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隣の席の銀髪美少女ギャルは毎日俺の家に遊びに来ていることをクラスの皆には知られたくないらしい  作者: 二十四
一章

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とても面倒くさそうな話

 そんな事があった日の夜。


 人をダメにするクッションに埋もれているのはいつも通りだが、星羅さんが居ないこともあり、それなりの音量で好きなアニメのオープンニングをスピーカーで流しながら、コーヒーを飲むという久しぶりに家で一人の時間を満喫していた。


 そんな時間を過ごしていると、気がつけば窓の外は少しずつ暗くなっており、そろそろ晩御飯でも作ろうか、なんて思った時だった。


 最近聞き慣れたインターホンが鳴った。


 星羅さんが来るにしても、いつもであればもっと早い時間から家に来ているし、そもそも今日は二人でカラオケを楽しんでいるはずだ。


 俺はノロノロとクッションから体を起こし、インターホンのモニターを確認してみれば、まさかの星羅さんだった。


 モニター越しの彼女はこの時間に来たことに少し申し訳なさそうに顔を下げていた。


 別にこの時間に家に来たところで居るのは俺だけなんだし、そんな顔しないでもいいのに……


「……オタクくん、こんな時間にごめん」


 インターホンのスピーカーから鳴る声はやっぱり申し訳なさそうな響きに溢れていて、俺は少しっ言葉に詰まってしまう。


「……とりあえず、鍵開けるから」


 俺は解錠のボタンを押しながら言う。星羅さんはエントランスの扉が空いたのを確認して、一度カメラに向かってぺこりと頭を下げてカメラの画角から外れる。


 俺もそれを確認して、インターホンの前から離れ、ご飯を食べるときぐらいしか使わないリビングの椅子に腰を下ろした。


 ×××


 リビングでもう温くなってしまったコーヒーをちみちみと飲んでいると、玄関の扉が開く音が聞こえてくる。


 玄関からリビングに顔を出した星羅さんは、最初からリビングにおれが居るという少し珍しい光景に目尻をピクと震わせた。


「なんかリビングにオタクくんが居るの珍しいね」


「……飯作ろうと思っていたからな」


「あー……ごめん」


 俺の言葉を聞いた星羅さんはへにょりと眉をハの字に下げる。


「良いから良いから、気にすんなって……調子狂うなぁ」


 夜遅くに俺の家に来たのがそんなに申し訳ないのか、どこぞのフクロウのように身を縮める星羅さんに困ってしまう。


「……それで?今日はどうしたのさ」


 ちらとリビングの壁にかけられた時計を見てみるとすでに19時をまわっており、めちゃくちゃに遅い訳では無いが、別に早いわけでもなかった。


 基本星羅さんが小宅家に顔を出すのは、どんなに遅くとも放課後から一時間程度ぐらいのものだ。


 そのため、結果としてこの時間まで星羅さんが家に居ることはあっても、この時間に来るのは初めてのことだった。


 星羅さんはずっと立っているのもおかしいと思ったのか、俺の向かいにちょんと座って、その桜色の唇を湿らせるように、ちろりと舐める。


「その、今日莉々愛とカラオケに行ったんだけど……」


 話し始めた内容は、俺も昼休みのときに盗み聞きをして知っていたことでもあるので、特に何を言うでもなく頷きを返す。


「それで途中までは二人でめっちゃ楽しかったの」


 途中までという言葉は気になるが、楽しかったと口にしているときの星羅さんは、その時のことを思い出しているのか、その光景を知らない俺にも楽しかったのだろうと伝わる。


「そんで、二人でカラオケしてたらたまたまうちの学校の先輩と鉢合わせしちゃって」


「あーそう言うのあるらしいね」


 まあ家の高校の最寄りの駅にあるカラオケ店はそこまで多くもないし、ドリンクバー等で部屋を出たら知り合いとばったり顔を合わせるなんて話はよく聞くものだった。


 もちろんソースは盗み聞きである。俺がカラオケなんてものに行くわけもない。


「そうそう、で結局なんか一緒にカラオケすることになっちゃって」


 うわぁ、めんどくさそう……


 まあなんとなく予想できる話だった。星羅さんは勿論、莉々愛さんも交友関係は広いタイプだし、先輩に誘われて断る意味もなければそうなるのは納得だった。


 とはいえ、微妙な関係の人とカラオケと言う密室で過ごすというのは、人付き合いの好きではない俺みたいな人種にとっては苦痛以外の何物でもない。


「それで、先輩が男女二人ずつのグループだったんだけど、一人の先輩が歌ってる時もちらちら私の方見てくるし、めっちゃ私とだけ話そうとするし、それで女の子の方の先輩もちょっと苛ついてきちゃって……まじで雰囲気最悪だった」


「へえ……それはまた」


 友人が多いゆえの苦労と言うか、人気者の苦労と言うか……


 俺だったらそもそも仮にカラオケに行ったとしても、他の人と途中から合流して、なんてことは絶対に無理だし本当のところ星羅さんの気持を理解することはできないが、話を聞く限りとても面倒くさそうだ。


「で?それでなんで家に来ようと思ったのさ」


 一番聞きたかったことは教えてくれなかったので、俺が改めて星羅さんに聞くと、星羅さんはなぜか少し顔を赤くして口をもにょらせて口ごもる。


「……その、そのままご飯行く?みたいな話になったけど、雰囲気悪すぎて逃げてきた」


 ……その雰囲気の中二次会を提案したやつの顔が見てみたいものである。


 さすがの星羅さんでも疲れた様子を隠そうともせずに、机に体を投げ出しているところを見るに、本当にその空間が苦痛だったのが否が応でも察せてしまう。


 逃げてきたと言っても、俺の家に逃げ込むというのもなんだか少し変な話だが、まあ美少女に頼られて嬉しくないわけもない。


「ん、了解。じゃあ星羅さんお腹へってるでしょ?なんか作ろうか?」


「あぁもう!オタクくんのそういうとこ好き〜」


 机の上に上半身をぐでーっとだらけさせて星羅さんは言う。


 勿論俺はわきまえているオタクなので、彼女の言う「好き」に特別な意味はなく、ただの感謝の意味しか無いと分かっている。


 ちょっとドキッとしたりなんかしてないんだからねっ!


 何を作るにしても、冷蔵庫に何があるか確認し無いことには元も子もない。


 俺は立ち上がってキッチンの方へと向かった。



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