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お館様の代理人 呪いの館を相続したはずが館にめちゃくちゃ世話焼かれてるんですけど!  作者: zingibercolor
3章

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33/58

お弟子さんなら言うことないんですけど

 ヤカが用意してくれた今日の朝食は、カリカリベーコンのベーコンエッグ、ミニトマトとベビーリーフのサラダ、チーズトースト。昨日設定してあげたタブレットとAmazonアカウントで試しにヤカに買い物してもらったら、食事のクオリティが増したよね。

 2人で食べながら、私はさっきの思いつきをヤカに話した。


「そういう訳だからね、人じゃない人が集まる予定らしいし、先手打って人じゃない人を雇えば、そういう人ならヤカのこと飲み込んでくれるんじゃないかと思って」

{なるほど、いいと思う}


 ヤカは賛成してくれた。

 朝食後。私は、とりあえず今日までの事情を九さんにLINEして、伝手はないか聞いてみた。既読がつくまでの間に、茜おばさんにもヤカのことをLINEして、もう心配いらないことを伝えた。

 茜おばさんはびっくりしたらしくて、すぐLINE電話がかかってきた。


「そんな人がいるの!? やっぱり館の精なの!?」

「うーん、本人も本人のことよくわかってないみたいなんだよね」

「ずっと館にいた人なの?」

「なんか、100年以上前から、この館ができたときからいたんだって」

「そんな人もいるのねえ……」

「だからもう心配いらないから、金谷さんにもよろしく伝えといて」

「わかったわ」


 茜おばさんとの連絡はそれで済み、だけど九さんの既読はまだつかない。どうしようかなあと思いつつ二度寝し、起きたらヤカが昼食を用意してくれてたのでありがたくいただいた。ローストビーフとレタスたっぷりのカスクート、アボカドとゆで卵たっぷりのコブサラダ、オニオンコンソメスープ。


{しっかり食べて滋養をつけてほしい、薬師如来様も薬だけでなく滋養をつけろと言っていたのだから}

「はーい、いただきまーす」


 ちゃんとした牛肉、久々に食べるなあ。コブサラダみたいな洒落たもの、いつぶりだろう? オニオンコンソメスープも飴色玉ねぎが甘くておいしい。

 食後、普通の紅茶で一服していたら、ぷるるる、とスマホが鳴った。九さんからの電話だった。


「はい、もしもし」


 九さんの切迫した声がした。


「お主、薬師如来様と会ったのか!?」

「はい、多分そうだと思うんですけど……本人そう名乗ってらしたし、もらった霊薬もいきなり現れたみたいなので」

「そうか……まさかこんな事が起きるとはのう……」


 九さんはしばらく考え込んでいるようだったが、やがて言った。


「まあ、そういうことなら、お主の周りには確実に人ならざるものが集まるじゃろうな」

「まあ、嫌な人じゃなければ来てくれるのは一向に構わないんですけど。ヤカもにぎやかな方が嬉しいみたいだし」

「で、手始めに人ならざるものを雇いたいのか?」

「そうですね、ヤカの存在を飲み込んでくれる、ちゃんとした人を。予算は相場の倍を考えてます」

「そんなにか」

「ちゃんとした人を雇いたいので。うち高価なお酒とかたくさんあるし、強盗入られたこともあるし、そういうことをしない人のためならお金出せます」

「ふーむ……。そうじゃのう、なら、若い化け狐を2人ほど雇わぬか? 人間社会にはまだ慣れていないのじゃが、盗みや嘘はしないし家事もできる」

「2人ですか」


 ひとりで考えてたんだけど、まあヤカは人多いほうが嬉しいんだし、2人でもいいか。でも、2人ならちょっと仕事量増やしてもいいかな? 私は、九さんにこう言った。


「そうですね、ヤカの要望以外にも、私のお願いする雑用をこなしてくれるのでしたら。外出したいなって時、付き添ってくれるとありがたいですし、必要なこと、暮らしていくにつれて他にもいろいろ出てくると思うんですよね」

「よし、わかった」

「どういう化け狐さんなんですか?」

「妾の弟子じゃ。最近安定して耳と尾を隠せるようになってのう、人間としての経験を積ませたいんじゃ」

「ああ、九さんのお弟子さんなら安心です」

「それはありがたいのう。弟子たちに話をしておくから、あさって辺りに2人を連れて会いに行ってもよいか?」

「はい、よろしくお願いいたします。2人とちゃんと話して、雇用契約書の内容も詰めますね」

「そんなにしてくれるか」

「口約束だけだと、後々ややこしくなりそうですから」


 そういう訳で、明後日の午前に九さんのお弟子さん2人と会うことになった。電話を聞いていたヤカが不思議そうに私に聞いた。


{雇用契約書を作るのか?}

「うん、細かいことは話して決めるから、まだ叩き台だけど。いろいろ調べなきゃ」


 Googleドキュメント、久々に開こう。ヤカの要望、きちんとした書面にまとめないとね。私の要望もはっきりさせて書面にまとめたいし、ハウスキーパーさん雇うお金の相場も調べなきゃいけないし、今日明日でやることたくさんあるぞー!

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