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第九話 鬼王復活計画――三つの鬼王核

前書き


鬼王核。


それは、鬼王の力を凝縮した黒い結晶。


黒殻鬼との戦いで一つが生まれ、さらにその核を利用する謎の男が現れた。


男が残した言葉。


――「参」。


そして――。


「第五が動いていない」


その言葉は、現在の大戦鬼たちにとって大きな謎となった。


だが、黒牙玄真だけは知っている。


鬼王を封じた千年前の戦いには、五つの力が存在した。


黒。


雷。


炎。


風。


そして――白。


始原五大戦鬼。


その最後の一人、白峰神楽。


彼女が今も封印の中にいることを知る者たちがいる。


そして、その者たちは――。


鬼王を復活させようとしていた。


---



# 東方Project 二次創作 外伝 鬼の大戦鬼


黒嶺洞。


轟羅たちは再び石碑の前へ戻っていた。


テーブル代わりに巨大な岩を置き、その上に黒い石を並べている。


鬼王核。


現在確認されているものは三つ。


壱。


弐。


参。


雷華がそれぞれを見つめる。


「玄真」


「何だ」


「この三つは、全部同じもの?」


玄真は首を横に振った。


「違う」


「違う?」


「正確には、同じ『鬼王の力』から生まれたものだが、役割が違う」


轟羅が興味を示す。


「役割?」


玄真は壱の核を指差した。


「壱は『肉体』」


次に弐。


「弐は『妖力』」


そして参。


「参は『意志』」


四人が黙った。


焔羅が口を開く。


「つまり――」


玄真は頷いた。


「三つを揃えると、鬼王の力が大きく戻る」


雷華の表情が険しくなる。


「だったら、三つ全部を破壊すればいい」


「そう簡単ではない」


玄真が答える。


「鬼王核は破壊しても、完全には消滅しない」


「じゃあどうする?」


風華が尋ねる。


玄真は白い石碑を見る。


「封印する」


雷華が反応する。


「封印……」


「始原五大戦鬼が使った封印術なら可能だ」


「なら、それを教えて」


雷華が言った。


玄真は静かに彼女を見る。


「お前に扱えるか?」


「やる」


即答だった。


「できるかどうかは関係ない」


雷華は拳を握る。


「鬼王を止める必要がある」


玄真は少しだけ目を細めた。


「……鳴神の娘らしいな」


轟羅が笑う。


「なら決まりだ」


「何が?」


「三つの核を探す」


焔羅が頷く。


「賛成」


風華も頷いた。


「私も」


雷華は三人を見る。


「……ありがとう」


轟羅が笑う。


「礼はいらない」


「え?」


「強い奴と戦える」


焔羅も笑う。


「私も同じ」


風華が肩をすくめる。


「私は放っておくと地下の風が壊れそうだから」


雷華は少し笑った。


「本当に……あなたたちらしいわ」


そのとき。


洞窟の外から声が聞こえた。


「――失礼する」


全員が振り返る。


そこには数人の鬼が立っていた。


旧地獄で暮らす鬼たちだ。


先頭にいるのは、年老いた鬼。


轟羅が聞く。


「何の用だ?」


老人は頭を下げた。


「話を聞いた」


「何を?」


「黒殻鬼を倒したことを」


焔羅が眉を上げる。


「もう広まったのか?」


「旧地獄は狭い」


老人は笑った。


「特に、あれほど大きな戦いならな」


後ろにいた鬼たちも口々に話す。


「黒殻鬼を倒した」


「四人で?」


「本当なのか?」


「雷華もいたらしい」


「焔羅もだ」


「風華も」


「轟羅まで……」


ざわめきが広がる。


老人は四人の前へ進み出た。


そして――。


片膝をついた。


「旧地獄の鬼を代表して言わせてもらう」


四人が驚く。


「お前たちは――」


老人は頭を下げた。


「大戦鬼だ」


轟羅が目を見開く。


焔羅も驚く。


風華は静かに見つめる。


雷華は言葉を失った。


老人が続ける。


「強いだけではない」


「仲間を守り」


「旧地獄を守り」


「封印を守った」


「それを成し遂げた者を――」


老人は顔を上げた。


「我々は大戦鬼と呼ぶ」


その言葉が地下洞窟に響いた。


轟羅は拳を握った。


「……悪くない」


焔羅が笑う。


「私も気に入った」


風華は静かに微笑む。


雷華だけは少し俯いた。


「私は……」


老人が聞く。


「何だ?」


「私には、まだ怖い」


雷華は正直に言った。


「鬼王が怖い」


「……」


「封印の声を聞いた時、私は逃げた」


「雷華」


轟羅が呼ぶ。


雷華は顔を上げる。


「それでもいい」


轟羅は言った。


「怖いなら、怖いまま戦えばいい」


「……」


「逃げなかった今日のお前は、あの日のお前とは違う」


雷華の目が少し潤む。


焔羅が笑う。


「そういうことだ」


風華も頷く。


「強さって、怖くないことじゃないもの」


雷華は三人を見た。


そして――。


小さく笑った。


「ありがとう」


その瞬間。


黒牙玄真が立ち上がった。


「話は終わりだ」


全員が玄真を見る。


「次の核を探す」


「場所は?」


轟羅が聞く。


玄真は地図を広げた。


旧地獄の地下地図。


そこには三つの印がある。


「壱」


「弐」


「参」


そして、その中でも参の印だけが――。


動いていた。


「参は移動している」


雷華が驚く。


「誰かが持っている?」


「そうだ」


玄真は頷く。


「さっきの仮面の男だろう」


轟羅が拳を握る。


「なら追う」


「待て」


玄真が止める。


「参は一番危険だ」


「なぜ?」


「意志の核だからだ」


玄真が説明する。


「壱は肉体を強くする」


「弐は妖力を増幅する」


「だが参は――」


玄真の声が低くなる。


「持ち主の心へ入り込む」


雷華が息を呑む。


「心に?」


「怒り」


「憎しみ」


「欲望」


「恐怖」


「そういった感情を増幅する」


焔羅が眉をひそめる。


「つまり、普通の鬼が持ったら?」


「鬼王のような思想に染まる可能性がある」


風華が言った。


「力を求め続ける鬼になる」


玄真は頷く。


「そうだ」


轟羅が考える。


「だったら仮面の男は――」


「既に参を使っている可能性が高い」


玄真の言葉に、全員が沈黙した。


その時。


遠くで鐘の音がした。


――ゴォォン。


地下に響く低い音。


老人が振り返る。


「……何だ?」


もう一度。


――ゴォォン。


玄真の顔色が変わる。


「封印鐘……」


雷華が聞く。


「何?」


「千年前の封印術に使われた鐘だ」


「まだ残っているの?」


「残っている」


玄真は立ち上がった。


「だが――」


三度目の鐘が鳴った。


――ゴォォォン。


玄真が言う。


「鳴らされている」


轟羅が笑った。


「誰かが鳴らしているのか」


「そうだ」


「なら行くぞ」


轟羅が歩き出す。


雷華たちも続く。


玄真だけがその場に一瞬残った。


老人が聞く。


「どうした?」


玄真は答えた。


「……嫌な予感がする」


「何が?」


玄真は遠くを見る。


「封印鐘は、封印を強くするためのものではない」


老人が驚く。


「では何のために?」


「封印が壊れた時――」


玄真は低く呟いた。


「最後に一度だけ鳴る」


「最後?」


「ああ」


「それは――」


玄真は答えた。


「封印が終わる合図だ」


---


地下のさらに奥。


古い祭壇。


そこに白い仮面の男が立っていた。


その手には鬼王核・参。


そして目の前には巨大な鐘。


男が鐘を見上げる。


「一つ」


鐘を鳴らす。


――ゴォォン。


「二つ」


――ゴォォン。


「三つ」


――ゴォォン。


そして――。


「あと二つ」


男の背後に二人の人物が現れる。


一人は巨大な身体。


もう一人は細身の女。


「準備はできた?」


女が聞く。


「まだだ」


男が答える。


「壱が必要だ」


「見つかる?」


「必ず」


「弐は?」


「もうすぐだ」


「そして――」


女が笑う。


「第五は?」


男が黙る。


やがて答える。


「まだ動いていない」


「なら問題ない」


女は笑った。


「第五が動かなければ、封印は完成したまま」


男が首を振る。


「違う」


「え?」


「第五が動けば――」


男は鬼王核を握る。


「封印そのものが、こちらへ動く」


女の顔から笑みが消えた。


「……それは本当?」


「始原五大戦鬼の記録に書かれている」


男は言った。


「第五の鬼は、封印を作った」


「そして――」


「封印そのものになった」


その頃。


封印の奥。


白峰神楽は静かに目を開いた。


「……」


遠くから鐘の音が聞こえる。


一つ。


二つ。


三つ。


神楽はゆっくり立ち上がった。


「……また始まる」


目の前の闇が笑う。


『ようやく気付いたか』


神楽は答えない。


『お前が動けば、封印は動く』


「分かっている」


『ならば、動け』


神楽は目を閉じる。


「……まだ」


『何故だ?』


「彼らがいる」


『現在の大戦鬼か』


「ええ」


『お前は、あの者たちを守るつもりか?』


神楽はしばらく沈黙した。


そして――。


「……まだ分からない」


その瞬間。


四度目の鐘が鳴った。


――ゴォォォン。


神楽の周囲に白い光が広がる。


封印が震える。


そして彼女の身体に刻まれた封印文字が――。


一つ。


また一つ。


消えていった。


神楽は目を見開く。


「……まずい」


鬼王が笑った。


『そうだ』


『もうすぐ――』


『私たちは外へ出られる』


神楽は拳を握る。


そして初めて――。


封印の奥から、自らの力を外へ向けた。


――ズドォォォン!!


旧地獄全体が揺れた。


轟羅たちも足を止める。


「今のは……」


雷華が振り返る。


「封印……?」


風華が目を閉じる。


「違う」


「何が?」


風華の顔が青ざめる。


「誰かが――」


風華は震える声で言った。


「封印の中から、力を放った」


轟羅が笑みを消す。


「中から?」


焔羅も構える。


「つまり……」


玄真が呟く。


「神楽が動いた」


その名を――。


雷華が初めて聞いた。


「……神楽?」


玄真はしまったという顔をした。


だが、もう遅かった。


雷華が玄真を見る。


「今、何て言ったの?」


玄真は答えなかった。


轟羅も玄真を見る。


「玄真」


焔羅が言う。


「今の名前……誰だ?」


風華も静かに見つめる。


「白峰神楽」


玄真はついに答えた。


「始原五大戦鬼の第五」


雷華の目が大きく見開かれる。


「……白峰……神楽」


その名前が――。


千年の沈黙を破った。


---



後書き


第九話では、物語の重要な設定をさらに整理しました。


今回、鬼王核にはそれぞれ役割があることが判明しました。


**壱=肉体**


**弐=妖力**


**参=意志**


この三つが揃うことで、鬼王の復活へ大きく近づきます。


また、旧地獄の鬼たちから轟羅・雷華・焔羅・風華が正式に、


**「大戦鬼」**


として認められました。


ここは今後の物語において大切な場面になります。


彼女たちは古代の五人を再現する存在ではありません。


現在の時代を生きる、新しい大戦鬼です。


そして今回、ついに黒牙玄真が――。


**「白峰神楽」**


という名前を口にしました。


雷華たちは初めて、その名前を知ります。


これによって次回から、


**「第五の大戦鬼は誰なのか?」**


という謎を追う展開へ入れます。


しかし、まだ最大の真実――。


**白峰神楽が現在も生きており、鬼王封印そのものになっている**


という事実までは、雷華たちは知りません。


そして四度目の封印鐘。


残された最後の一回が鳴った時――。


千年前から続く封印は、大きな転換点を迎えることになります。


次の物語では、雷華たちが「白峰神楽」という名前を手掛かりに、鳴神家・翠風院家・古い鬼族の記録を調べ始める一方、鬼王復活を狙う勢力の正体がさらに明らかになっていきます。

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