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真葵を守る為に(5)

今回は真葵の本当の叔父である狩野が主役です。

「……それが良さそうだ。真葵ちゃんが落ち着くまで一真は葵様のそばにいさせよう」


 勇真さんの協力があれば小田ちゃんも言う事を聞いてくれるだろう。

 助かった。

 真葵が暴走したら大変な事になるからな。


「ありがとうございます」


「だが今の話を一真にしてはいけない。あの性格だ。絶対に真葵ちゃんから離れないと言い出すに決まっている」


「勇真さん……」


「……どうしたものか。とりあえず一真には『新たな施設長として施設に慣れろ』とでも言って家に帰れないように……だがそれでは真葵ちゃんが葵様に会う為に施設に行ってしまうかもしれない」


「真葵が落ち着くまで一旦繋ぐ者の施設に連れて行く事もできますが……」


「……一真は納得しないだろう。困ったな……」


「真葵を少し離れた場所に連れて行く事ができれば……そこで俺が合流する事はできないでしょうか」


「少し離れた場所……一真が安心して真葵ちゃんを預けられる場所……そんな場所があるか?」


「ひとつだけ思い当たるのは……鈴木真理の兄を保護している施設ですが……」


「……一真は納得しないだろう」


 小田ちゃんは真葵を大切に想っているからな……

 どうしたものか……


「おじいちゃん、パパ……」


 ……!?

 真葵?

 いつの間に……

 全く気配を感じなかった。

 勇真さんもかなり驚いているようだ。


「真葵……聞いていたのか」


 いつも通りの真葵に見える……

 これも演技なのか?

 ……いや、違う。

 無表情だ。

 何の感情もないように見える。

 

「……うん。私は大丈夫だよ」


「……え?」


『私は大丈夫』?

 何が大丈夫なんだ?


「ちゃんと普通の人間の振りをするから大丈夫だよ」


 普通の人間の振りをする? 

 これからも今まで通りに暮らすつもりか?


「おじいちゃんは驚いたよね」


「真葵ちゃん……本当に……人を殺したくて堪らないのか?」


 勇真さんの声が震えている。

 いつもと違う真葵の様子に驚いているのか?


「……そうだよ。ずっと頭の中に聞こえているの。『殺す殺す』って」


「……イヤホンを用意させよう。声が聞こえなくなるからね」


 駿河の声だけを遮断できるイヤホン……

『覚醒に失敗した者を消す繋ぐ者』の俺には手に入れられない物だ。

 これで真葵が少しでも楽になれば……


「……おじいちゃん?」


「うん?」


「もし私が暴れたら……私を殺すの? でも私が暴れたら『覚醒に失敗した者』になるからパパが担当なのかな?」


 あぁ……

 真葵の口からは聞きたくなかった…… 

 

「……真葵ちゃん」


 勇真さんも辛そうだ。


「私ね……殺してもらいたいのかな?」


「……え? 真葵ちゃん? 何を……」


「生きていても透明なの。感情がないからなのかな……生きているのに生きていないみたいなの。生きているのか自分でも分からない……でも……」


「……でも?」


「早く殺した方がいいよ?」


 ……!?

 なんて事を……

 

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