表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
138/171

真葵を守る為に(8)

今回は真葵の実の叔父である狩野が主役です。

「……パパは……真葵との楽しかった生活が嘘だったなんて信じないよ。真葵は心から笑っていたと信じたいんだ」


 あの頃の真葵は楽しそうに見えた……


「……好きに考えればいいよ」


 真葵はずっと無表情のまま話している。


「心が冷たくなったり熱くなったりするのは、真葵の止まっていた心が動き出したからだと思うんだ」


「だとしたら私の中の駿河が暴れ出す前兆なんじゃないかな?」


「……パパは……真葵の心が……駿河の殺意に勝てると信じているよ」


「……え?」


「今は感じた事のなかった心の温度に動揺しているだけだよ。真葵はたった四歳で駿河の殺意を抑え込む事ができたんだ。大人になった今なら……賢い真葵なら絶対に駿河の殺意に勝つ事ができる」


「……簡単に言うんだね。今も駿河の『殺す』っていう声を抑えるのが大変なのに」


「パパと勇真さんを駿河の殺意から守ろうとしているの?」


「……パパとの約束だから。誰も殺さないって」


「真葵……それは違うよ。真葵はパパと勇真さんを駿河から守っているんだ。パパには分かるよ。真葵のパパだから……」


 真葵は優しい子だ。

 今は混乱しているだけなんだ。

 駿河の『殺す』の声が聞こえなくなれば何か変わるかも……


「……すぐにイヤホンを用意する。大丈夫だよ。真葵ちゃん。これでかなり楽になるはずだ。これからはおじいちゃんと狩野ちゃんで真葵ちゃんを支えるからね」


 何かを考えながら黙って話を聞いていた勇真さんが真葵に話しかけた。


「おじいちゃんが私を支える?」


「大丈夫……大丈夫だよ。今まで辛かったね。これからは少しでも変わった事があればすぐにおじいちゃんと狩野ちゃんに言うんだよ?」


「……まただ」


「……え?」


「また胸が熱くなった……」


 真葵が胸を押さえながら呟いた。


「……真葵ちゃん……大切な、かわいいかわいい初孫……何があろうとおじいちゃんが守るからね」


 これからは勇真さんも真葵を守ってくれるのか……

 心強いと思っていいのか?


 ……今の勇真さんの言葉の全てを信じる事はできない。

 勇真さんは一部の忍びしか知らない駿河『様』の秘密を知っているはずだ。

 もし真葵を利用しようとしていたら?

 話すべきではなかった?

 でも俺の立場ではイヤホンを手に入れられないから勇真さんの力は必要だった。

 勇真さんの言う通り小田ちゃんに話さない方がいいのか?

 小田ちゃんは心から真葵を想っている『父親』だ。

 母親である葵が出産したら全て話して知恵を借りたいが、離れて暮らす真葵がこの状況だと知れば苦しむはずだ。

 難しいな……

 真葵が穏やかに暮らせるようにするにはどうしたらいいんだ?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ