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お館様の代理人 呪いの館を相続したはずが館にめちゃくちゃ世話焼かれてるんですけど!  作者: zingibercolor
4章

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新形態もすっごくいいんですけど

 翌日。9時に矢車ちゃんと薄荷ちゃんが来たので、矢車ちゃんに「最新動画100再生おめでとう」と伝えると、とても喜んでいた。


「そうなんですよ! 伸びたんですよ!」

「よかったね。どのアカウントかは言わないけど、私の持ってる全部のSNSアカウントで最新動画のことポストしといたから」

「わあー! ありがとうございます!」

「見てくれる人増えるといいね」


 で、2人に今日やってほしいことを頼んで、自室に戻ると、{今いいだろうか?}と声がして、ヤカが床から生えてきた。


「いいよ、どうしたの?」

{少し見てほしいものがある}

「なーに?」

{今の姿を少し進歩させたものができて、変でないか見てほしいのだが……}

「見る見る、見せて」

{ありがたい}


 ヤカは一旦床に染み込み、もう一回床から生えてきた。お、髪型が変わってる!これまで、フード付きロングコートを目深にかぶった姿だったけど、今は髪が長すぎて顔が見えない人になってる! いや、しかし長いな。この白い髪、膝くらいまでない? きれいなストレートではあるけど……。


「髪長い! そういう髪型が好きなの?」

{いや、実用的な理由だ}


 すると、ヤカの髪の毛の房が触手のように動いて持ち上がった。わー、うねうね。


{あまり人前でやる気はないが……いざというとき十全に動けるように、こうした}

「へえー! そんなのもできるんだ!」


 で、のんびり過ごして、お昼ご飯。また庭で食べていたら、矢車ちゃんと薄荷ちゃんからヤカにリクエストがあった。薄荷ちゃんが言った。


「ヤカ様、洋食作るのが得意と伺ったんですけど」

{まあ、和食よりは得意だ}

「もし時間あったら、私たちに洋食教えていただけませんか?」


 矢車ちゃんも言った。


「洋食もっと作れるようになりたいんです!」

「妹弟子たちにも教えたくて……将来人里に出るにあたって、作れるものが多いほど困りませんし」

{別に私は大した腕ではないが……}


 私はヤカに笑いかけた。


「そんなことない、ヤカのご飯はいつもおいしい」

{では、努力する。まず、難しくないレシピをいくつか渡そう。2人の帰りまでに仕上げておく}


 で、ご飯の後。ヤカはレシピを書き出すと言って掛川さんの書斎に行ってしまった。暇だったので、私は様子を見に行った。


「どっかにメモしてあるの?」

{いや、頭に入っている。記憶力はいいほうなので}

「えー! そうなんだ!」


 ヤカは机の引き出しを開け、引き出しの中にはやたらペンが入っていた。するとヤカの髪触手がブワワッと動き、何房にも分かれて何本ものペンを取った。ヤカはそのまま書斎の紙束からA4用紙を取り出し、それぞれの髪触手に1枚ずつ渡し、髪触手は受け取った紙に何か書き込み始めた。うわ、10本くらい同時に紙に書き込んでる! 何これ、もしかして同時並行でいろんなレシピ書いてる!?


「うわー! すごーい! 本当に並行作業得意なんだ!」


 ヤカは微妙に恥ずかしそうだった。


{人の姿からは離れた行いだが……レシピを早く多く渡せるなら、この方がいいかと思って……}

「いいじゃないいいじゃない、二人ともきっと喜ぶよ」


 で、最終的にできたレシピは30枚くらい。矢車ちゃんも薄荷ちゃんもすごく喜んでいた。


「こんなに! ありがとうございます!」

「休みの日に家で練習します!」

{役に立てば嬉しい}


 顔は相変わらず見えないけど、声音や動きから、割とヤカの感情は把握できる。ヤカも、多分とっても喜んでいる。

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