⑮ 昨日見た夢 2
「ふむ…………」 起きた、朝だ。
「またあの夢か…」
昨日、おそらく夢を見た。それは敵を倒す夢だ。沢山の敵を倒す夢
色々と良心の呵責に悩ませられる事はあったが、まぁ、うん
あれは確かに夢だった。それもかなりリアルな夢だ。
現実と見まがうくらい、はっきりとした夢
今でもこの体で敵を引き裂いた感覚が残っている。
奴等、敵の内物を抉り出し、それを弄んだ。
だって夢だったから、夢ならば何をしても許されるだろう
そう、あれは夢だった。なぜなら私はここに居るから
あの夢、どこまで行ったっけ?
ああ、そうだ。彼女にガスマスクを付けてあの要塞を抜け
それから、また森の中でキャンプしたんだ。
この現実で敵と対峙する為にと篭城用に買った物資が役に立った。
そして身に付けた鎧。これは将来。空に上がる為に作り出した
自分の宇宙用スーツを戦闘用に改造したもの
万が一の為の筋力増強のカスタムも行い
鎧の表面には特殊な加工を施し、それは全てを弾くよう細工した。
熱にだって強い。そうだ、そもそも宇宙用に作ったのだから
太陽に突っ込むくらいの覚悟でなければならないだろう
だが、それが現実で使われる事は無かった。
なぜなら私は襲われていない。もはや外は朝だ。
篭城は不発だった。
折角篭城用の物資も集めて、その準備をしていたのに
篭城は明日だった?
いや、そもそも私がそれを思いつたのも夢での話が切っ掛け
ならばそれは私の思い違いだったという説が濃厚だろう。
「あの夢………」
あの夢は、いったい何だったのだろうか?
数多くの私を狙う敵。そしてあの四肢を切断されたあの少女
そうだ、私はあの少女の「騎士」になるのだと言っていたな。
ふふ、騎士か… 家族の誰一人も守れなかった私が騎士?
夢での出来事とはいえ、私も大それた事を言ったものだ。
まぁ、どうせ夢での話、ではあるのだが…
「三度…… あるのか?」
だが二度ある事は…っという言葉もある。 …………ふむ
「あそこでは、こちらの物資を持ち込めたな」
私は隣で立つ我が騎士を見やる。
「………………………」
それは非常にヌボーっとした顔で、似合わない仁王の仮面を付けて立っている。
「彼」は結局あちらの夢では使わなかった。彼女の護衛に使ったのだ。
そして、思った。
「これ、目立つな」
それは仮面の事、では無い。つまり彼自身だ。
そう、彼は異様である。それでなくても彼は目立つのだ。
ネットでも彼は有名なようだった。
動画サイトに彼の盗撮映像がある事は知っている。
彼は「統失ロボ」などという名称で呼ばれ慕われているようだった。
彼は子供とじゃんけんなどして、外では遊んでいるようだ。
海外でもその存在は知られているようで、創造主として鼻が高い。
私の事についても書かれているが… まぁそれは良いだろう。
「とにかく、君は目立ちすぎるな」
ならばする事は? ………うむ
「あはは」
私はにこやかに笑って、その準備を始める。
ああ、そうだ。いつまでも四肢が無いのも可哀想だ。
持ち込める、と言うのなら
「彼女の義足も作っておくか」
そう思い、私はそれ等を行う準備を始めた。




