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Lv.33 依頼書は確認すべし

「あら、カマンハーチのチーズね。結構いい値で買うわよ、コレ」


 薬草を摘み終わり、帰り道は婆さんに結界を張ってもらって魔物を避けて帰り、ギルドで修了証を押してもらった。

 ついでにカマンハーチの退治報告も兼ねて食材を見せると、ギルド長ファナはにっこり微笑んで金額を提示した。


「おぉ…結構いい値になるんだな」


 グラム数などによって値段は変動するが、宿屋で一泊できるぐらいの金額にはなった。

 おまけに、どうやらギルドランクが上がったようだ。


「討伐系のランクの高めな依頼が解禁になるわね。ここからは稼げるわよ~。人によってはギルド御殿ができるくらい。そこの人は全部鎧につぎ込んじゃってたけどね」


 そう言ってファナが指示したのはグウェンだ。


 まぁ…グウェンは極度の接触恐怖症だったからな。鎧を盤石なものにしておきたかったのだろう。

 今はなんだかんだと時々触れるぐらいにはなっている。


 それにしても、グウェンは意外とランクが高いんだな。

 感心した後、ギルド御殿のことを考える。


「拠点になる家は欲しいな。宿暮らしは金ばっかり無くなるからなぁ」


 多めに稼いでも、分ける人数が多い。そして宿代もその人数分かかるとなると、ほとんど貯まらないのが実情だ。

 討伐で貯まるというならば家を買っていつでも帰れる場所の確保がしたいところだ。


「お金なら、あっちの仕事もあるわよ」


 グイッと胸ぐらを捕まれて引っ張られ、俺は首を横に振った。


「大変魅力的だが、最中に敵に襲われる危険があるのでやめておく」


「そうねぇ、残念だわ。勇者ギルドってしつこいからねぇ」


 パッと手を離され、俺はほっと息をついて胸元を直し、ふと気になって尋ねてみた。


「勇者ギルドってどういうとこなんだ? 仮にも勇者だろう? 何の実害もない竜を退治に出たり、大勢で寄ってたかって一人を襲おうなんて、ちょっとおかしいと思うんだが」


 ドラゴンサーガを目指す勇者といい、白鎧達といい、この世界の勇者と呼ばれるものの人格はどうなっているのかと思う。

 

 仮でも何でも勇者だぞ? 無害の竜の竜退治を中継したり、無害(?)の俺をよってたかって倒そうとするなんておかしいだろう。


「勇者ギルドの設立者である元勇者はそれは立派な勇者だったらしいわ。でも、それから500年は経っているかしら、勇者と名乗る人達の人格が歪みだしてきたのよ」


 勇者達の人格は、これまで勇者として崇められてきた誠実で優しさにあふれ、常に人を思いやる精神を離れ、力に溺れ、力を振るい、人を追いやるモノへと変わってきているらしい。

 

 彼等は、その力を持って人の上に立ち、人やその他の生物を支配できるものだという思想を掲げているらしい。


 権威主義とか、そういうモノだろうか…

 なんにせよ、勇者と呼ばれるべきものでないのは確かだ。


 そんなことを思っていると、すぐ傍にメルニア婆さんが立ち、杖でとんっと床をついた。


「だからこその伝説の勇者じゃ。アキよ、お前さんの使命は全ての勇者の抹殺」


「…したらただの魔王だろうが」


 伝説の勇者じゃなくて魔王だ魔王。

 俺は婆さんの言葉を全て聞く前に突っ込み、婆さんは杖を振り回す。


「最後まで聞かんかっ」


 杖が顔面擦れ擦れを通って危ないことこの上ない。


「とにかくっ、全ての勇者の能力(・・)の抹殺じゃ。そして魔王を倒し、世界に平和をもたらしてほしい…勇者よ」


 突然祈るように手を合わせたメルニア婆さんは、その場に膝をつき、ぱぁぁぁぁぁっと光だした。


 まさか何かの前触れか! それともここで婆さんが光に包まれ、そこには若い巫女、もしくは俺をこの世界に呼び出した神か何かがあられもない姿で現れて…


 妄想してごくりと喉を鳴らせば、光はやがてギルドを照らし…



 ・・・・・・・・・・



 ・・・・・・・



 ・・・


「あ~、この光るだけの魔法は肩が凝るわい」


 やはり現れたのはただの婆さんだった。


「巫女サービスじゃ」


 なんとなくわかっちゃいたけど! それでも期待はしたいだろうが! 

 てか、サービスってなんだよ!


 涙をのみつつ、俺は悔しいので何も感じていないかのように平然とした表情を保ち、ギルドの依頼書をボードからべりっと引きはがした。


「次はこれを受ける!」


 ちなみに依頼書の内容は見ていない。まさに闇鍋、ならぬ闇依頼だ。


「…本気で?」


 ファナに真剣な表情で聞き返され、俺はギクリとしてはがした依頼書を見てぎょっとした。


『求む、強者の男!

  アマゾネスの村にて武闘大会を開催。我等に勝てるという自惚れた男がいるものならばかかってこい! 

  勝者の男には賞金10万リンとアマゾネスの嫁をくれてやる!』


「間違え…」


「よっしゃあ! 挑戦者だな貴様ら!」


 突然背後から叫び声が上がり、嫌な予感に振り返った俺は、がっくりと項垂れた。


 背の高いビキニアーマーに近い衣装を着た、小麦色の肌のむちむちダイナマイトボディの3人のお姉さまがたが、獲物を狙う獰猛な獣の目でギラギラと睨み、俺、グウェン、ゴルベーザに向けてびしぃっと指さした。


「「「その挑戦買った!」」」


 彼女達は戦う女…アマゾネスその人だった。





 スイマセン…まだ挑戦売ってないんです…



 とは言えなかった…。

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