラウラは聞いてくる。
「うーん……ラウラが作れなくなるまで?」
「もう……そんなにこき使うの?」
「いやそんなつもりは……」
するとラウラは俺の口についていた米粒を指で取り自分の口に運んだ。
そして微笑みながら
「いいわよ、あなたが死ぬまで作ってあげる。だから長生きしなさい?」
「ラウラ……」
「青春だねぇ、ルイ君はいいの?」
「ホントは私とデートの予定だったのに……」
『真っ昼間っから熱いですね、他所行ってやってもらえます?一人で。』




