私……変だよ(1)
パパ……
早く会いに来てくれないかな……
私がご褒美の話をしたらどんな顔をするんだろう。
絶望?
恐怖?
それってどんな感情なのかな?
また私の中の駿河を抑えつけて一から『普通の人間』を教えようとするんだろうな……
でも、今の私はあの頃みたいな子供じゃないから簡単には従わないよ。
パパ……
今頃私を傷つける奴らを消しているのかな……
私の為に……
『普通の人間』の私が安心して暮らせるように……
すっかり騙されているね。
本当はあの頃と同じだと知ったら……
心が無いと知ったら……
あったとしても止まったまま動かないと知ったら……
パパは私の為に邪魔者を消した事を後悔するのかな……
……?
胸がキュッて冷たくなった?
どうしたのかな?
あぁ……
秋だから身体が冷えたんだね。
本当に厄介だよ。
身体の全ての感覚がなければよかった……
お昼過ぎ___
おじさんとお兄ちゃんとリビングにいると、おじいちゃんが帰ってきた。
いつもおじいちゃんを見守っている男性と、狩野さんも一緒に……
……パパだ。
かなりやつれたね。
私の為に非公認の団体を消しているからかな?
「真葵ちゃん……ただいま」
おじいちゃんが優しく微笑みながら話しかけてきた。
「……おかえり。えっと……」
「全て知ってしまったかな?」
「……うん」
「……そうか。これからは、いつでもママに会いに行けるよ」
「……うん」
「今日は色々あって疲れただろう。夕飯は皆で焼き肉にでも行こうか。駅前の焼き肉……好きだったよね」
「……うん」
「……? 焼き肉じゃない方がよかった?」
「え? あ……」
「それとも今からママに会いに行くかな?」
「……ママは……今日は疲れているだろうから……」
「……真葵ちゃん。今日は家でゆっくりする?」
おじいちゃんが気を遣っているのが分かる……
『優しい真葵』は行くって言わないとダメだよね。
「ううん……焼き肉……行きたい」
「そう……じゃあ、おじいちゃんはお店に行って畳の注文があるか見てくるよ。夕飯は焼き肉だ」
「うん。……えへへ。楽しみだなぁ」
これでいいんだよね……?
「……怖かったね。もう大丈夫だよ。狩野ちゃんが非公認の団体を消してくれたからね。これからは安心して暮らせる。正規の施設の暴走はおじいちゃんが止めるからね」
「おじいちゃん……」
心から私を心配しているのが伝わってくる……
……?
今度は胸が温かくなった?
「じゃあ、おじいちゃんはお店に行くからね」
「あ……うん」
私……
変だ……
どうしちゃったの?




