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Lv.56 裏ボス攻略スタート

「あきらかにこれは駄目だろー!」


 俺は空へ空へと高く背が伸び、巨大化していく魔王、もとい裏ボスの姿に悲鳴をあげた。

 ちなみにこの時、すでに仲間達は逃げ出し始めている…。


「早!」


 振り返ってまさかの弟まで先に逃げていたことに驚きながらも後を追い、俺達は城から脱出した。




 降り注ぐ瓦礫や崩れる床に悲鳴をあげながら、ロマの生み出す木の根に床を支えられ、メルニア婆さんの結界に護られて外に出た俺達が振り返った時、城は音を立てて崩れ去った。


「魔王! 我等勇者が来たからには勝手はさせん!」


 ぜぇぜぇと息を荒げて全員がとりあえず無事であることにほっとした所に、白鎧を含む勇者の一団が現れた!


「遅! 今頃かっっ?」


 来るならそれこそ優斗が来るよりもっと前に来いよ! と思わないではいられない。

 大体、広間に先に集まったのもギルドの人間だったしな。


 この世界の勇者は大したことないのか?


 まぁ、そんなことより・・・・

 これ、どうするんだ?


 ビル何階分よ?という巨大な化け物を見上げ、ふぅと大きく息を吐き出す。

 俺は、しばし悩んだ後、同じように化け物を見上げ、口をカパーッと開けているゴルベーザとグウェンの肩にポンッと手を置いた。


「お前ら…あとはよろしく」


「「はぁ!?」」


 これにはさすがに化け物に唖然呆然としていた二人が現実に戻る。


「お前先代の魔王だろうが! 何とかしろ!」


「いやいや、これはさすがに無理だ! しかも俺に魔王の記憶と力はない!」


 ゴルベーザはぶんぶんと首を横に振る。


「じゃあグウェン、勇者隊が頑張るようだ。お前に任せた!」


 全ての命運は勇者にかかっている、というのを村人A側として告げ、背を向けると、むんずと襟首を掴まれ、ぐへっと首が絞められた。


「どこかの誰かさんは伝説の(・・・)勇者なのだからもっと頑張ろうか?」


 黒い! グウェンの笑顔が黒いぞ!

 

 俺達が睨みあいつつ「ふふふふふ…」と笑っていると、その頭頂部にビシビシパカンッと手刀と杖が振り降ろされた。


「「「うおっ」」」


 三人全員で蹲る。


 昔、頭の天辺を叩くと下痢になるとかいう噂があったなぁと思い出したよ…。


 ちなみに、殴ったのはロマ、優斗、メルニア婆さんだ。

 俺は当然優斗に殴られた。ロマならもう少し手加減してくれそうなのに…。

 だが、杖で殴られたゴルベーザよりはましか。



「戦わぬか!阿呆共!」


「いざという時、人間がいかに醜くなるか証明されましたね」


「格好悪いわ」


 好き勝手言ってるが、実際接近して戦うのは俺達なんだけど…。


 思わず殴られ組3人で3人をじぃぃっと見つめると、メルニア婆さんとロマはすっと目を逸らした。

 まぁ、二人は戦闘補助専門だからいざどうするよ?と言う目を向けられても困るだろうな。

 

 唯一目を逸らさなかった優斗は、俺を見ると、すっと巨大な裏ボスを指さす。

 

 現在裏ボスは群がる勇者軍をちぎっては投げ、ちぎっては投げと無双ぶりを披露している。


 巨体が振り上げる拳や足はのろのろと緩慢だが、振り下ろす際は体重の関係なのか、とてつもなく速く、もし足の影の中にいたのならば、思い切り潰されそうである。て言うか一部潰されている…。

 まぁ、勇者は丈夫らしくて「ぐふっ」「ごふっ」とダメージを受けるだけにとどまっているようだが。


「あれは無理だ」


 俺は優斗に断言した。


「何言ってるんです兄さん。 あれだけでかければ必殺技がかけやすいでしょう? おあつらえ向きに片足あげてますし」


 どうでもいいが、順応早いなこいつ。本当に32歳か?

 俺はちらっと優斗を見た後、もう一度化け物に視線を向けた。


 でかくて片足上げてる状態?


 ガキの頃の喧嘩方法にあったな、そんな敵との戦い方。

 だが、あれはスライディングだった。


 さすがにあの大きさにスライディングかけても足がもつれて転倒ってのは無理だ。逆にこちらのスライディングが止まって足で潰すのにいい的になってしまう。


 バランスを崩すなら…?


「あぁ、なるほど。そういうことならできるか…。グウェン、ゴルベーザ、ちょっと耳かせ」


 ちなみに優斗は戦力外だ。城からの脱出時もメルニア婆さんより遅かったし、体力もなさそうだからな。

 そこは年のせいかな?

 

 俺はグウェンとゴルベーザに作戦を伝えると、二人は頷き、ついでに俺達の下で聞いていたロマも頷いた。

 て、いつの間にそこで盗み聞きを!?


 メルニア婆さんにはどうやら優斗が説明したらしく、うんうんと頷いて任せろとばかりに親指を立てて見せた。


「話がまとまったところで、さっそく裏ボス退治を始めようか」


 俺はバシッと掌を拳で叩くと、全員がにやりと微笑んで頷いた。


「作戦名は?」


 優斗が尋ねると、俺は走り出し始めてふと思いついたことを叫ぶ。


(ひざまず)いて靴をお舐め!」


「あれ、女王様かしら…?」


「そう言う問題じゃないと思うんだが…」


「ダサいな」


「アホじゃな」


「兄さんだから…」



 だったら俺に作戦名なんて無茶ぶりすんなー!

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