表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
君を殺せば3億円  作者: 糸由


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
1/4

第1章 夢

目を覚ました瞬間、銃口が見えた。


「……え?」


 寝ぼけた頭では、何が起きているのか理解できなかった。


 見慣れた天井。


 いつものベッド。


 机の上には、昨日の夜に置きっぱなしにしたスマートフォン。


 何も変わっていない。


 ――ただ一つを除いて。


 ベッドの周囲に、黒い服を着た人間たちが立っていた。


 顔は覆面で隠されている。


 手には銃。


 その立ち方も、動きも、素人のものではなかった。


 まるで特殊部隊。


「……誰?」


 声が震えた。


 一番近くにいた男が、一歩前へ出る。


「起床を確認しました」


「何なんだよ……」


「あなたには、国に対する未払いがあります」


「……は?」


「総額――三億円」


 頭が真っ白になった。


「待って。俺、そんな金……」


「知っています」


 男の声には感情がなかった。


「あなた個人が三億円を借りたという話ではありません」


「じゃあ何なんだよ!」


「あなたが生まれてから今日まで、国から受け取ったもの。それらをすべて換算した金額です」


「……そんなの」


「返済期限は三日後」


 男が時計を見る。


「期限までに返済できなかった場合」


 銃口が、ゆっくりこちらを向いた。


「あなたは殺されます」


「……やめろよ」


「これは夢ではありません」


 そう言った瞬間、男の姿が歪んだ。


 部屋が崩れる。


 床が消える。


 音が遠ざかる。


 そして――。


 目を覚ました。


「……っ!」


 ベッドから飛び起きる。


 荒い息。


 心臓が激しく鳴っている。


 部屋を見る。


 誰もいない。


 銃もない。


 いつもの部屋だ。


「……夢か」


 額の汗を拭う。


「怖い夢だったな……」


 そう呟いて、ベッドから降りた。


 その瞬間。


 視界の中央に、奇妙な文字が浮かんでいることに気づいた。


**−¥300,000,000**


「…………」


 瞬きをする。


 消えない。


 目をこする。


 それでも消えない。


「……何だよ、これ」


 数字は、自分の胸元に重なるように浮かんでいた。


 嫌な予感がした。


 そのとき。


「おはよう」


 母親が部屋に入ってきた。


「……おはよう」


 母親を見る。


 そして、言葉を失った。


 母親の横にも数字が浮かんでいた。


**¥200,000,000**


「……母さん」


「ん?」


「いや……何でもない」


 母親は不思議そうな顔をした。


 俺はもう一度、自分の数字を見る。


**−¥300,000,000**


 夢と同じだった。


 ただの夢ではなかった。


 そのことに気づいた瞬間、背中が冷たくなった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ