Lv.22 地味な呪い
「なん、何が起きたのんかねんー!?」
村長宅にたどり着いた時、ゴルベーザ(ガルフォードです!)は既にゲージ赤の状態でした。もちろんゲージなんてないけども。
「気にしないでください。凶悪なモンスターにやられただけですから。もちろん倒しましたし」
にっこり営業スマイルな俺に村長は一瞬後ろに一歩下がった。
「凶悪オーラがバンバンじゃぞ、アキ」
別に村長に向けてるわけじゃない。
だが、やはりこの凶悪オーラはフルボッコ後にも尾を引いていて、村長を脅かしているのは事実だった。
落ち着け自分。
すーはーと深呼吸して我を取り戻すと、ようやく元に戻る。
「失礼しました。俺達はギルドから依頼を受けてきた冒険者です。村に何が起きたのか詳しく教えていただきたいのですが」
後ろでメルニア婆さん、ロマ、グウェンが騒がしい。
「色モノじゃなくてお色気者じゃ」
「そうねぇ」
「それを言うなら色怪物ではないか?」
「「どう言う意味」じゃ?」
人に凶悪と突っ込んでおきながら後ろではまだ続いているらしい。
ただでさえ婆さん、幼女、不審者、ぼこぼこにされたごつい男、俺、の組み合わせなのだ。信用されないような言動は慎んでほしいものだが…。
「あのん、本当にん、大丈夫でん?」
「「「「おまかせを」」」」
なぜか返事は揃った。
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村長宅の応接間に通され、俺達は話を聞くことになった。
さて、事の起こりは1か月前。
村から一時間離れた山奥に住む赤竜が、その日も気持ちよさそうに空を飛んでいたその日、いつもと違うことが起きた。
「赤竜がん、落っこちたんですん」
赤竜は村を守り、村にモンスターが近づけないようにしてくれている存在。日頃のお礼もかねてけがをしてないか確認に行き、けがを負っているのならば治療をしようと村人達が赤竜をたずねたそうだ。
しかし、赤竜はひたすら『私に寄るな』と繰りかえし、村人を追い払った。
その日から、ぽつぽつと村人の中に『ん』を付けて話す者が現れ、次第に多くの者が『ん』に感染したという。
「赤竜様をん、怒らせてしまったのではとん、それだけがん不安でん」
『ん』がいらっとする。なんてことない呪いだが、確かに地味に嫌な呪いだ。聞いてる方がいらっとくる。
「それで説得か。よかろう。この緑の騎士が来たからには大船に乗ったつもりでいるがよいん!」
グウェンがつられてるし…
ガク―ッとグウェンが床に四つん這いになってすごい勢いで項垂れた。
「やれやれ、これじゃからん精神のん弱い者はん」
肩を竦めて首を横に振るメルニア婆さんもすでに感染していた・・。
がが~んという表情で口をあんぐりと開け、固まった。
さすがに俺もぞっとして尋ねる。
「村長っ、これの感染時間はっ?」
話しながら俺の言葉の語尾にも『ん』がつくのではと緊張する。
これは心臓に悪いな…。
村長はグウェンやメルニア婆さんを憐れんだ目で見ながら指を三本立てた。
「3時間かしらん」
ロマまで…
彼女は横座りで項垂れているので可愛らしい。
「いえん、30分ですん」
「とっくに過ぎてんわーん!」
わ~ん、て・・・・
俺…一番恥ずかしいセリフ言った…
俺はガクリとその場に項垂れたのだった。




