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キュンキュン。


「こいつは俺の女コンテスト……なんじゃそりゃ……」


 ゲスい……名前も何もかもがゲスい。


『さぁここでルールを説明させて頂きます。東京ドーム6個分もあるこの広いフィールドの中で参加者には様々な難題が迫ってきます。その難題を解決するのは当り前。ここで重要になるのはペアの女性の方、そして審査員を如何にしてキュンキュンさせるか。勿論決め台詞はこちら“こいつは俺の女”。この言葉を上手く使い一番キュンキュンさせたものが優勝となります。カロル地区で考案されたこの大会は今やこの地区の名物の一つとなり、今回は記念すべき50回目の大会となっているのです。』


「……長っ!っていうか何この大会……」


「という訳で、皆さんは自分のペアになって貰うっす!」


「……なる程な、俺の女感を出したい訳だ。」


 またしても女性陣の視線は冷たい。


「お願いっす、それくらいの自尊心満たしたいんす……」


「だってさ、みんなどうする?」


「ハルちゃんがペアならいいよ。」


「私も。」


「たまには自分にも花を持たせて欲しいっす!」


「……今回だけだぞ?仕方ない、みんな協力してやるか。」


「早速登録してくるっす!」


 ……


 まぁなんというか、くだらん大会だな……

 しかしこの規模でこれだけの人数がいるんだから人気なのは間違いないんだろうけど。


『ルイ様、────』


「……分かった。やってくるね。」


「ん?」


『さ、ハル様、優勝目指して頑張りましょう!』


「俺が頑張ってどうする……」


 ……


 ……


『というわけで大会スタートです!』


 さて、何かイベントが起きてそれをゲスが解決すれば良い訳だな。

 

 すると目の前に巨大な岩が落ちてきた。

 危なっ……

 っていうかこれでどうやってキュンキュンさせろって言うんだ……


 様々なカップルがこの岩を使ってなんとかしようとしている。


「……ゲス、これじゃ無理だろ。他のところに行こう。」


「いや、こういうのは……シチュエーションっすよ!そうっすね、巨漢が投げた岩を自分が受け止めてそこでの一言、的な感じでやってみるっす!」


 めんどくせー……

 まぁ手を抜くのも悪いしやってみるか。


「きゃー、助けて!大きな岩が!!」


「ハルちゃん可愛いー!」


『キャー!ハル様ーー!』


 おいおい折角の演技が……


「ここはおいらに任せろっす!」


 続けんのか……おいら?


「くっ、なんのこれしき!絶対に……絶対に渡さない!こいつは俺の女っす!」


「……」


「どうすっか!?」


 ゲスの端末に表示されるポイントはゼロのままだ。


「そんなんでキュンキュン出来るか!」


「所詮ゲスの限界。」


「あれ、ハルちゃんにポイント入ってるよ?」


 端末を見ると確かに俺にポイントが入っている。


「おかしいな、女側なのに……っていうか壊れてないか?これ。」


『先程のハル様の演技、私キュンキュンしました。』


「私も……」


 ……セリフはいらないのか?

 一体どういうシステムなんだ……



 ゲスはその後も色々と試したが散々だった。


「おかしいっすね、キュンキュンするはずなんすけど……」


「あのなぁ……あれ?ルイとマクシルは?」


「さっきまでいたんすけど……」


 その時端末に連絡が入ってきた。


「ハルちゃんっ!助け───わた───」


 ノイズが入ってうまく聞こえない。

 助け……助けて?


「サクラ!二人はどこだ!」


『この先の小屋です!』


「くそっ!」


 迂闊だった。

 もっと気を張っていれば……


『ここです!』


「ルイ!マクシル!大丈夫か!?」


 その小屋には縛り付けられた二人が男達数人に囲まれていた。

 二人は気絶しているようだ。


「……お前らなんのつもりだ。」


「なんだ女か。」


「女だったらなんだよ?そこをどけ、このクソ野郎。」


「ふっ、威勢の良い奴だ。俺らは大会側に雇われたんだ、男が来るまで女を好きにして良いっていう条件でな!」    


「どいつもこいつも……手荒い事はしたくないんだ、頼むから離してくれ。」


「ダメだ、離して欲しけりゃ男を連れてこい、それともお前が男の代わりなのか?ハッハッハ!」


「……出来れば代わりたいさ、なんで男じゃないんだろうって何回思った事か。」


「なんだ、お前女のくせに女が好きなのか?変な奴だ。」


「こんな俺でも……慕ってくれる子がいるんだ。その子達の思いを無下には出来ないだろ、それにな……」


 シュンッ


「なっ、一瞬で……」


「人が人を好きになっちゃいけない理由があるのかよ!」


「チッ、生意気な。お前らやっちまおうぜ!」


 物陰から更に数人の男達が出てくる。

 

「……なにをやっちまうって?」


「うっ、動けねぇ……」


「やれるもんならやってみろ!二人は俺の女だ!手出しする奴はブッ潰す!」


 俺が守らなきゃ──


 “ビーーーー”


 謎の音と共に歓声が聞こえてきた。

 一体何なんだ?


 その瞬間小屋が消え辺りは人で埋め尽くされていた。

 歓声が鳴り止まない。


「な、なんだコレ?小屋は……?」


「ピンクの姉ちゃんよ、これも大会の一つだったんだぜ?小屋はただの立体映像だ。」


「は?えっ?」


「ほら、連れは無事だ。見てみな。」


 振り返るとルイとマクシルが抱きついてきた。


「二人共……どういう事?」


「暴漢に捕らえられた恋人を救うっていうお題なんだって。その……こっそりハルちゃんを参加者に登録しておいたの。私とマクシルちゃんが恋人役で。」


「……えっ?」


「ハル、カッコ良かった。」


 ウソだろ……

 じゃあなんだ、あのやり取りがここにいる全員に見られてたのか?


 そこへ司会者らしき女性がやってきた。


「おめでとうございまーす!お姉さんカッコ良かったですよ!迫真の演技でしたね!」


「演技……?」


「えっ?違うんですか?」


「……」


 顔が赤くなっていく感覚がする。

 恥ずかしくて俯いてしまう。 


 その姿に会場全員がキュンキュンしたらしい。

 

 過去最高点で優勝した。

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