叔父さんから聞いた真実? ~前編~
口が軽いと早死にする……か。
でも、お兄ちゃんは私の為に話してくれたんだよ。
「……叔父さん。お兄ちゃんは私の為に……」
「分かってる。だからこの程度で済んでるんだ」
叔父さんのこの様子だと罰は与えられなそうだ。
「ありがとう。安心した……でも……ママは大丈夫?」
「……え?」
「私は平気だからママのそばにいてあげて」
「……真葵」
「今まで黙っていて……嘘をついてごめんなさい」
「俺も……嘘をついてきた。嘘をつかなければ守るべき大切な存在を守れなかったからな……」
「叔父さん……」
「俺は施設にずっといなくても大丈夫だ」
「そうなの?」
「施設長が変わっただけで他は今まで通りだからな。施設にいる覚醒者は葵だけだし問題ない」
「でも……」
私の為に無理をしているんじゃ……
「葵は今日中に施設に帰る」
「……そう」
「もう大丈夫だ。これからは身重の葵を不安にさせない。それと……真葵にも寂しい思いをさせない」
「……叔父さん」
「毎日必ず会いに来る。親父の家にはモモもいるしな」
「……うん。毎日待っているよ」
「……真葵?」
「……うん?」
「毎日、施設に遊びに来てもいいんだ。施設で暮らしてもいい。駿河の完全体だとバレないように施設には行かないと言ったんだろ?」
「……それは……そうだけど……そうしたら真理ちゃんとも会えなくなるし……仕事関係の人にも迷惑をかけるから」
「じゃあ……毎日葵に会いに行けばいい」
「本当に施設に遊びに行ってもいいの?」
「もちろんだ。初めからある他の施設長と繋ぐ者にも許可を得ている。葵も喜ぶぞ」
「……ママに……会いに行ったら……がっかりされないかな?」
「……真葵が、そそっかしくて思い込みが激しいバカだからか?」
「もう! また悪口を言うんだから!」
「……大丈夫だ。葵は真葵に会いたい気持ちをずっと我慢していた」
「……皆に聞いて……知っているよ……」
「……そうか」
「不安なの」
「……初めて会って……嫌われそうで心配か?」
「……分からない……よく分からないの。ママの話は聞いているけど……本当に大丈夫かなって……」
「大丈夫だ……葵は真葵を愛している。それから……俺も葵も真葵を置いていなくならない」
「……叔父さん」
「正直……親父のそばが一番安全だ」
「……おじいちゃんのそば?」
「それに畳屋の目の前には狩野のバーがある」
「……うん」
「ここからは初めて話すが……」
「え?」
「暗殺部隊を率いる繋ぐ者は三人いる」
「……うん」
「狩野は……時々怪しいが真葵を守っている。たぶん狩野にも心を聞く力があるんだろう」
「……狩野さんにも?」
「親父も真葵を守るだろう。かわいい孫だからな。問題はその他の繋ぐ者だ」
「確か……狩野さんは悪さをする非公認の団体と覚醒に失敗した人達を消すのが役割なんだよね? 他の暗殺部隊は覚醒者を傷つける人を制圧したり、決まりを破る正規の施設を制圧するって聞いたけど……」
「そうだ。親父は正規の施設が悪さをしたら制圧する。だがほとんど出番はないんだ。初めからある五つの施設長は俺以外、駿河の里の忍びだ。後からできた施設長は忍びではない者もいるがな」
「駿河の里の忍びは『駿河』を崇拝しているから悪さをしないの?」
「ああ。だが……中には、やり過ぎてしまう奴らもいるらしい。駿河を崇拝するあまりな……」
……崇拝か。




