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魔力0の訳あり王女、最狂につき取り扱い注意  作者: やきいもほくほく
三章 悪女のお気に入り

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体調も万全ではないのに呼び出しはシャルレーヌが苦手な昼間だ。

居心地のいい暗い部屋から出るのは気が引けた。

窓の外からは、警戒するようにカラスの声が聞こえていた。


(名前を言わないところが怪しいわね。せめて夜だったらよかったけれど……)


恐らくアナベルかエマニュエルあたりが手配したのではないだろうかと予想していた。

匿名を強調している辺り、部屋で謹慎しているアナベルが濃厚かもしれない。

侍女たちに水をかけられたことを思い出して笑ってしまう。

シャルレーヌはあることを伝えるために口を開く。



「今は体調が悪いから、また夜に向かうと伝えてちょうだい」


「かしこまりました」 



ロミが執事に伝えると、困惑していたようだがシャルレーヌが咳き込んだ音が聞こえたのか引いてくれたようだ。

ルイが今は体調が優れないと伝えると、執事はシャルレーヌ宛てのメモを渡すと去っていった。

意外にも強引に呼び出すわけではないらしい。


シャルレーヌはルイからメモを受け取った。

人気がない場所の指定、必ず一人で来いと書いてあるだけ。

その場所もリリーが散歩に連れ回してくれたおかげで、なんとなく理解できていた。


(こんな場所に呼び出して何をするつもりかしら。それに一人で来いなんて…………脅されてもいないのに言うことを聞く筋合いはありませんわねぇ)


考えが甘いだけなのか、はたまた予想外のことをしてくれるのか、楽しみで仕方ない。


(魔法で攻撃されてしまうのかしら。それとも決闘? でもここはナリニーユ帝国だわ。事前に勉強してきたけれど、そんな風習はなかったはず……)


本当はこのまま断ってしまうか、名前を言わせた方がいいのだが楽しみはとっておいた方がいいはずだ。


(人を使って襲わせるとかは? 侍女たちに囲まれて魔法を浴びせられあるのかしら。それでもいいけれどもう少し楽しませてもらわないとつまらないですわ)


シャルレーヌはさまざまな考えを巡らせつつ、体調を回復するために目を閉じた。



辺りが暗くなってきた頃、ルイに起こされてあくびをしつつも準備をしていく。

今から呼び出しに応じる格好ではないが、おしゃれをして夜に出るのは久しぶりだ。



「何が起こるのかしら。楽しみですわね」


「我々は後ろで待機しております」


「あら、一人でいいのに……」


「そういうわけにはいきません」



ルイは淡々と答えた。

部屋の外にいたはずのロミもいつのまにか中にいて頷いている。



「そう、わかったわ。でもギリギリまで手出しは無用よ?」


「……。かしこまりました」



まったく納得していないルイだが、シャルレーヌの指示には従うだろう。

リリーは今日、たまたま休暇だ。

彼女がいたらもっとおもしろいことになっただろうが仕方ない。

昼間とは打って変わって、シャルレーヌは小さくスキップしながら指定された場所に向かった。



「忘れていたわ。奇襲に備えて傘を持ってくればよかったですわね」


「お持ちいたしましょうか?」


「いいわ。大丈夫よ」



傘があったらもっと気分がよくなっていたのに残念だ。

空を見上げると、コウモリと数羽のカラスたちがシャルレーヌを見守るようについてくる。


指定の場所に到着したシャルレーヌは辺りをくるりと見回した。



「あら、あなたが……」



てっきり大人数いるかと思いきや、立っていたのは一人だけだ。

それも見覚えのある人物だ。

シャルレーヌが声を発するのと同時、こちらを鋭く睨みつけている。


(予想外でしたわ。まさかこの方がわたくしを呼び出したんて……)


呼び出された理由がわかったシャルレーヌは口角を上げた。



「まぁ……何か御用でしょうか?」


「しらばっくれるな! わかっているんだろう?」



ミルクティー色の肩まである長い髪、中性的で美しい顔立ちは怒りから歪んでいて台無しである。

線も細くサンドラクト王国にはまったくいないタイプの男性のため珍しく思い、観察するようにじっと見てしまう。


(頭脳派だと思っていたフェランお兄様ですら、かなりガタイがよく見えてしまいますわね。なんて弱そうなのかしら……)


シャルレーヌを匿名で呼び出したのは、ヴィクトールの側近の一人であるモルガンだった。


(興味がなさすぎて情報収集が疎かになってましたわねぇ、彼はどんな方だったかしら)


シャルレーヌが情報収集のために頼っているカラスたちの元主人だ。

彼らは進んでモルガンのことを話したりしなかった。

文句もないということはいい関係だったのだろうが、シャルレーヌがカラスたちを従えたことで契約が切れたのだろう。

遠くからシャルレーヌを心配するようなカラスの声が届いた。


(今は小鳥やネズミたちと連携をとれるようにしているんだったかしら。ふふっ、綺麗な男の子。腕を少し捻っただけで折れてしまいそう……まるで絵本のお姫様のようね)


ここに呼び出されたということは、シャルレーヌがカラスを従えているということに気がついたのかもしれない。


(けれどこの状況はあまり好ましくありませんわね)


てっきり呼び出したのは女性だと決めつけていたシャルレーヌだが、男性でヴィクトールの側近と二人きりになるとしたら話は別だ。


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