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パパとおじいちゃんとの秘密の話? (5)

「……葵様の母親は……施設長が保護しているのか?」


 おじいちゃんがパパに尋ねたけど……

 勝手に『そうだ』なんて言えないよね。


「……それは……俺の口からは……」


「……そうか。だが……もしそうだとしたら……俺もそれを知っていた事にすればいい」


「……え?」


「繋ぐ者の誰か一人にでも連絡すればいい決まりだ。狩野ちゃんも繋ぐ者だから問題にはならないはずだが……狩野ちゃんは複数いる『狩野』の一人だからな。俺も知っていた事にすればいいだろう」


「……勇真さん。ありがとうございます……」


「葵様の母親なら真葵ちゃんの『おばあさん』だからな」


「……はい」


「だが……狩野ちゃんは保護されなくていいのか……うーん……難しいな。忍びの里の血を引かずに忍びの里で育った……か」


 ……今の言い方だと忍びの里の血を引かない覚醒者は保護されるっていう事?


「後で施設長に会いに行こう。今までの事を訊かなければ……真葵ちゃんも行くかな? その時おばあさんに会えばいい」


「……え?」


「これからは色々な人達に会いに行こう。失われた感覚が戻るかもしれない。もちろん暴走しないように気をつけながら……ゆっくりゆっくり前に進もう。これからはパパもおじいちゃんもいるんだ。頼ってもらえたら嬉しいよ」


「……おじいちゃん」


「かわいい人形はどんな形がいいかな? 日本人形だけじゃなくぬいぐるみでもいいんだよ」


「ぬいぐるみ?」


「ひよこかな? 猫か……犬でもいいか……うーん……」


 いらないなんて言えない雰囲気だ……


「……なんでもいいよ」


「なんでもいい……か。でも……さすがに『い草人形』っていうわけにはね……」


「藁人形の事? 私が日本人形を欲しがった時に叔父さんが作ってくれたのと同じ物?」


「ん? そういえばそんな話をしていたね。一真には人形を動かす力がないから普通の藁人形だったはずだ……いきなり藁人形なんか渡されて怖かったね」


「……誰かを呪わせたいのかと思ったよ」


「あはは! 確かに」


「叔父さんはどうして駿河の里で育たなかったの?」


「ああ……それか。うーん……おじいちゃんは元々駿河の里では育たなかったんだよ。違う里で育ったんだ」


「違う里?」


「うーん……そうだね……忍びの里は『駿河の里』以外にもあるんだよ。おじいちゃんは『小田の里』出身なんだ」


「……小田の里?」


「一真はおじいちゃんが暗殺部隊を率いる繋ぐ者になってから授かった子で……母親は身体が弱く出産に耐えられなくてね。おじいちゃんの両親も亡くなっていたから里で世話をしてくれる人がいなくて。それでおじいちゃんが男手ひとつで育てたんだ。中学に入る頃には家に寄りつかなくなって。一真には寂しい思いをさせてしまったから当然か……」


 そうだったんだね……

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