~3~
こんにちは。
第三話ですね。
ようやく物語は本題へと入っていきます。
ここからが見所。
では、どうぞ。
さて、長々と説明しすぎた。話は現在へと飛ぶ。
「森村がいじめを受けてるかもしれないんだよ」
今、木下が僕の前でこんなことを言っている。
時は十二月中旬。
一週間後に冬休みをを控えみんなが浮き足立っている。
そんな時期の土曜日のことだ。
なぜこんなことになっているのか、話は再び過去へ。
大丈夫、今度はつい一時間前だ。
突然、携帯が鳴った。
といって、携帯が鳴るのはいつも突然のことなのだが。
見ると木下からのメールだった。
「今から会えないか?」だそうだ。
僕はいつものようにスケート場に行く誘いかな、と思った。
スケートは木下唯一の特技で、その技術は本当にすごい。
そして木下は県内に一つしかないスケート場に僕を誘うのだ。
しかし、スケートならば
「スケートに行かないか?」
と誘えばいいわけで、
「今から会えないか?」
というのは少し変だ。
メールの簡潔な文章から焦りのようなものを感じて、
あまり気は進まなかったが公園で会う約束を取り付けた。
家を出て、約束の公園に着いた。
風を遮る物がなく、寒い。
厚手のダウンジャケットを着てきたが、今日の寒さは特別だ。
そういえば昔、寒い日にはよく母親から
「かぜこんこん」が出るぞといって、
ださいチョッキのような物を着せられたものだが、
今となっては「かぜこんこん」がなにかすらわからない。
木下は先についてベンチに座っていた。
近づいて、
「よぉ」
と言うつもりだったのだが、
「よ」
で止まって固まってしまった。
木下の目から大粒の涙が溢れていたのだ。
かくして木下は言った。
「森村がいじめを受けているかもしれないんだよ」
僕が衝撃を受けたのは言うまでもない。
だって森村なのだ。
森村が?
いじめだって?
僕は想像する。
森村が無表情に暴力を受けている。
無視されている。
そんなことがあるだろうか。
ありきたりな表現だが、
それでは森村が無視されているのか森村が無視しているのかわからない。
それに、木下には思いこみが激しいところがある。
僕は一度深呼吸してからたずねた。
「それ、本人から聞いたの?」
「いや、そうじゃないけど」
「じゃあなんで?」
「それがさぁ」
木下は涙をぬぐってから悲しげな表情で言った。
「森村の体中にあざがあるんだよ」
「僕が見たときはなかったけど?」
「いじめってのはさ、巧妙に、普通見えないところを痛めつけるんだ」
僕は、なぜ木下が森村の
「普通見えないところ」が見えるのかとても興味があったが、
よからぬ妄想に発展しそうで聞くのをやめた。
「それで、他には?」
僕がたずねる。
「最近『今どこにいるの?』って言うメールがやたらとくるんだよ。
これは絶対、俺に助けを求めてる」
「次は?」
「いや、これだけだけど」
木下が急にシュンとなる。
「ちょっとそれだけじゃいじめと断定するのは早いと思う」
僕は、「今どこにいるの?」というメールは、
恋人として自慢こそすれ、気に病む必要は全くない、
と、そう思ったが、号泣する木下の手前言い出すことができなかった。
「でもさ、もし本当にいじめ受けてたらどうすんだよ。責任とれんのかよ」
「いや・・・それは無理だけど」
「じゃあどうすんだよ、俺が助けなきゃいけないんだよ。どうすんだよ」
木下は責任という言葉で弱気になった僕を見て、ここぞとばかり責め立てる。
なぜ僕が責められなければならないのかはわからないのだが。
仕方なく僕は一つ提案をした。
「じゃあこうしよう。森村の友達に話を聞きに行くんだ。まずは情報収集だよ、木下」
正直なところ、僕はこの件についてすでに楽しみ始めていた。
木下がいれば、その後ろには常に面白そうな気配が漂っている。
だから木下との付き合いはやめられない。
そうだ、そういえば「かぜこんこん」というのは
アンパンマンのキャラクターだったな、
木下との出会いも、確かアンパンマンがらみだったな、
と思い出したときには、すでに木下は僕の提案を受け入れたのか、
僕のはるか前方を歩いていた。
ありがとうございました。
また次回。
よろしくお願いします^^




