あなた。
ルイは静かに語りだした。
「初めは不思議な夢だなくらいにしか思わなかったんだけど……何回も見るからおかしいなって思ってたの。断片的なんだけど、誰かの記憶を辿っているみたいだった。」
断片的な……記憶……
「言葉は全然分からなかったんだけど、その人の感情は私の中に流れ込んできて……それで気がついたの。私とは感受性が違いすぎる事、私の心が追いつかなかったの……」
「感受性?」
「うん……街を歩いててね、それだけで色々な感情が湧いてくるの。草木を見るだけで優しい気持ちになって、空を眺めて自由を感じて……花も虫も猫も犬も人も、その人にとっては変わらない、同じ命。不思議な人だった。」
「……」
「とにかく優しくて……見てるこっちが心配になるくらい人が良くて……なんだかいいなって思っちゃったの。」
「……俺がいるのに?」
「ふふっ、妬いてくれてるの?」
「当たり前でしょ。それで?」
「……なんとなく思ってた事があって。多分そうなんじゃないか、って。ある夢の時に見たことない乗り物に乗ってて……なんだかこの景色見た事ある、そう思ったの。そうだったら良いなって事が……少しずつ確信に変わっていった。それでね、今日分かったの。」
「?」
「その人ね、水溜りに落ちてた花の綿毛を拾って遠くに飛ばしてあげてたの。ね、誰かと一緒。」
「ルイ……」
「凄く嬉しかった。私は……あなたという人間が好きなんだって事が。たとえ違う世界にいても、私はあなたが好きなの。ハルちゃんっ───」
そう言ってルイは俺に抱きついてきた。
「ルイ……その、俺……」
「言わなくていいよ、ハルちゃんはハルちゃんでしょ?私の大好きな……」
そのままルイに押し倒される。
「ル、ルイ──」
唇で唇を塞がれる。
「照れてるの?顔真っ赤だよ?」
「だって、その……色々知られちゃったし……」
「もっと教えて?ハルちゃんの事……」
ルイから大人のキスをしてくる。
もう思考が追いつかない。
「ルイ、こういう事はもっと大人になってから……」
「ダメ、逃げないで。イヤなの?」
「イヤじゃないけど……」
色気ある目で俺を見つめてくる。
と、同時に俺の服を脱がそうとしてくる。
「ルイ、それはマズいって……」
「私の方が女の子の体知ってるから……私に任せて……」
そう言って服を脱がされる。
「ルイ、恥ずかしいよ……」
「可愛い、ハルちゃん大好きだよ。」
俺が誰なのかとか、男とか女とか、そんな事俺たちには関係なかった。
俺はたまたま女に生まれ変わっただけで、ルイは好きになった俺が女だったってだけで……
愛し合うのに理由なんていらなかった。
改めて、この世界にこれて良かった。
そう思える一日だった。




