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商店街の福引きで二等を当てるぞ! (3)

「ははは。真葵ちゃんは真剣だね。二等のお米とご飯のお供セットはひとつだけだからね。早くしないとなくなっちゃうよ?」


 商店街の会長が笑っている……


「会長……面白そうだね……」


「だって真葵ちゃんは毎年ポケットティッシュしか出ないティッシュ女王だからね! ははは!」


「ティッシュ女王!? その呼び方……一年振りだよ……」


 毎年この時期になると『ティッシュ女王』って呼ばれるんだよね……

 十一年も福引きをしているのにティッシュしか出ないなんて、くじ運がなさ過ぎるよ。


「さあさあ! 真葵ちゃんっ! クルクル回して!」


「よしっ! じゃあいくよ!」


 ……!?

 どうして!?

 五回も回して全部ティッシュ!?


「ははは。一人十六回だったね。真葵ちゃんはあと六回かな?」


 本当に当たりが入っているのか怪しくなってくるね……


「うぅ……ちょっと休むよ。皆は回して?」


「あ! 五等の商品券だ!」


 え!?

 真理ちゃんはまた当たったの!?

 おじいちゃんとお兄ちゃんまで五等が当たった!?


「どうして私はこんなにくじ運がないの?」


「ははは。真葵ちゃんはそろそろ回したくなったかな?」


「会長……面白そうだね……」


「あ、もう他の皆は回し終わったみたいだよ? 六等のおいしい棒をたくさん持っているね」


「おいしい棒!? お米が無理ならおいしい棒でいいよ! ティッシュさえ出なければっ!」


「ははは。今年こそティッシュ女王の名を返上できるかな?」 


「やってみせるよっ!」


 ……どうして?

 嘘でしょ?


「ははは。今年もティッシュ女王だったね」


「……十六回も回したのに……全部ティッシュ……」


「いやぁ……さすがティッシュ女王だね。ははは」


「せめて、おいしい棒が欲しかった……」


「……真葵ちゃん」


 会長が真面目な顔になった?

 

「……? 何?」


 まさか、お米とご飯のお供セットを入れ忘れていたとか?


「また来年! ティッシュ女王! ははは!」


 絶対バカにしている……

 今年もティッシュ女王になっちゃった。

 またご近所さんに笑われるよ……

 でも……


「来年こそは絶対お米とご飯のお供セットを当てるんだから!」


「去年も『来年こそはお米とおつけものセットを当てる』って言っていたよ? ははは!」


「うぅ……」


 確かに、去年も言ったような……


「一昨年は『来年こそはお米と牛肉セットを当てる』だったかな? 毎年ティッシュだったけど! ははは!」


 ……!?

 毎年同じ事を言っていたの!?


「大丈夫! 来年こそは絶対お米をもらうからっ!」


「ははは! 楽しみにしているよ」


 来年もティッシュしか出ないと思っているね。

 あぁ……

 今年もティッシュ女王のまま終わった……

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