【喫茶店.】花のない花屋
週に1日ある休日にも関わらず今日はお店を開いています。
私はこの日にくる大切な大切なお客様を誰にも邪魔されないようにお待ちしているのです。
お昼を過ぎて日が青いキャンパスを遮る時間のことです。
遠慮がちにドアをノックする音が聞こえます。
私はドアの外にいるお客様に聞こえるよう声を出します。
「いらっしゃいませ、どうぞ中にお入りください」
そう口に出した後決まったように妖精たちは空から地面へ移動しフウさんはドアに歩み寄る。
外の光がゆっくりと漏れてくる中に少女がいました。
店に入ろうとする彼女にいつもの如く足元に擦りよる。
彼女はこけないように気を付けながらフウさんを抱えテーブルに腰掛ける。
彼女が座ったのを確認し妖精たちはまた空の世界へ飛び立つ。
週に1日ある休日はこうして始まるのである。
席に着くと彼女は聞く。
「マスター、今日はどんな気分?」
膝上に乗せたフウさんを撫でながら呟くように問う。
「今日は花のない花屋に行きたい気分です」
彼女が通い始めて2年の月日が経ちながらもこの質問は変わらない。
変わるのはその日の返答だけ。
彼女は笑うことはない。
それは盲目だからというわけではないが目が見えないことに対しての関係はあるだろう。
白いコサージュのような髪飾りに腰に寄り添う長い髪。
ツヤを失うことのない白色。新雪のような白い肌。
誰もが思う令嬢と思わしき彼女の目を見た者はいない。
どこを見ても彼女は白い。私は一目見た時からこのお客様のことを少し気に入っていたのかもしれない。
休日と称したお店の貸切をはじめフウさんと妖精との協力。
彼女は目が見えない。
正確には目が開かれたことがない。
瞼を通して分かるのは光の強弱のみ。
妖精の鱗粉から出る微弱な光が彼女にとっての光。
空を見上げた光は熱になった。
彼女の世界は暗い。色という概念がないだけで彼女は白かった。
何者にも染められる存在であった。
花のない花屋。
白い蕾が開く頃には雨が降るでしょう。
白い蕾が開く頃には雨が降るでしょう。
この意味が分かる人がもしいたら一言頂きたいです。




