モンブラン。
「ハルちゃん、今日も学校お休みかな?」
「今日はショートムービーの撮影と取材、それにストル地区でイベントがある。午後1時間くらい空きがあるからその間ここにくる。」
「マクシルちゃんマネージャーみたいだね……」
「ファンクラブ会員第1号だから。」
「えっ!?そんなのあるの?」
「今をときめく女優ハルるん。毎日何万人も会員が増えてる。」
「私も登録しないと……」
……
……
『はい!やってきましたストル地区!さ、ハル様仕事です!』
「ちょっとあっち行ってみようよ。なんかいい匂いするし。」
『あちらはですね──』
……
……
「いやー参ったな、迷子だ。サクラも反応しないし……もしアンドロイドでも出たらどうしよう。今は大人しくしてたい時期だし……」
「あっ、ハルるんだ!サイン下さい!」
9歳くらいの男の子だろうか。
目をキラキラさせてやってきた。
「いいよー……はい、どうぞ。」
「ありがとう!うわー、大切にするね!」
こんなに喜ばれるとこっちまで嬉しくなるな。
「そうだ!少年、俺この辺でイベントやるらしいんだけど……やりそうな場所って分かるかな?」
我ながら目茶苦茶な質問だ。
「ちょっと待ってて!ねぇ、ハルるんのイベント会場分かる?」
少年は端末に向かって話し始めた。
ん?この端末……
『センター近くの複合施設です。案内します。』
「だって!ハルるん案内するよ!」
「ありがとう、助かるよ。」
これって……
『次の交差点を右です。その後129メートル直進します。』
「……ねぇ、これってオーベイ?」
「うん!凄いでしょ!」
へー、サクラ以外に初めて見たな。
「サクラって?」
「あぁサクラは俺の……ん?俺喋ったっけ?」
「ううん、ハルるんプロテクトかかってないから!」
「あぁテレパシーか。凄いな少年!」
「へへっ!ボクね、ハルるんの大ファンなんだー。ハルるんの気配を感じたから来てみたらホントにいるんだもん!」
「ありがとな!ところで少年、名前は?」
「キューネヤレッハ!僕も結構有名人なんだよ?」
「へー、キューネヤレッハね。カッコイイ名前だな。」
「へへっ。あっ、ここだよハルるん!」
巨大な建物。
見たことのないスケールだな。
見上げれば天高く、見渡せば端が見えない。
「ありがとう、Qちゃん。」
「Qちゃん?」
「キューネヤレッハだとカッコイイけど長いでしょ?呼びやすいし。また会おうな!」
「うん!ハルるん頑張ってね!」
……
……
「ハルちゃんまだかなー……」
シュンッ
「いやー、ハードハード。」
「ハルちゃん!お疲れ様。コーヒー飲む?」
部室にテレポートするとルイが出迎えてくれた。
「ありがとう、貰おっかな。」
『あー、やっと出られるー!』
「サクラ!どうしてたんだ?」
『ハル様、お気づきにならなかったのですか?』
「何が?ストル地区のハンバーガーに見たことのない野菜が入ってた事?」
『あれはですね……って違います!アンドロイドです。』
「アンドロイド?そんなのいたっけ……」
『ストル地区代表にして最強のアンドロイド、キューネヤレッハ。ハル様を除けばこの世界で1番の強者です。』
「Qちゃんが!?だってあの子まだあんなに小さいんだぞ?」
『彼は実験により、複数の魂が混合され作られた偶然の産物。唯一自我を持つアンドロイドです。その無邪気さ故に文明人でさえ手を焼く始末。因みにあの身体は彼の要望で作られた物です。そして彼の自我を遠隔で切り離せる時間は一日1時間が限度。イクスではその1時間で方がついてしまいます。』
「作られた……」
『1時間粘ればこちらの勝ちでしょう。手を出さずして勝てます。』
「……」
『ハル様……』
「Qちゃんを救ってあげないと。アンドロイドだろうが何だろうが、小さな男の子だ。なんとしてでも救い出す。」
『そうですね、ヒロ様に頼めば遠隔チップも取り除けるでしょう。』
「しかしイクスまでは大人しくしていないとだからな……」
「コーヒーお待たせ、ケーキもどう?」
「ありがとう……こうして待つしかないのかな。」
「はい、ケーキどうぞ。」
「おっ!モンブランだ!こればっか食べてたなー……あれ?モンブランなんてこの世界にあったっけ?」
「夢でよくハルちゃんが食べてたから……色的に栗かお芋かどっちかなって思ったけど……栗が乗ってたしそれで良かったかな……?」
「ハルちゃん感動です……ありがとうルイ、大好きだよ。」
「へへ……私も。」
『甘いのはケーキだけにして下さーい。』




