第3話ソフィア
ハスター、私の25年ぶりの友達、そして人生を与えてくれた恩人である。
ハスター交流はメッセージアプリみたいにメッセージを送ったり電話が出来るらしいからちょくちょく連絡しようと思う。
しかし、私はこの世界に来たばかりでなんもこの世界のこと知らない。とりあえずこの家を色々調べてみるか。
私は部屋を出る、てか6歳の体だからクソ歩きづらい。
てくてくと頑張って歩いていく。
しばらく歩くとメイドが歩いていた、クールビューティって感じでめっちゃ美人だ。だが私をみると、不快そうな顔をしてお辞儀してきた。
やはりアザレアは悪役令嬢なのだろうか、メイドからの好感度は低そうだ。
「こんにちわ」
声をかけたらメイドはとてもびっくりしている。
「...アザレア様。どうかされましたか?」
「...あなたの名前ってなんでしたっけ」
取り敢えず名前を聞いてみた、すると
「...名前すら覚えていないんですね」
「申し訳ないわ、ど忘れしちゃったの」
メイドは不審そうに私をみる。
「...ソフィアです、私の名前は」
「そう、ソフィアよ。ソフィアはあなたは私のことが嫌いなの?」
「...よくそんなことが聞けますね。あれだけいつも私をいじめといて」
やっぱ、私悪役令嬢だ。。。
「...いじめって、どんなことをしたっけ」
「...くっ!本気で言ってるんですか?この前だって、私の手に加熱したフライパンを当てて酷い火傷をさせたのに。いつも私のことを奴隷扱いしてるのに。あなたの母親と一緒にいつも私と私の家族を馬鹿にしているのに!!私だって好きでこんなことをしているんじゃない!でも、ずっと代々あなたの家のメイドをしている家に生まれてこれをやるしか許されなかったからやってるだけなのに!いつもいつも私と母をペットみたいに扱って!!」
私がしたことじゃないけどほんとごめんよソフィア。ふー、アザレアは中々の悪役令嬢らしい。
「そうよね、今まで本当に申し訳なかったわソフィア。謝って済むことではないのは分かるけど、謝らせてほしい」
ソフィアは驚愕している
「な、なにを急に」
「手を見して、火傷したとこ」
「な、なにをするんですか?.」
「いいから見せて」
「くっ」
ソフィアは悔しそうに手をだしてくる。
酷い、包帯を巻いているが膿で黄色くなっている、それにまだまだ痛そうだ。
「包帯をとってみてもいい?」
「...なるほど、そう言うことですか。あなたは悪魔の生まれ代わりですよきっと」
私が傷口を傷みつけると思ったのか、諦めたように包帯を外して腕を差し出してきた。
悪魔の生まれかわりならなんかかっこいいけど、残念喪女ニートの生まれ変わりでした。
てかこれは全回復とやらで治せないの?
頭の中で「うおおお!!全回復!!!」と念じてみる。
すると、ソフィアの手を光が覆った。
「!?な、何をしたんですか!?」う
ソフィアは怯える。
だが、傷は完全に消えソフィアの白い肌がそこにはあった。
「な、え、嘘...」
全回復すご、てかやばい。この世界の魔法とか文明レベルわからないうちにこんなことすべきじゃなかったよな。
「少しだけど、お詫びよ。でもこのことはみんなには内緒よ」
「...はい」
ソフィアは驚きすぎてイマイチ状況が飲み込めてないようにみえた。
「いつも私のために働いてくれてありがとう。今までしたことは謝るわ。あなたの母親を馬鹿にしたのもごめんなさい。私が愚かだったわ。」
ソフィアは信じられないものを見るかのように私をみている。
「お詫びになるかは分からないけど、私に何かできることがあったら言ってちょうだい。私は公爵令嬢だから、色々融通が効くと思うわ」
「あなたは誰ですか?」
「私はアザレアよ」
「確かに見た目はそうですが昨日までとは全く別人としか思えません。もしかして、頭かなにかを打たれたのではないですか?」
失礼なメイドだ全く、、、
「まあ、そうかもしれないわね。ソフィアは昨日までの私と今の私どっちが好き?」
「...今、ですかね」
「そう、ならそれでもういいじゃない。細かいことは気にしないの」
この世界のことがよく分かるまで私の能力はあまり使いたくない。だからソフィアと敵対するのは避けたい。それに、転生して初めて会った人間なのだ。これは何かしらの運命だろう。
「ソフィア、私人間の友達がいないのよ」
「...急にどうしたのですか?それは知ってますよ」
くっ!やはりアザレアもぼっちだったか。
「私と友達になってくれないかしら」
「本気でどうしたんですかアザレア様」
「ダメかしら?」
「...正直言うとあなたに散々いじめられてきたので絶対嫌だと思います。ただ、今のあなたなら意外と嫌ではありません。あれですかね、好感度最悪だったから、少し良く見えるととても良く見えてしまう的な」
「ふ、かもしれないわね。じゃあ今日から私たちは友達よソフィア」
「...わかりました、でも立場のこともありますし今まで通りメイドとして接しさせていただきます」
「ええ、それでいいわ」
「じゃあちょっと用事があるから行くわね。じゃーねソフィア」
「...はい」
もっと屋敷を見て回るために一旦ソフィアと別れた。
ソフィアの家は遥か昔からダーガー家のメイドを勤めているメイド一家だった。もちろん私の母もメイドだ。
だが父はメイドにはなれない、メイドは女しかなれないからだ。
では父は何をしているのか?母が私を産むまではこの家の雑用をしていたが、私が産まれた移行はどこにいるかわからない。おそらくどこかで何かしらの仕事をして生きてはいるのではないかと思う。何代か前のうちの家系の男もそうだったらしいから。
ダーガー家は公爵家で絶大な権力を持っている。
そして私と母はこのダーガー家で長らくいじめられてきた、この家の公爵夫人イザベラに。
だが、そのイザベラが7年近く前に妊娠した。何代か前の夫人も嫌なやつだったらしいが、子供ができたのをきっかけに優しくなったらしい。だから期待していたが、期待は裏切られた。
アザレアは最初は可愛かった、だが物心つく頃からだんだん母親の影響を受けアザレアも私たちをいじめるようになった。父親の前では可愛子ぶっているが、メイドの間では悪魔の子と言われていた。
だが、その日は突然訪れた。
何があったのかは分からない、ただアザレアは前日までとは明らかに違う人間だった。
前までは6歳児に相応な語彙力で叩いてきたり思いっきり私の髪を引っ張ったりしてくるだけだったのに、突然難しい言葉を使って謝りだしたり、私の傷跡を一瞬で治したり、私の友達になると言ったり。
本当に悪魔に呪われていて、それが消えたのか、もしくは頭を打って記憶がなくなったのか。アザレアに何が起こったのだろうか。