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人生をやり直しますか? 〜YES or NO〜 【みんなの心の中が読み取れる少女は、やり直し高校生活でやりたい放題です】  作者: 相賜 奏合


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22/56

[22]

夜の金翅寺は、昼とはまるで別の場所のようだった。

風の音だけが静かに廊下を流れ、遠くで虫が鳴いている。


山の闇は深い。


外の世界から完全に切り離されたような静寂の中、真子はゆっくりと廊下を歩いていた。


真実を連れて来て、1ヶ月が経った。

明日、ここを離れる。


足を止めた先は、

真実の部屋の前。


一瞬だけ、躊躇。


――コン、コン、コン


軽く襖の縁を叩く。


「・・・・入るよ」


返事を待たずに開けた。


真実は布団の上で胡坐をかいていた。


「ん?・・まこ?」

少し驚いた顔。


「ちょっと話」

そう言って、真子は部屋の中に入る。


襖を閉めると、外界の気配がふっと遠のいた。


結界。


ここなら、周囲の心の声は入らない。


「・・・・なんか改まってるな」


「まあねー。明日、私、家に帰るし」


真実の表情がわずかに曇る。

真子はそれに触れず、壁に背を預けて座った。


「さ、説教タイムいくよ」


「えっ・・・・」

【いきなりかよ・・・・】


真実の抵抗を無視して話始める。


「修行始めて一ヶ月。うん、まあ・・・・全然ダメだね」

ズバッと言い切る。


真実は苦笑した。


「・・・・やっぱりか」


「当たり前でしょ。私、2年4ヶ月かかってるんだから」


真子は肩を竦める。


「考え方も、取り組み方も、まだまだ甘いよ」


「・・・・」


「でもね、私もそうだった」

視線を少しだけ落とす。


「1年くらい、あのクソババアに徹底的にやられたからねー」


真実が思わず笑う。

「想像つくな・・・・」

「笑い事じゃないよ。マジで地獄だったんだから」

真子は可愛く拗ねた顔をする。


一瞬の沈黙。


真子は引き締めた顔をして、真っ直ぐ真実を見る。

「だからさ・・諦めないこと」


「・・・・」


「絶対にコントロールして帰るんだーって気持ち。これ大事」


真実はゆっくり頷いた。

そして、恐る恐る尋ねる。

「・・・・天音さん、これからもっと厳しくなる?」


「なるよ。断言できる」

即答だった。


「多分、今までが優しかったって思うくらい」


「マジかー・・・・」


「・・でもね」

少しだけ声の温度が変わる。


「嫌われてるわけじゃあない」


真実が顔を上げる。


「むしろ逆。あの人、めちゃくちゃ気に入った相手にしか本気出さない」


「・・・・そうなのか」


「あなたのこと、ちゃんと見てるよ」


静かな言葉。


真実は目を伏せた。


そして――


真子は少しだけ息を吐いた。


「あとね。もう一つ」


空気が変わる。

それを察してか、真実が顔を上げる。


「実家のこと、心配しなくていい」


真実の身体がわずかに強張った。

「・・・・なんで急に」


真子は一瞬だけ迷うが、目を逸らさなかった。


「前の世界線で・・真弓さん、お父さんの仕事の借金を苦に・・・・自殺したよね」


空気が凍る。

真実の顔色が変わった。


「・・・・その話は・・・・やめてくれ」

低い声。


しかし、真子は続ける。


「私、暁月に戻って、あなたと話したあと・・」

「あなたが寝てる間に、真弓さんと話したの・・」

「・・真弓さんの未来・・視たよ」


真実の拳が強く握られる。


静かな声。


「・・・・やっぱり、同じだった」

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