おじさんの秘密？
「ぴよたん……おじさんの父親は妙な実験をされていなかった。きっと遺伝なんだ。後になって、おじさんの祖父も暴れたと聞いたから……」
おじさんが辛そうに話している。
本当は思い出したくないだろうに……
私の為に話してくれているんだね……
「……遺伝？」
「おじさんも……いつか覚醒に失敗するかもしれない。だから……太るんだ。太っていれば動きが遅くなるから……」
「……もしかして……覚醒に失敗して暴走した時に私を巻き込まない為に？」
「そうだよ。よく分かったね……父親があんな亡くなり方をして……おじさんは生きているのが嫌になったんだ。でも……見守っていたぴよたんは……毎日毎日大きくなって……毎日毎日かわいくて……おじさんの疲れ果てた心はその姿に癒されていった」
「おじさん……」
「おじさんは……ぴよたんの幸せな笑顔を守りたかった。おじさんにはもう家族はいないけど……ぴよたんを娘みたいに思っているんだよ？」
「……それを……話して大丈夫なの？ おじさんも保護対象になっちゃうんじゃ……」
「それが……不思議なんだ」
「……え？」
「里の人達は、おじさんが覚醒者の息子だと知っているのに保護対象にしなかったし執着もされなかった」
「……どういう事？」
「分からない。偉い人達の心は聞こえないから」
「……え？」
「不思議なんだ。おじさんは覚醒していないのに心が聞こえるんだよ」
「……それって……どういう……」
「分からない。分からないんだ。でもおじさんは十代の頃この力に目覚めて……でも、この事を知る里の偉い人達は驚かなかった」
「……まさか」
「誰も真実を教えてくれないから分からないけど……たぶんそういう人がたくさんいるんだと思う」
「……!? じゃあ……保護される人とされない人の違いは……何？」
「分からない。でも……偉い人にしか知らされない何かがある事は確かだよ」
「……おじさん……それを今ここで話して平気なの？ 真理ちゃんを見守っている繋ぐ者のおじさんもいるのに……」
「……大丈夫だよ。真理ちゃんを見守っている繋ぐ者も駿河の里の忍びだから」
「……え？」
「……確かに。俺も駿河の里の忍びだ。そして……心を聞く力がある」
真理ちゃんを見守っているおじさんが真剣な表情で話し始めた。
「え？ おじさんも？」
「……真葵ちゃん。……いや……真葵様……」
「真葵……『様』？」
「駿河様の完全体……真葵様……」
「……!?」
ギュッと目を閉じる。
どうしよう。
試されているの？
それともバレている？
どうしよう……
どうしよう……
助けて……
助けてパパ……
「真葵！」
玄関を勢いよく閉める音と同時に私を呼ぶ声が聞こえる。
この声は……
「……叔父さん？」
目を開けると息を切らした叔父さんが私を抱きしめる。
疲れるのが嫌いなはずなのに走って来たの？
私の為に？
「真葵……無事か……よかった……」
「叔父さん……どうして……？ ママと一緒にいたんじゃ……」
「真理の兄がいる施設長に預けてきた」
「……信用して平気なの？」
「……大丈夫だ」
「……本当に？ 何十年も信じてきた施設長にも騙されていたんだよ？」
また騙されているんじゃ……
