それぞれの場合2
「せっかく俺がチャンス作ってやったんだから、絶対に決めろよ」
そんな悠哉からのメッセージを受け取り、藍空は頭を抱えた。
「(無理に決まってるよ悠哉…!!
七海さんは僕の事男として見てないんだから…!!)」
そんな遥香はと言えば、藍空の苦悩など気付かず、最近人気のある映画の話に夢中だった。
「…九十九君?」
「(大体僕がこういうの苦手って知ってるはずなのに…)」
「おーい?」
「(仕方ない…今日は諦めよう…)」
「九十九君ー?」
「えっ、わっ、ごめん七海さん!!
何の話だっけ?」
「大した事じゃないんだけどね、九十九君てこういうの興味ある?」
遥香が出したのは、2枚の映画のチケット。
正に今さっき遥香が話していた映画だ。
「知り合いに貰ったの。
藍那と悠哉も誘ったんだけど行かないらしいから、九十九君はどうかなあって思って」
「(これは僕が言えないと分かってて先にチャンスを用意してくれてたのか、ただ単に面白がってるだけなのか…)」
恐らくどちらもだろうとは思うけど。
「でも僕で良いの?
他に一緒に行きたい人とか…」
「いないいない。
九十九君だから誘ったんだよ」
今が夜で良かった。
きっと自分の顔は赤くなっているだろう。
「…七海さん、僕は、」
親友と妹にこれだけお膳立てされたら、覚悟を決めるしかない。
藍空は真剣な表情で口を開いた。
数分後、闇夜道を歩く2人の男女はどちらも照れたように笑っていて。
同窓会を経てそれぞれ未来への恋路を歩み出した。




