河原のネコ
勇輝は今日も橋の下で時間を潰す。
「いつもここにいるね。」
勇輝のそばにいるのは、シルバーの短毛にブルーの瞳の痩せ型で長いしっぽを持つ猫だけ。
「今のオマエ?」
「そうだよ。」
(オレ、誰ともまともに話さなすぎて、ネコに幻聴を感じてんのかな?)
勇輝は、ネコの頭を撫でる。
ネコは、
「ニャー」
と、鳴く。
(ネコが、話すわけないよな。)
勇輝は、そう思いながらも、ネコに話す。
「おれ、いじめられてんだよね。
だんだん、ひどくなってて、どうしたらいい?」
「誰かに相談したの?」
勇輝は、ネコでなく、誰かと話せば言うであろう言葉を想定して、話を続ける。
「誰に相談すんの?
周りはみんな知ってて見て見ぬふり、誰もオレに近づいてこなくなったよ。
親に言っても、先生に言うだけじゃん?
仕返しされて、さらに酷い目にあうに決まってる。」
「逃げないの?」
「学校行かなきゃ、親が詮索するし、学校サボっても親にバレる。カモにされるために学校に行ってるみたい。」
「辛いね。」
「オマエ、助けてくれる?」
「念って知ってる?」
「念?思いとか?」
「信念、入念、念願、執念、怨念、念にはいろいろある。強く思えば、念は通じるんだよ。」
「それはないよ。毎日、オレに気づくな、近寄ってくるなって思ってるけど、通じたことはない。」
「まだ、念が弱いのかもね。」
「強く思ってるよ。でも、アイツらには通じない。世の中、アイツらの思いのまま動いてんだ。悪いことしてんのに、何のバツもない。」
「大丈夫。人に嫌な思いをさせる人間は、そういう人たちの念が集まって、どこかで必ず、足を引っ張られるから。」
「オレは今、何とかして欲しい。
アイツらのせいで、オレの人生ムチャクチャになるよ。」
「明日、ちゃんと念を使ってみて、通じるから。」
勇輝は、フッと笑う。
(どうせ、何も変わりはしない。)




