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第二話です。
といって、前の話と明確に分け目があるわけでもないので、一続きの文章なんですけどね。
しばらく説明的な文章が続きますが、だんだんと話を展開させていけると思います。
よろしくおねがいします。
それから僕と木下が仲良くなるのに、
さほど時間はかからなかった。
僕の名前が北村で、
名前の順のおかげで席が近かったのも
大きく影響したのだろう。
半年以上付き合ってきた今だから分かる。
木下は僕の予想以上に変な人だった。
夏休みには、
「琵琶湖のびっしーを捕まえに行こうぜ」
と海パン姿で家に来たこともあった。
しかもびっしーを真剣に信じきった様子で。
その証拠に木下はそのとき、
今までで初めて見るような大きな、
本当に大きな網を、
重たそうに両手で抱えていた。
先に断っておく。
木下は馬鹿ではない。
成績は優秀なのだ。
実際僕たちの通う学校は、地元でも屈指の進学校である。
なのにこんなことを言い出す。
だからこそ変なのだ。
ちなみにそのとき木下は、本当に琵琶湖まで行き、
大量のブラックバスを持ち帰って、
外来生物がいかに日本の生態系を乱しているかを熱く語った。
それだけ変なのに、なぜか木下は人を惹きつける魅力を持っていた。
いや、言い換えよう。
木下は「僕」を惹きつける不思議な魅力を持っていたのだ。
それからその魅力に惹きつけられた人物がもう一人。
それが森村だ。
驚くなかれ、森村は木下の彼女なのである。
☆★☆
森村について説明しよう。
森村は学校で「氷の女王」と呼ばれている。
「なんだなんだ、そのありきたりなネーミングは」
と誰しも思うだろう。
僕も思った。
そんな人はぜひとも実際に森村を見ていただきたい。
母親を早くに亡くしているという生い立ちも関係あるのだろうか。
彼女ほど「氷の女王」の称号が似合う人間もそういないだろう。
もし彼女よりも「氷の女王」の名が似合う人がいるのならば、
それはたぶん氷の女王だ。
まず森村は人前で笑わない。
人前以外で笑うかどうかも怪しい。
無口でもある。
その上、まるで陶器のような肌をしている。
そして何より、
彼女は美しい。
一見、暗い人のようにも見えるのだが、
醸し出す空気とその美しさで、
彼女は学校内でも一目置かれていた。
見習いたいものだ。
木下もある意味では一目置かれているのだが、
それ以上に距離を置かれているので断じて見習ってはならない。
そんな木下と森村がなぜ付き合っているのかは、
おそらくこの学校始まって以来の謎だろう。
さて次の話から本格的に始まりますよ~
こうご期待^^




