おじいちゃんの秘密とおじさんの過去?
「おじいちゃんが繋ぐ者の軍服を着ていたって……どういう事?」
お兄ちゃんの見間違いとかじゃ……
「分からない……でも……一緒にいたのは……たぶん暗殺部隊だった……のか? あの強い施設長が一瞬で捕らえられたんだ……人形に……」
「おじいちゃんが暗殺部隊っていう事? それに人形って? おじいちゃんは高齢だし駿河の里の忍びじゃないよ。畳職人で年金暮らしで……だから何かの間違いだよ」
「……たぶん……勇真さんは暗殺部隊の一員じゃないはずだ。施設長を捕らえたのは人間じゃなかった。いや、人間もいたんだけど……あんなの見た事がない。人形が生きてるみたいに動いたんだ。勇真さんが動かしてたみたいに見えた……勇真さんは繋ぐ者のはずだ。しかも……暗殺部隊を率いる、三人しかいない繋ぐ者……」
「……そんな……見間違いだよ……」
「俺だってそう思った。でも……間違いない。勇真さんを見守ってる忍びも一緒にいたんだ。頭を下げてたから部下みたいに見えた……」
「おじいちゃんが……繋ぐ者? でも……三人いる暗殺部隊を率いる繋ぐ者は、皆駿河の里の忍びなんだよね?」
「……俺には分からない。ただの見守る者だからな」
「そういえば叔父さんが、おじいちゃんはお金持ちだって言っていたような……」
「……じゃあ一真さんも知ってたのか」
「……おじいちゃんが駿河の里の忍び? じゃあ叔父さんも駿河の里の忍び……」
「……それは違うよ」
おじさんが心配そうに私を見つめながら話し始めた。
「……違うの?」
「一真は三十九歳。おじさんは四十歳。忍びなら里で会った事があるはずだよ。でもおじさんが初めて一真に会ったのは施設で働き始めてからだった。一真は駿河の里の忍びじゃないよ。動きも全然忍びじゃないしね」
「そうなの……?」
「何があったのかは分からないけど……本人の口から聞いた方がいい」
「……おじさん」
「勇真さんは心からぴよたんを大切に想っている。それは分かるね?」
「……うん。大丈夫。おじいちゃんに騙されたなんて思わないから」
「ぴよたん……」
「おじいちゃんから直接聞くよ。もし教えてくれないなら……それは私を危険に巻き込みたくないから……なんだよね?」
「……ぴよたん。おじさんもただの見守る者だから分からない事ばかりで……でも……」
「……おじさん?」
「……聞いてくれる?」
「……え?」
「おじさんが太っていたい理由」
「……それって?」
「おじさんは……おじさんの父親は……突然暴れ出したんだ」
「……?」
「覚醒……」
「……え? 覚醒?」
「……おじさんは……覚醒に失敗した者の息子なんだ」
「……!?」
「おじさんの父親は……おじさんが施設にスカウトされた数年後……突然覚醒に失敗した」
「覚醒に失敗……?」
「……母親が病気でね。最期は里でと望んで……おじさんは母親と最期の時間を過ごす為に里帰りしていたんだ」
「……うん」
「母親が……息を引き取ると……父親が突然暴れ出して……」
「もしかして……この前話してくれた……」
「そうだよ。おじさんの父親は……手足を折られても暴れ続けた。あれは……あの姿は……化け物だった」
「おじさん……!」
優しくおじさんを抱きしめると、身体がすごく冷えているのが伝わってくる。




