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パパとおじいちゃんとの秘密の話? (3)

「……孫をかわいがるのは、これから産まれてくる赤ちゃんにしてあげればいいよ」


 私には、おじいちゃんにかわいがられる資格なんてないんだから。


「真葵ちゃん……」


 おじいちゃんが私を見つめながら呟いた。

 

「私はたぶんおじいちゃんの本当の孫じゃないよ。本当の真葵の心は四歳で死んだの。駿河を……完全体の駿河を抑える為に私が真葵の心を消したの。違う……あの声が聞こえた時に本当の真葵は殺された……?」


「それは違うよ。絶対に違う。ずっとそんな風に考えていたんだね。かわいそうに……」


「おじいちゃん……訊きたかった事があるの」


「……何かな?」


「叔父さんが拐われた時……どうして助けに行かなかったの?」


「……え?」


「二十三年前の事だよ」


「……ああ。それか……」


「孫の私を見守る事ができるなら息子である叔父さんをどうして助けに行かなかったの? 『非公認の団体に拐われたから狩野さんが助けに来た』って叔父さんが言っていたよ?」


「……そうだな。一年近く放っておいた……」


「どうして? 叔父さんが酷い目に遭っているのを知っていたんでしょ?」


「……真葵ちゃん。一真は……拐われた後暴走したんだ」


「え? でも二十三年前、施設が襲われてママを逃がす時に覚醒したって言っていたよ? 二回覚醒したの?」


「いや、それはないはずだよ。あのまま一真を助け出していたら……暗殺部隊に殺されていた……」


「……それで放っておいたの?」


「なんとかして一真を生かしたかった……きちんと見張りは付けていた……だが……心配で堪らなかった」


「暴走した叔父さんを非公認の団体の力で止められたの?」


「強い薬で押さえつけたようだ。一真がだいぶ落ち着いた頃、狩野ちゃんに知らせたんだ」


「……全ては叔父さんを生かす為に?」


「……暗殺部隊を率いる繋ぐ者には厳しい掟がある。だが……その掟を破ってでも……一真を助けたかった。本当は一真が暴走した時点で狩野ちゃんに知らせなければいけなかったんだ……」


「おじいちゃんは罰を受けたの?」


「……傷つき戻ってきた一真を見る方が辛かった」


「……おじいちゃん」


「生きていて欲しい……それが親心なんだよ……もちろん真葵ちゃんにも生きていて欲しい」


「……私にも?」


「だから今度こそ後悔しないようにと……繋ぐ者を抜けようとした」


「簡単に抜けられるの?」


「いや……簡単には抜けられないよ。病気や怪我でもしない限りね」


「……それで今でも繋ぐ者を?」


「……一真が連れ去られ……独り残された葵様を見守ってきた。それはおじいちゃんの役割ではなかった。だが……一真の子を身籠る葵様を見守らずにはいられなかった」


「……そう」


「そして独りで真葵ちゃんを産んだ葵様は非公認の団体に拐われそうになった。そこを助け出されて、建て替え終えた元いた施設に戻ったんだ」


「……そして私はパパに育てられた」


 また胸がキュッて冷たくなった?

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