踊る人形。
小さな棚に沢山の人形が置かれていたり、小さなベッドに大きな鏡が置いてある可愛いらしい部屋に三人の人影があった。
「みて、ミタマくん!
このこがきのうおどったクルカンなの!
あたし、はじめておどったところをみたの!」
明るい金髪の女の子が手触りが素晴らしそうな布で作られた動物の人形を目の前の少年が見えるように持ち上げた。
何かの動物を可愛らしく作ったのかフワフワとした感じの四つ脚の人形。
全身が茶色く、短い手足が特徴的な動物である。
少し潰れたような不細工な顔は愛嬌があるように見える。
女の子が好きになるような人形かは疑問ではあるが。
少年に対して笑顔で人形を向ける少女。
子供の凄い宝物を自慢したがるアレらしい。
大抵の物は大して凄い物では無いが動く人形とはかなり珍しい。
ただし、それが本当であれば宝物ではなく呪われた人形だと言う人も出るとは思われるが。
二人は初めて会った訳なのだが歳が近いせいか直ぐに仲良くなったらしい。
初めてではなく昨日にバッタリと会っているのだが。
「へぇー、そのこ、クルカンっていうんだ。
かわいいにんぎょうだけど、これがおどったの?
シャナちゃん」
少年は差し出された人形を見つめる。
期待の眼差しを向ける少年には悪いが人形を動かしたのは少年の背後にじっと二人のやり取りを無表情で見ている異形なのだが。
その動物の人形の前足をプラプラと揺らしたり床の上に置いて二人でじっと見つめる。
どうやら二人で人形が動き出すのを待っているらしい。
部屋の中央に置かれた何か分からない動物の人形。
それを期待の眼差しで見つめる幼い二人の子供。
それを黙ったまま見つめる異形。
・・・何かを払うような素振りをすると部屋の中央に置かれた人形がいきなり立ち、生きているように踊り始めたではないか!
「おどった!
ほら、ほら!」
「おぉ、ほんとだ!
ほんとにおどってる!」
歓喜の声を出す子供達。
踊りが段々と活き活きとそして激しさを増していく動物の人形。
無表情で何かを操作するような雰囲気の異形。
・・・混沌ではあるが平和な空間であった。




