その3
その3
それからなんねんもたちました。
シトリンのまちはだんだんさびれていきました。
大きな運河がつくられて、こくもつをはこぶ道がかわってしまったのです。
おてんきが悪いきせつがつづき、魔物もおおくなりました。
家具の注文も少なくなって、おとうさんはおおきな家具をつくるのをやめ、小物やおもちゃをつくるようになりました。
わたしにおそなえされたお菓子をぬすみ喰いして、しかられていたおでしたちも、ひとりだちしていきました。
そしてある日。
おとうさんはおうちに帰れませんでした。
しょくにんなかまの人たちと、おでかけさきで、魔物におそわれたのでした。
「いってくるよ」ってあたまをなでてくれたのに。
『いってらっしゃい』ってお返事したのに。
おとうさんといっしょにあちらにいくつもりでいっしょにいたのに。
なかまといっしょにとおくでお葬式になったおとうさんは、おうちにかえってきませんでした。
しかたがありません。では、わたしは・・・
わたしは・・・・・・
あれー?
ここから出て、おとうさんをおいかけようと思ったのに。
どうやって出たらいいんでしょう。
うーん・・・・・・
おとうさんが彫ってくれたこの像から、どうやって出るのかわからなくなっていました。
・・・・・・・・・
わたしはひとりぼっちになりました。