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双子でヤンデレな悪霊と共に  作者: 善良なる悪魔
第1章・バタンダ大森林
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少年は騎士団長と語らう。

金属がぶつかり合う音が響いた。


「わぁ!!

ルドルフが落ちてきた!!」


毛玉から解放された者達が地面に落ちた際に他の鎧にぶつかり鳴ったのだ。

それは優に10を越える人数が一斉に落ちてきたのだ。

それには少年も驚いた様だ。

目をキラキラと輝かせて口いっぱいに開けて手を上げて飛び跳ねるという全身を使って今の感情を表していた。

まさに大喜びをする少年の姿があった。

………些か驚いた部分がズレているようにも思えるが。


落ちてきた者達は気を失っているのか一言も物を言わない。

否、一人だけ呻き声を上げつつ起き上がる者が居た。

その者の鎧は他の鎧とは違い立派な装飾が施されていた。

他の者には胸に小さく形容し難い怪物の顔が装飾されている。

しかし、その者の鎧は全身にその形容し難い怪物の全身が装飾されているのだ。


見るからにこの者達の指揮官と言われる存在だろう。

指揮官は少年の姿と周囲の状況を目にすると思わず動きを止めた。


見るも恐ろしい怪物を背負った年端もいかぬ栗毛の少年が自分達の目の前で飛び跳ねる様子。

そして耳を傾ければその口からは聞いた事も無い言葉が聞こえてくる。

その様子は尋常ではない。


そしてその怪物から発せられる異常な力が今回の森の調査対象であると確信を持った。

そう、戦闘になればまず間違いなく一方的に殺されてしまうだろうと容易く想像が出来る程だ。


周囲には倒れ伏す部下と遠くから他の部下が悲鳴を上げつつ何やら黒い縄のような物で引き摺られてくる様子。

一言で表すならば壊滅状態という言葉が相応しいだろう。


しかし、流石は指揮官に成れる者。

状況を把握するや否や動きを見せた。

目の前の化物が原因だろうと判断したのだろう。

まずは情報を探るべく少年に声をかけたのだ。

言葉が通じるかは賭けに近いだろう。


「君、私は『バタンダ領騎士団』騎士団長ランドレイ・ディオン・フランディル・カルバッハと言う者だ。

君達は?」


全身鎧に顔を覆う兜を被っていた為、性別が分からなかったが男性特有の低い声が聞こえた。

しかし、その言語は日本語では無い。

普通ならば(・・・・・)通じない筈なのである。


少年は騎士団長と名乗る男から声を掛けられた事に気付いて元気に答えた。


「こんにちは!!!

ぼくのなまえは、おそれがみ、みたま、です!!

よんさいです!!

ルドルフさん、よろしく、おねがいします!!」


少年は先程の自己紹介から年齢も加えて挨拶をした。

少年のルドルフ扱いは続くらしい。


(ルドルフとは何の事だろうか?)


騎士団長は疑問に思った。

しかし、驚くべき事に少年と騎士団長の両者とも言葉が通じていたのだ。

いや、少年が騎士団長の言語を理解して、その言語で返事を返したのだ。

やはり、異形が少年の頭をその異様に大きな手で挟んだ事により何かをされた事は間違いないだろう。


「そうか、オソレガミ・ミタマ君か。

では君の背後に居る者は何者だ?」


「はいご?」


どうやら少年は背後と言う言葉が分からないようで首を傾げた。


「君の後ろに居る者の事だ」


騎士団長も相手が普通とは限らないが幼い少年だと思い直し少年が理解出来るように簡単に言い直した。


「うしろ?

ぼくのうしろにだれかいるの?

………だれもいないよ」


少年は背後を見るために首を回しそのままその場でぐるりと回転した。

やはり、少年には異形の姿が見えていないようだ。

さらに異形と触れ合っていると言う感覚もないらしい。


その際に異形の胸に少年の顔の半分を押し当てるようになった。

それは兎も角として少年が一周回ったお陰で騎士団長に異形の全貌を観察する事が出来た。


顔は恐ろしいの一言に尽きる。

手足は異様に大きく黒い。

黒髪でその髪を辿って見ると周囲に張り巡らせていたり、部下の引き摺る縄の正体である事も分かった。


そして、その魅惑的な身体付きは今まで見てきたどの女よりも素晴らしい物だと思えた。

豊満で張りのある胸、柔らかそうな臀部、白い肌は傷一つ無く上質な絹を思わせる程美しかった。

ただ、怪物とは言え全裸の女体を見つめるのはいけないと思ったのだろう。

思わず見惚れてしまった騎士団長は静かに目線を逸らした。


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