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番外編 商店街の福引きで二等を当てるぞ! (3)

今回は真葵の父親である一真が主役です。

 絶対に守り抜く。

 真葵だけは……

 俺と葵の娘だけは何があろうと守るんだ。

 明日は葵に会いに行く日か。

 施設に出入りできない真葵には言いにくいな……


 ん?

 モモが買い物袋をガサガサしている?

 おやつが欲しいのか。


 それにしても、偽鈴木夫妻は『野良猫だったモモを保護した』なんて言ってたらしいが……

 透き通るような青い瞳。

 頭と背中は淡いグレー、腹は真っ白……

 あぁ……

 かわいい……

 ネットで調べたらラグドールという種類の四十万する猫だったぞ。

 絶対ペットショップで買ってきただろ……


 モモにおやつを食べさせていると真葵が俺をじっと見ている?


「どうした?」 

 

「ああ。叔父さんが動くのは、モモちゃんの世話をする時だけだなぁと思って。初めて家に連れてきた時は『擦りつけてくる頭が頭蓋骨過ぎる』とか言っていたのに」 


「モモは、かわいいからな。生意気な口をきかないし」


「生意気で悪かったね。あ、そうだ。さっきまでおじさんがいたんだよ?」


「駿河が? 交替は明日の朝だろ?」


「福引き券が一回分財布に入っていたんだって。明日でもよかったんだけど夕方限定のカレーパンが食べたくなって買いに来たらしいの」


「あいつ……わざわざカレーパンを買う為に戻って来たのか」


 真葵には秘密だが、葵がいる施設から親父の家まで歩いて十分くらいなんだ。

 

「それでね? なんと! お米とご飯のお供セットが当たったの! 施設じゃ自炊しないからってくれたんだよ!」


「……は?」


「もう残りは、おいしい棒とティッシュだけだったらしいよ?」


「……商店街の会長め。俺が福引きをした時にはもうおいしい棒とティッシュしかなかったのか」


 忙しそうに動いていたからなかなか目が合わなくて心が聞こえなかったんだ。


「あはは! 残念だったね。ティッシュ大王!」


「……お前はティッシュ女王だろ」


「来年は一緒に行ってお米セットを当てようよ!」


「……来年……か」


 今みたいに穏やかに暮らせていればいいが。

 だが二人揃って福引きをして二人ともティッシュだったら……

 確実に近所の笑い者だな。


「えへへ。ご飯のお供セットの牛肉の瓶詰め……もつ煮に合いそうだよ」


「お前は飲み食いする事しか頭にないのか?」


「だって最高級の瓶詰めだよ? 楽しみだなぁ」


「やれやれ……また太るぞ?」

 

 これが幸せ……か。

 最近は何事もなく穏やかだ。

 だが……

 いつまで続くか。

 狩野がいくつも非公認の団体を消したから他の奴らもしばらくは、おとなしくなるだろうが……

 その狩野でさえ信用できない。

 俺が守り抜かないと……

 真葵はそそっかしくてすぐに騙されるからな。

 もう二十二歳か……

 月日が経つのは早い……

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