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人生をやり直しますか? 〜YES or NO〜 【みんなの心の中が読み取れる少女は、やり直し高校生活でやりたい放題です】  作者: 相賜 奏合


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[39]

数日後・・・・


あの日、屋上で吹いた風の冷たさは、まだどこかに残っている。


――喫茶ラ・ポーズ。


店内には真子と1人の若者が座っていた。


その男は梶田 祐希(かじた ゆうき)

冴子の家庭教師だ。


梶田は家庭教師に似合ったスーツ風の服を着ている。


少しチャラそうだが、どこにでもいる普通の若男。


真子は1人で向かいに座っていた。


入来は外で待機。


「突然、すみませんねー」

真子は微笑む。

「冴子のクラスメイトでー、石本真子っていいますー」


梶田は真子を値踏みするように目線が動いている。

【真子ちゃんか、この子も可愛いな・・】

【女子高生はいいねー】

【あっちもウブだから興奮するんだよ・・】

【さて、どうすっかなー】


口元が緩んでいる。


真子はニコリ顔を維持させる。

(こいつ、キモいわー)

(とことん追い詰めてやる)

笑顔で内なる闘志を燃やす。


「それで?真子ちゃんだっけ?・・何の用?」


(まこちゃん?・・・・)

(こいつ、かっるいなー、いきなりぶっ込むか)


真子は笑顔のまま軽快に重い言葉を投げつける。


「冴子の妊娠のことですぅー」


梶田の空気が凍る。

そして、指先が震えているが平静を保つフリをする。


「な、真子ちゃん、いきなり、何を言うんだい?」


真子の顔つきが冷める。

「警察・・行く?」


しかし、柔らかい声。


責めない。


ただ選択肢を置く。


「強引にって言われたら、どうなるか分かるよね?」


男の額に汗。

「強引じゃない・・お互い同意のうえだ」

「しかも・・・・証拠は?」

「そうだ、証拠も無いじゃないか!」


梶田の必死の弁明。


真子はゆっくり口を開く。

「証拠ねーーっ・・・・」


小さく笑う。


「・・・・いる?」


必殺の言葉。


男は唖然とする。


真子は続ける。


「彼女、録音してるよ」


嘘ではないが、事実でもない。

“可能性”を置いただけ。


男の呼吸が乱れはじめる。


真子は微笑みながら続ける。

「今ならねー」

「示談で済むよ」


「自分から強制を認めて、親に説明して、治療費も全部出すってことで」


梶田は動揺を隠せない。

【ヤバい・・なんとか逃げ切らないと・・・・】


困った顔をして口を開く。


「こんなこと、親に言えない・・」

「治療費も払う余裕なんてないし・・」


真子は深い溜息を付く


「あなたねー、もう20歳なんだから、自分の責任は自分で解決しなさいよ」

「ねっ、八ツ橋大学、教育学部、教育学科3回生、梶田祐希、くん」


真子は微笑んでいるが、凍らせる様な目をして梶田を見る。


梶田は知るはずのない自分の情報を、サラリと言う目の前の女子高生に寒気と恐怖を覚える。


そして、何も言えずに黙り込む・・いや、頭はフル回転である。


【ヤバい、ヤバい、こいつなんなんだよ】

【どこまで調べてるんだ?】

【とにかく、この状況はマズイ】

【トイレに行く振りして逃げるか】


梶田は椅子を後ろにずらす。

「ちょ・・」

「あっ、梶田さん、トイレに行く振りして逃げると危険ですよー」


「へぇっ?」


真子の遮る言葉に、梶田は情けない言葉を発し、少し腰を浮かしたところで固まった。


そして、浮かした腰を再び椅子に沈める。

「えっ、なんで・・分かったの?」


真子は梶田の質問をスルーして、窓の外に目をやる。

「梶田さん、あそこに立ってる男の人わかるー?」


梶田は真子の目線を追って外を見る。


入来がこの世のものとは思えない顔でコチラを睨みつけていた。


「入来先輩・・冴子の彼氏」


梶田は入来と目が合うと、すぐに逸らして、顔面蒼白になりながら真子を見る。


真子は追い討ちを掛ける。


「これまでの話をよく考えたらー、察しがつくと思うんだけどさー」

「わたし、霊能力者なの・・・・」


一度エスプレッソを口にする。

そしてカップをカチャッと置く。


「入来先輩があなたを殺す未来・・見えたんだよね・・」

静かに言う。


一息ついて選択を迫る。


「親に説明して、謝罪と治療費を全額支払うか」

「ここから逃げて、入来先輩に殺されるか」


「梶田さん、自由に選んでくださーい」


沈黙。


長い沈黙。


男は崩れる。


「・・・・わかりました・・・・お支払いします・・・・」


小さく、か細い、声


真子は立ち上がる。


「んじゃ、やっそく、冴子の親の所に行こっか」


優しい笑顔。


――けれど、その目だけは逃げ道を許さないという冷酷さがあった。

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