Lv.サバイバル戦開始!
「自ら差し出すと額の文字は消えるものなのかもしれんのぅ」
幌馬車から荷物を降ろしながら、メルニア婆さんがうんうん頷いている。
俺達はようやくアマゾネスの村に到着し、今は紹介された宿屋に入るところである。
結局吸引後の能力も、『堕』の文字の謎も解明はしていないが、勇者はまだまだいるらしいので、同じような機会が訪れたら判明するだろう、ということになった。
悩んでいても仕方がないって言うのもあるけどな。
それよりも…だ
「やぁだぁ、ちょっとオッサンじゃない?」
現在荷物を片づけながら、俺達は好奇の視線にさらされている…。
「あ、あの筋肉いいわね。あっちの人は何で冑被ってるのぉ? 顔が見えないじゃない」
忘れていたが、依頼書には確か勝ったら嫁にやるとか書いてあった気がする…。ということは、今現在宿屋の前に群がる若くて女子高生なノリのアマゾネス達は、ひょっとしたら夫になるかもしれない挑戦者を見に来たということになる。
ちなみに筋肉はゴルベーザ、冑はグウェンで、おっさんは俺だ…。
ダンディってこの世界ではモテないのか…?
地味にショックを受けながら、俺達はチェックインを済ませた。
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「アマゾネスの村の闘技大会の説明をするわね」
久しぶりのベッドでの就寝でスッキリした俺達は、翌朝、日が昇り始めるころからアマゾネスの村のはずれにある大きなコロセウムに集められた。
総勢千人はいるのではないかという男女入り乱れたパーティーがコロセウム内にぎゅうぎゅうに集まっている。
見学者はその倍ぐらいの人数がいて、闘技大会の常連だという人に話を聞けば、かなり有名な大会で、国外からもこの闘技大会を見に集まる観光客がいるのだそうだ。
まぁ…国外って言うのがどこのことかはさっぱりわからんが、馬車で移動するこの世界ではすごいことなのだろう…。
で、今現在俺達のような初心者が一画に集められ、闘技大会のルールを聞いている。
「大会の参加は個人・パーティーどちらでも自由よ。申請もいらないわ。対戦方式は全員参加のサバイバル戦。他チームとの協力もあり。武器は自由。ただし、みねうちに限らるわ。自信のない人は申請してね。刃の潰した武器を貸し出しま~す」
なんだろう、その恐ろしく危険そうな大会は…
全員参加のサバイバル戦で協力ありって、明らかに常連チームが有利じゃないか? 常連チームの結託による他パーティー潰しで全滅しそうなんだが…。
そんなことをつらつら考えていると、すぐに武器の受け渡しが始まった。
腕に自信のある者は自分の武器でみねうちに挑戦するらしい。
当然俺はみねうちで終わらせる自信がないので、刃の潰れた剣を貸してもらった。
「あ、そういえば魔法は?」
ぶんっと剣を振り回し、重さになれようとしながら誰にともなく訪ねる。
「魔法も自由でーす」
即座にアマゾネスの係員から声が返ってきた。
彼女との距離は50メートルは軽くある。人も多くて話し声なんてあちこちからするこの状況での答えに俺は目を丸くする。
よくこの人ごみの中から俺の声だけ拾って答えられるなぁ・・。あ、たまたまタイミングがあったとか?
「そこの男! 誰が年増ですって!?」
タイミングじゃなく、本当に人の話し声を聞きわけているらしい。
係員の女性が怒りをあらわに、ずいぶん遠くの男に文句を言っていた。
アマゾネスは耳がいいらしい。
ミニ知識を頭に詰め込んでおく。
「アキ、お婆ちゃん、それからその他大勢、手を貸してね」
周りを警戒しながら見回していると、腰より少し下の位置から声が聞こえて、俺は視線を向けた。
ごおっっと燃え盛る炎が見える…ような気がするくらい、ロマが燃えている。
「「その他大勢…」」
グウェンとゴルベーザの声が重なるが、誰一人そのことについて燃えるロマに突っ込める者はいない。
「ロ、ロマさん?」
「アマゾネスごときにアキは渡さないわ!」
ごときという言葉に周りのアマゾネスの視線がざっくり突き刺さる。
なぜか俺に…
「ロマ、あんまり敵を挑発しない方が・・・」
「そうじゃそうじゃ、伝説の勇者のパーティーがアマゾネスなんかに負けるものか!」
なぜそこでパーティーを強調して俺達を指し示すんだ婆さん!?
「ごとき」や「なんか」と言われたアマゾネス達が俺達を包囲した。
「「覚悟せよ!」」
ロマと、メルニア婆さんの声がリンと響くと、アマゾネス達が全員俺達を包囲し、今にも食い殺さんとする獣の目でギラギラと見つめ、声を揃えて叫んだ。
「「「「その挑戦買った!」」」
「だから誰も挑戦売ってねぇよ!」
ギルドでのやり取りの再燃に俺は突っ込み、その直後にタイミングよくカーンと試合開始のゴングが鳴った。
あ…死ぬかも…と思ったのは、アマゾネス全員が俺達に襲いかかってきた瞬間だった…。
試合開始!?




