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MFブックス対象に応募してみました。


メンテナンスが終了の予定時間であることを確認し、僕はSAを起動した。既にアップデートファイルはインストール済みだ。

今日は大学が早く終わり、教授にも研究室に来なくても良いと言われているので、家でのログインとなる。正直、大学の研究室にあるブラックボックスの方が性能が良いので研究室でログインしたかったが、私用厳禁の掟は破れない。

何事もなくログインした僕はイベント報酬のアイテムをギルドより受け取り、クランホームへと向かう。

ホームには既にお客が何人か居て、彼等と挨拶を交わしながら奥へ向かう。アイテムをクラン倉庫にしまい、装備をウェイターのそれに変更する。

ホールに戻りアルマと雑談を交わす。まだ五時過ぎなのであまり混んでいない。その過程で今回のアップデートについての話題が上がる。


「それでワカは『魔大陸』に行くの?」

「そうだねぇ、取り敢えず様子見かな。あ、そうだ。六時のお知らせってなんだと思う?」

「さぁ?こういうのって珍しいでしょ?今までこういうのあった?」

「うーん、正式サービス開始初日と一周年記念の時にあったぐらいかな?」

「その反応だと微妙な感じね」

「そりゃ微妙にも思うよ、何でこんな時期に?五周年記念やるにしてもまだ先だぞ・・・?」

「それもそうね」

「まぁ、取り敢えず見てみない事には分からないだろうね。告知ってあった?場所分かる?」

「中央広場だって、どこの・・・とは書いてないから街だったらどこでもいいんじゃないかしら?」

「なるほどね。オーケー分かった、僕は見に行くけどアルマはどうする?」

「私はパス、晩の仕込みがあるから」

「分かった。一人で行く事にするよ」




さてはて、問題の時間直前の中央広場だが、やはり人でごった返している。まぁ、いつもごった返しているのだが今日は普段の五割増し位に感じられる。

見知った顔も何人か覗える、皆一様に疑問と期待がない交ぜになった表情をしている。

恐らく、僕と同じように大々的なイベントの開催宣言とかを期待しているのだろう。もしかしたら、小説やドラマの様なバトルロワイヤル宣言をされるのでは、とか思っているのかもしれない。

そうこう考えている内に時間になった。すると、空が輝き始めた。それと同時に空の半分が闇に覆われた。その光と闇は一点に集まり始め、人のかたちを作り上げた。そしてその光と闇が形作った人型の間に一人の人間が姿を現した。


「天満・・・兼丸・・・」


誰だったのか、そう呟いた。

確かにあの顔は公式ホームページやニュースなどで見た事があった。

若き天才、天満兼丸。

そして、つい最近とても印象に残る形でその顔を見ていた。


「・・・なんで?生きている?」


そう、彼が殺されたというニュースの被害者写真だ。

いくらVRと言えど、悪趣味にも程があるだろう。死んだ人間の顔を使うなんて。

天満は先の発言をした人間の顔を確認したような素振りを見せたが、気を取り直したように語り始めた。


「Second Ageをプレイしている皆さん、まずはいつもプレイして頂いているお礼を述べます。さて、皆さんお気づきだと思いますが、私は天満兼丸と申します。Second Ageでは企画と運営と開発を任されておりました」


つまり、全部一人でやっていたのか。・・・え!?えぇぇぇぇえ!?


「この度のお知らせと言うのは、皆さんご存知だと思われますが、私先日殺されてしまいましてね。ここ、胸に一発です」


と、心臓のある辺りを指さしながらいう。

ん?二発じゃなかったのか?ニュースと齟齬があるってことか。て事はこいつが本人だと言っているのは正しい可能性があるな。警察がまるっきり真実をマスコミに流す訳ないしな。いや、それでこれが本人だとしてもおかしい。なんせ、死人がこれを流せる訳がないのだから。


「と、それもこれも重要な話ではありません。私が殺された、つまり死んでしまった事で現在、この世界を管理する者が居ない状態です。無論、通常運転、更には今後のアップデート等はデータを既に用意しておりますので可能です。必要なのはこの世界を『人』が管理する事です。なら、今ここで話しているお前は誰なんだ?と皆さんお思いでしょう。私は、天満兼丸であって天満兼丸ではない存在、詳しく言えば『人』じゃない存在です」


天満兼丸であって天満兼丸ではない存在?『人』ではない?・・・もしかして。


「そうです。私は天満兼丸の記憶を完全に引き継ぎ、天満兼丸の感情を持った・・・言わばAIなのです。えぇ、今でも不思議ですよ。電脳世界をこうして自由に飛び回る日が来るとは思っても居ませんでした。・・・話を戻しましょう。AIとなった私にはこの世界を管理する権限はありません。それは、私がこの世界を作る上で設定した一つの条件だからです。あの映画のようにしたくありませんでしたからね。しかし、その権利を渡す権利はあるわけです。そこで、皆様にはこの世界を管理する権利を掛けて、ある事を成して貰いたい。そのある事とは・・・」


有る事・・・?

そこで、今回のアップデートに思いつ至る。


「魔王討伐です」




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