Lv.37 ・・が現れた!
逃げるが価値という言葉を知っているだろうか?
俺は今、まさにその境地に立っていた!
「やらぬかアキよ!」
「やれるか~!」
俺に戦えと強要するメルニア婆さんに対し、俺とグウェン、ゴルベーザの三人は間髪入れずに攻撃してくるアマゾネス達の攻撃を必死に避けていた。
轟っと空気を唸らせ、目の前を巨大なハンマーが通り過ぎる。
一瞬でも動くのを躊躇えば、俺の頭がスイカになりそうな勢いだ。
「殺しは無しだろうがアマゾネス!」
逃げながらも当然のごとく抗議はしておく。
どう考えたって今の勢いと武器は死に直結する!
「これぐらいで死ぬような奴が大会に出るものか!」
その叫び声に、何人かの初心者がリタイヤしたのが見て取れた…。
何て大会だ!
俺達男が必死に避けている間、女達はと言えば…これがかなり強い。
チラリと見た限り、ロマは自分の周りに木の根を生やし、それを盾と武器にして襲いかかる者達を打ち付けていく。
婆さんはと言えば、お得意の結界で攻撃を無効化しながら相手を巧みに挑発し、疲れを誘っているようだ。
この戦いに俺達は必要なのか??
生き生きと戦う女達に、男達は俺達に限らずかなり引き気味だ。
中には女達に攻撃されて恍惚とした表情を浮かべるアブノーマルな奴もいるようだが、そこは見なかったことにしよう。
見なかったことにするから、目の前でおずおずと鞭を渡すな! ヒールの高い靴を捧げるな! 蝋燭なんか何の攻撃の役に立たねぇよ!
この戦い…別の意味で心が折れそうだ…
「アキ! 複製を出してくれ!」
グウェンが女達の剣を受けながら叫んでくる。
「おぉ! その手があったな!」
複製に相手をしてもらえば、少しはこの戦いも楽になるはずだ。
俺はすぐに複製を・・・
作る瞬間にぶんっと剣がすぐ脇を通り抜けた。
「集中できん!」
パッと考えてパッと作れるものではあるが、そのパッとの瞬間すら見逃さず攻撃されては複製を作る暇もない。
とはいえ、このまま攻撃を受けっぱなしというのも癪だ。
アマゾネスの攻撃を避けつつ、前回俺の複製のキモオヤジが使った高速スキルと衝撃波の組み合わせを思い出す。
剣に衝撃波を乗せると、たとえ刃が潰れていても斬れてしまうので使うのは蹴りか拳だ。
あの時のキモオヤジはそれでもカマンハーチを全滅させたが、そこは威力を押さえれば何とかなるだろう。
ギィン!
アマゾネスの剣の攻撃を剣で受け流し、衝撃波を食らわせる。
ドスッと重い音がして、アマゾネスの女達は数人宙を舞った。
女に拳を当てるなんて本来ならぜったくやりたくないことだが、これは試合だ。仕方がないと言い聞かせて続ける。
「いいぞ!」
ゴルベーザにも余裕ができてきて少しずつ敵が減っていく。
そうこうしているうちにアマゾネスの攻撃も少しずつ間が開くようになったので、一気に複製を数人作った。
これで形勢逆転!
むにっ
「きゃあ!」
悲鳴に振り返れば、胸を揉まれているアマゾネスが一人。
痴漢が現れた!
俺の複製の中にやはりキモオヤジが現れたのだ。
オヤジは高速スキルを無駄に使ってアマゾネスの背後に回ると、目のやり場に困るような露出の多いアマゾネスを狙い、その胸をもんでいく。
「それはセクハラだキモオヤジ!」
思わず叫んで止めにかかるが、オヤジ…俺の複製のくせにやはり俺より速い!
あっちこっちのアマゾネスに痴漢を繰り返し、それを止めようとする俺にアマゾネスの殺意が込められる。
・・・この姿は危険か!?
オヤジと同じモノ扱いで攻撃が集中するので、慌てて変身の魔法を解いた。
これでオヤジとは間違えられない…とほっとしたのも束の間、別の問題が浮上する。
「「「きゃあああああああ~!!!」」」
アマゾネス達の叫びに、俺は耳を塞ぎながら顔をしかめた。
今度は一体何が…?
そう思って顔を上げたその時、すでに俺の目の前には、アマゾネスの大群が迫っていたのだった。
またもや集中攻撃!?




