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隣の席の銀髪美少女ギャルは毎日俺の家に遊びに来ていることをクラスの皆には知られたくないらしい  作者: 二十四
一章

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八割がた莉々愛さんは悪いスライム

 相変わらず、俺は話す人もいないので、俺は一人寂しい昼休みをライトノベルを読みながら時間をが過ぎるのを待っていた。


 今日も今日とて、俺と星羅さんの机の間には莉々愛さんが立っていて、二人は仲良さげに話している。


「星羅ぁ〜今日こそカラオケ行こうよ〜」


 そんな昼休みを過ごしていると、星羅さんの机に手をついている莉々愛さんが言った。


 莉々愛さんは多分同級生の中では、星羅さんと一番仲が良いし、よく遊びに行っているのも星羅さんから聞いたことがある。


 なので、俺も普段はそんな会話が隣で行われていてもさして気にはしないが、昨日の夜道のことを思いだして、つい聞き耳を立ててしまう。


「うーん……土日なら良いけど……」


「えーなんでぇ……今日行きたいのに〜」


 莉々愛さんはまだ諦めがつかないようで、星羅さんの肩をがくがくと揺らしながら子どもが駄々をこねるように言う。ヘッドバンキングをするように激しく頭が上下し、星羅さんはあうあうと声を漏らしていた。


 あなた達本当に仲良いね……百合か?百合なんですか?というか、女子高生の友人との距離感ってなんであんなに近いんですかね?


「わかった、わかったから!」


 あうあうと声を漏らしていた星羅さんがいよいよ我慢できなかったようで、諦めたように少し大きい声を上げる。それを聞いて莉々愛さんは動かしていた手を止めて言う。


「……行ってくれる?」


「確かに最近は莉々愛と遊べてなかったしね……」


「やた!約束ね!」


「はいはい……もう、莉々愛のせいで髪ぐしゃぐしゃ……」


「えへ、ごめんごめん」


 やっと莉々愛さんの強制ヘッドバンキングから開放された星羅さんはため息混じりに、携帯を手鏡代わりに乱れてしまった髪型を手櫛を通して直している。


 そんな姿を眺めていると、星羅さんも俺に見られていることに気がついたのか、莉々愛さんに見えないように机の下で俺に向けてシッシッと手のひらを払らわれてしまう。


 なんだいなんだい、まるで俺が虫みたいじゃないか。いや、まあ、ある意味本の虫と言われたらそれはそうなのであながち間違いでもないかもしれない。


「あ、そういえば星羅この前、佐賀美先輩に告られたってマジ?」


 そのまま星羅さんのことを見ていると怒られてしまいそうだったので、大人しくライトノベルに目線を落としていると、莉々愛さんがそんなことを言った。


 佐賀美先輩とやらは俺は存じ上げないが、それなりに星羅さんと仲良くさせてもらっている以上、突然の恋バナの始まりに二人の方へと顔を上げてしまう。


「……あー、あれねー。まぁ、無しでしょ」


 星羅さんは酷く面倒そうに顔を歪めていた。なんだか基本的に明るい表情ばかりの星羅さんがそこまで嫌そうにしているのは珍しい気がする。


「えーなんで?先輩イケメンじゃん」


 それは恋バナを始めた莉々愛さんも同じ気持のようで、不思議そう顔をして言う。


「いや、イケメン興味ないし……」


「むむむ、星羅それいつも言うけどなんでなの?」


 そうそう、オタク気になります!


 莉々愛さんが聞きたかったことをどんどんと聞いてくれるお陰で、先ほど星羅さんにシッシッとされたことを忘れて普通にガッツリ耳を傾けてしまっていた。


 星羅さんは少し唇をもにょらせていたが、興味津々の様子で莉々愛さんに見つめられて、諦めたように小さなため息を漏らして口を開いた。


「……顔整ってる人って、なんか根拠ない自信あって、ちょっとね」


「俺はこんなにイケメンなんだから、俺の告白断る女子なんていないぜ!……的な?」


 莉々愛さんは決め顔を作って男子のマネをするようにわざと低い声を出して言う。多分星羅さんの言いたいこととは少し違う気がする。


「まぁ、そんな感じ、かな?」


 星羅さんもまた、少し違うと思っているのか曖昧な笑みを浮かべながらも、わざわざ否定するほどの違いでもないと思ったのか首肯した。


「佐賀美先輩なら行けるかとおもったのに〜」


「あはは、なにそれ」


「いや、だってさあ、星羅彼氏全然作らないじゃん?だから先輩ならイケメンだし、星羅のお眼鏡に叶うかなって思ったけど、そういうことならしょうがないかあ」


 言って、莉々愛さんは少し残念そうに肩を落とした。


「ま、そうだね」


「……じゃあさ、逆に星羅はどんな人と付き合いたいのさ」


 恋バナに一段落ついてもう終わりかぁなんて思っていたが、莉々愛さんはまだこの話を終わらせるつもりはなかったようだ。


 聞かれた本人である星羅さんも俺と同じように、終わると思っていた会話が続くことに目を見開いて驚く。


「……その話、今じゃないとダメ?」


 星羅さんがちらと俺に目線を向けながら言ったせいで、自然と目が合ってしまった。パチっと目が合い、また見られていたことに気がついた星羅さんは、恥ずかしそうに頬を染め、もにもにと両手の指を弄ぶ。


 きっとガッツリ踏み込んだ恋バナを隣に俺という男子がいるところでするのは、流石に恥ずかしいのだろう。


「やっぱ気になるじゃん?……あ、ね!オタクくんも気になるよね?ね?」


「いやいや!オタクくん関係ないでしょ!?」


 普通に今の今まで、勝手に盗み聞きをして楽しんでいたのに、莉々愛さんが不意に振り返って俺の顔を見つめて会話に参加させようとしてくる。


 星羅さんもまさか俺が恋バナに参加するとは思っていなかったのか、莉々愛さんの手を引き、どうにか自分の方を向かせようとする。


 俺は俺で、あまりにも急に話しかけられたせいで、あ、う、みたいに意味のない意味を持たない声を間抜けにも漏らしてしまう。


 なんだこの状況


「……そっすね」


 結局俺が何とか絞り出した言葉はこんなものだった。


「ほらー!オタクくんもこう言ってるじゃん」


 俺の言葉を聞いた莉々愛さんは鬼の首でも獲ったように星羅さんに向けて言った。すると、星羅さんはちらちらと俺の顔を見ながら、まるで先程までの俺のように、あーうーとうめき声のようなものを漏らす。


「……と、とにかく!絶対、今はその話しないから!」


 星羅さんは、じーっと返事を待つ莉々愛さんに見つめられて、顔の前で手を交差させて断固とした拒否の姿勢を作り、ぎゅっと結ばれた唇がこれ以上何も話しません!と言外に言っている気がした。


 俺も莉々愛さんも、星羅さんが黙り込んでしまってぽかんとしてしまっている中、唇を結んだ星羅さんは真っ赤な顔でキッと俺のことを睨みつけてくる。


 ……オタク悪いスライムじゃないよ!あと、多分普通に莉々愛さんのほうが悪さ加減で言ったら、大分悪いよ!


 なんて、俺は星羅さんに睨みつけられながら、心の中でだけ言い訳を重ねた。


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